今回ご紹介する言葉は、熟語の「従順(じゅうじゅん)」です。「従順な人」といった形で、他人の性質を形容する言葉として耳にすることがあるでしょう。
以下では、「従順」の意味・使い方・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「従順」をざっくり言うと……
読み方 | 従順(じゅうじゅん) |
---|---|
意味 | 他人の言うことに逆らうことなく、おとなしいさま |
類義語 | 柔順、素直、温順 |
対義語 | 強情、不従順 |
英語訳 | obedient, docile, submissive |
「従順」の意味をスッキリ理解!
「従順」の意味を詳しく
「従順」とは、他人の言うことに逆らうことなく、おとなしい様子を指す言葉です。「従」は「従(したが)う」と訓読できることからわかるように、歯向かわないことを指します。「順」にも、素直でおとなしいという意味があり、「順な人(おとなしい人)」といった表現もあります。
「従順」は、人や動物の性質を表現する際に用いる言葉です。また、ただ対象がおとなしいことを指すのではなく、「他者から自分に向けられる何か」に対して抵抗しないというニュアンスを含んでいます。
そのため、たとえば「彼女は、どんな要求も否定することのない従順な人だ」のように、他者との関係性が垣間見える文脈で「従順」を用いることが多いです。
「従順」の使い方
- 彼女のペットは本当に従順で、何でも彼女言うとおりにする。
- 彼は、あの上司にとって、良くも悪くも従順な部下だ。
- いつも荒っぽい彼も、学級委員という権力の前には従順だった。
②の「従順な部下」とは、上司の言うことに逆らわない部下という意味です。「良くも悪くも」という言葉が示唆しているのは、良く言えば「ものわかりのよい部下」であり、悪く言えば「上司の言うことすべてに流される部下」であるということです。
③のように、「権力に従順」という表現もよくつかわれます。「権力」自体は人ではありませんが、権力を握る人の存在が暗示されており、その人のなすがままであることを「従順」と表現しています。
「従順」の類義語
「従順」には以下のような類義語があります。
- 柔順(じゅうじゅん):物腰が柔らかく、おとなしいさま
- 素直(すなお):ひねくれておらず、人の言うことをそのまま受け取る様子
- 温順(おんじゅん):おとなしくて、人に逆らわないさま
「素直」は、おとなしさではなく、相手の言うことにあえて反抗しない姿勢を指します。もともとの性格を指すこともあれば、「素直な態度で臨む」というように、ある場面で意図的にとる姿勢を意味することもあります。
「温順」は、主に人柄について用い、「温順な態度」のような表現は通常しません。また、「温順」は、「温順な天気」のように、気候についても用いる言葉です。
「温順」の対義語
「従順」には以下のような対義語があります。
- 強情(ごうじょう):何を言われても屈せず、自分を貫き通そうとするさま
「強情」は、「強情な人」のように、人柄を指す場合に用いられます。
また、対義語としては、否定語をつけた「不従順」という表現もあります。
「柔順」の英語訳
「柔順」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- obedient
(逆らわない、従順な) - docile
(従順な、思うように扱いやすい) - submissive
(言いなりになるような)
docile は、素直さあまり、思うように扱いやすく都合がよいという意味でも用いる表現です。
以下、上記3つの表現を用いた例文です。
- According to him, his father is obedient to his mother.
(彼が言うには、彼の父親は母親の言いなりになっているようだ。) - She looks docile for me because she believes everything she hear.
(彼女は耳にしたことを何でも信じるので、私からすれば御(ぎょ)しやすい人物に見える。) - When she was young, she was not submissive to the teacher and always complained to him.
(昔、彼女は先生の言うことをまったく聞かず、いつも文句を言っていた。)
また、②の「御しやすい」とは、思うように扱いやすいという意味です。
まとめ
以上、この記事では「従順」について解説しました。
読み方 | 従順(じゅうじゅん) |
---|---|
意味 | 他人の言うことに逆らうことなく、おとなしいさま |
類義語 | 柔順、素直、温順 |
対義語 | 強情、不従順 |
英語訳 | obedient, docile, submissive |
「従順」は、ものわかりのよさを表す反面、何でも言いなりになって自分の意思がないといったマイナスのニュアンスにもなりえる言葉です。状況に合わせて上手く用いましょう。また、類義語との違いも押さえておきましょう。