言葉には、意味が同じように見えて厳密には違うものがたくさん存在します。「従業員」と「社員」もその一例です。
今回は「従業員」と「社員」の違いについて解説します。
結論:従業員は労働者、社員は株主のこと
「従業員」とは、会社の役員以外の労働者のことを指します。
「社員」は厳密には株主のことを指し、俗称として「従業員」の意味で使います。
「従業員」をもっと詳しく
「従業員」は、会社に雇用されているすべての労働者のことです。
正規社員の他、契約社員やアルバイト、パートなど役員以外のすべての労働者が「従業員」です。
会社における「役員」とは、取締役・監査役・会計参与のことを指します。
役員は会社と雇用契約ではなく任用契約を結ぶため、法律上「労働者」ではありません。そのため、雇用保険や労災保険を受けることができません。
「従業員」の使い方の例
- 従業員として上司の指示に従う。
- A社の従業員数は500人だ。
①の例文は、従業員としての仕事について書かれています。従業員は文字通り、業務に従うことが仕事です。
②の例文は会社の従業員数について書かれています。従業員数にはアルバイトやパートの数も含まれますが、試用期間や臨時の労働者の数は含まれません。
「社員」をもっと詳しく
「社員」とは、厳密には株主のことを指します。
一般的には会社の労働者という意味で使われますが、それは俗称です。そのため、公文書や公的な契約では、会社の労働者のことは「従業員」と書きます。
社員であり従業員でもある人もいれば、社員ではない従業員、従業員ではない社員もいます。
会社にはさまざまな種類がありますが、日本の会社のほとんどは株式会社です。
株式会社は、会社の発行する株を人々が買うことにより資金を獲得し、事業を行うことができます。
株を買った人々のことを「株主」と言います。
「社員」の使い方の例
- 株主総会にて社員の意見を聞く。
- あの会社の社員は態度が悪い。
①の例文は、厳密な意味での「社員」の使い方です。
②の例文は俗称としての「社員」の使い方です。日常会話では俗称としての使い方が一般的です。
関連語「職員」との違い
「従業員」「社員」の関連語に「職員」があります。「職員」も似ているようで意味の違う言葉なので、しっかりと理解しましょう。
「職員」とは会社以外の組織で働く人々のことを指します。具体的には学校、官公庁、宗教法人などです。
ただし会社の従業員のことを俗称として「職員」と表現することはあります。
「従業員」「社員」「職員」の英語訳
「従業員」「社員」「職員」の英語訳を比較してみましょう。
- 従業員:employee
- 社員:employee
- 職員:staff
“employee”のアクセントの位置は最後から2番目の“e”です。アクセントの位置が特殊な単語なので注意しましょう。
まとめ
以上、この記事では、「従業員」と「社員」の違いについて解説しました。
- 従業員:会社に雇用されているすべての労働者のこと
- 社員:厳密には株主のこと、俗称として会社の労働者のこと
「社員」は厳密には株主のことを指し、労働者という意味での使い方は俗称であるということは、知らなかった方も多いのではないでしょうか。
言葉の意味は日々変わっていくものです。誤解を防ぐために、正しい意味や違いを押さえ、その場に応じた言葉選びをしていきましょう。