今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「熟読玩味(じゅくどくがんみ)」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「熟読玩味」をざっくり言うと……
読み方 | 熟読玩味(じゅくどくがんみ) |
---|---|
意味 | 文章をじっくりと読んで、その意味内容を深く理解し味わうこと。 |
由来 | 『小学』 |
類義語 | 熟読三思(じゅくどくさんし)、眼光紙背(がんこうしはい)など |
英語訳 | reading carefully with appreciation(注意深く鑑賞しながら読むこと。),giving (something) a careful perusal(注意深く熟読する。) |
「熟読玩味」の意味をスッキリ理解!
「熟読玩味」の意味を詳しく
「熟読玩味」は「熟読」と「玩味」という2つの言葉から構成されています。
「熟読」の「熟」には、「十分に、よくよく、じっくり思いを込めて」という副詞的意味があります。つまり、「熟読」は「じっくりと思いを込めて読む」ことを表す言葉です。
「玩味」の「玩」には「大切にする」という意味があります。つまり、「玩味」は「大切によく噛んで味わう」ことを表す言葉です。そこから意味が発展して、「詩文の意味をよく考え味わうこと」を意味するようになりました。
したがって、「熟読玩味」は、文章をじっくりと思いを込めて読み、その意味内容を味わうことを意味する四字熟語です。
「熟読玩味」の使い方
- 自分のお気に入りの作家の書き下ろし本が発売されたので、さっそく買ってベッドの上で熟読玩味した。
- 彼女が薦めてくれた詩人の詩集はとても示唆に富んでいて、熟読玩味するに値するものであった。
- この賞の影響力はあまりにも大きいので、審査員たちは、候補作を熟読玩味して、大賞を選んだという。
- たいていの本の内容はすぐに忘れてしまう私だが、この本は熟読玩味したので、今でもその内容をはっきりと覚えている。
- この本は熟読玩味しないと、その本当の魅力に気付くことができない。
「熟読玩味」の由来
劉子澄(りゅうしちょう)が、昔の偉人の言動を取捨選択してまとめ、理想的な人間を育成しようとして編纂(へんさん)した啓蒙書『小学』が由来となっています。劉子澄は、南宋時代の儒学者である朱熹(しゅき)の弟子であり、朱熹の指示で『小学』を編纂したと言います。
『小学』の嘉言(かげん)という章に以下の言葉があります。
『論語』と『孟子』をよく読んで、自分のものとするならば、その経験は一生の宝となるでしょう。」となります。
この言葉が「熟読玩味」の由来となっています。ここでは、熟読玩味する対象が『論語』と『孟子』に限定されています。
「熟読玩味」の類義語
熟読玩味には以下のような類義語があります。
- 熟読三思(じゅくどくさんし):しっかりと考えながら読んで、その内容を繰り返し味わうこと。
- 眼光紙背(がんこうしはい):文章を読むときに、文字を解釈するだけでなく、行間に潜む深い意味までよく理解すること。
「熟読玩味」の英語訳
熟読玩味を英語に訳すと、次のような表現になります。
- reading carefully with appreciation
(注意深く鑑賞しながら読むこと。) - giving (something) a careful perusal
(注意深く熟読する。)
まとめ
以上、この記事では「熟読玩味」について解説しました。
読み方 | 熟読玩味(じゅくどくがんみ) |
---|---|
意味 | 文章をじっくりと読んで、その意味内容を深く理解し味わうこと。 |
由来 | 『小学』 |
類義語 | 熟読三思(じゅくどくさんし)、眼光紙背(がんこうしはい)など |
英語訳 | reading carefully with appreciation(注意深く鑑賞しながら読むこと。),giving (something) a careful perusal(注意深く熟読する。) |
「熟読玩味」は文章をじっくりと読んで、その意味内容を深く理解し味わうことを表す四字熟語ですが、近年では、「速読」がブームになるなど「熟読玩味」とは正反対の読書方法がもてはやされています。
しかし、短い時間でさっと読んでしまった本は、その内容もさっと忘れてしまうものです。
少なくとも、自分がこれぞと思う本くらいは、ゆっくり時間をとって「熟読玩味」できるくらいゆとりのある人生を送れたらいいですね。