「歌舞伎」と「能」と「狂言」の違いとは?わかりやすく解説

違いのギモン

「歌舞伎」や「能」、「狂言」は、日本の伝統芸能ですが敷居が高いイメージがあり、見に行く機会はあまりないですよね。

この3つにはどのような違いがあるのでしょうか。この記事では、「歌舞伎」「能」「狂言」の違いについて解説します。

結論:違いは、テーマ

「歌舞伎」「能」「狂言」の違いは、テーマです。

「歌舞伎」は、派手で楽しませることをテーマとしていて、「能」は、歴史のある神話や物語の悲劇をテーマにしています。

そして、「狂言」は、一般庶民の日常生活の笑いをテーマにしています。

「歌舞伎」をもっと詳しく


「歌舞伎」は、派手な雰囲気で楽しませることがテーマになっています。そして、江戸時代には庶民の人々に人気がある娯楽でした。

話の題材は主に3種類あります。

  • 時代物:江戸時代以前の歴史を題材にしている
  • 世話物:恋愛や人情などをテーマにしている
  • 舞踊:踊りをテーマにしている

「歌舞伎」は、出雲の阿国(いずものおくに)という女性が始めたものとされています。しかし、風紀が乱れるという理由から、江戸幕府によって女性による「歌舞伎」が禁止されていき、男性俳優のみが出演を許されました。

 

「歌舞伎」の特徴として、舞台装置が挙げられますが、以下のような仕掛けがあります。

  • セリ:舞台の一部を上下に動かせるようにした装置のこと
  • 花道:客席の中を通る道のことで、道や川岸など場面に合わせて用途が変わる
  • 廻り舞台:舞台中央にある回転できるようにした装置のこと

「歌舞伎」では、三味線(しゃみせん)、唄、笛や太鼓、大鼓(おおつづみ)、小鼓(こつづみ)が使われています。三味線以外の楽器のことを、「歌舞伎」の用語で「鳴り物」と呼びます。

そして、音楽には下座(げざ)と所作音楽(しょさおんがく)があります。下座とは、話の進行を助ける音楽のことで、演奏しているところは、客席からは見えません。所作音楽とは、登場人物に関係している音楽のことです。

 

そのほかに使用されるのが、附け打ち(つけうち)と呼ばれる、板に木を打ち付ける効果音です。これは、注目してほしい場面でよく使用され、俳優がポーズを決めるのに合わせて、使われることもあります。

「歌舞伎」のチケットの値段は、公演によっても少し違いますが、大抵は、桟敷席(さじきせき)と呼ばれる、掘りごたつになっている席が2万円で、1等席が1万8000円、2等席だと1万4000円です。そして、3階はA席が6000円で、B席は4000円です。

「能」をもっと詳しく


「能」は、歴史のある物語や神話の悲劇がテーマになっていて、主に2種類あります。

  • 現在能(げんざいのう):現実世界が舞台
  • 夢幻能(むげんのう):神様や霊などの世界が舞台

「能」は、室町時代に世阿弥(ぜあみ)が完成させ、足利義光に高く評価されていました。「能」は、武士のための娯楽だったため、庶民は将軍家のお祝いのときに披露される「町入能(まちいりのう)」しか見ることができませんでした。

「能」は約650年もの歴史があり、「歌舞伎」とは違って舞台はシンプルで、舞台装置は使わず幕もありません。そして、背景には松の絵が描かれています。

 

「能」で使われる楽器は、太鼓、大鼓、小鼓、笛のみで、地謡(じうたい)と呼ばれるコーラス隊がいます。また、「能」の演目は、伊勢物語や源氏物語などの古典から取っていることが多いです。

「歌舞伎」では、化粧をしますが、「能」の場合は能面と呼ばれる仮面を付けるか、素顔で演じます。仮面を付けることで、この世のものではないことを表しています。

「狂言」をもっと詳しく


「狂言」は、一般庶民の日常生活の笑いがテーマになっています。「狂言」と「能」の起源は、中国から伝わった散楽ですが、散楽とは、曲芸や物まね、手品などのことを指し、それが進化して猿楽となりました。

それが発展していく過程でだんだんとストーリーが加えられるようになり、その後「狂言」や「能」になりました。

使用される楽器は、「能」と同じですが、「能」よりもセリフが多いことが特徴で、親しみやすく内容も理解しやすいです。

 

「狂言」は、「能」の演目の合間に披露されることが多いですが、それぞれが独立して披露されることもあります。

「能」と「狂言」のチケットの値段は、SS席が1万5000円、S席が1万3000円、A席が1万1000円で、最後にB席が9000円です。こちらも公演によって値段が違うことがあるので、ホームページで確認するようにしてください。

まとめ

以上、この記事では、「歌舞伎」「能」「狂言」の違いについて解説しました。

  • 歌舞伎:派手な雰囲気で楽しませることがテーマ
  • :歴史のある物語や神話や物語の悲劇がテーマ
  • 狂言:一般庶民の日常生活の笑いがテーマ

公演のチケットは少し高いですが、日本の伝統芸能に触れる機会を作ってみてはいかがでしょうか。

ちなみにドレスコードがありそうと思われがちですが、決まりは特にないので、普段の服装で見に行っても全く問題ありません。