「自粛」の意味とは?使い方から英語や類語や対義語まで例文付きで解説

自粛 アイキャッチ 言葉

今回ご紹介する言葉は、熟語の「自粛(じしゅく)」です。

言葉の意味・使い方・語源・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。

☆「自粛」をざっくり言うと……

読み方自粛(じしゅく)
意味自ら進んで、自信の行動や言動を慎むこと
語源昭和前期の落語家の行動から
類義語自重、自制、制限、禁止など
英語訳self-control、self-imposed control、self-restraintなど

「自粛」の意味をスッキリ理解!

自粛(じしゅく):自ら進んで、自信の行動や言動を慎むこと

「自粛」の意味を詳しく

自粛 画像

「自粛」とは、「自分自身の意思で、自らの行動や言動を慎むこと」という意味を持つ熟語です。

他人のすすめや助言が最終的な決定になるのではなく、自らの意思で、というところがポイントになります。最近では大規模な災害やパンデミックの発生時、また、芸能人が不祥事を起こした時など、しばしば見かけることが増えました。

意思による行動の制限であるため、絶対的な強制力を伴った意味ではありません。そのため、実際に使用する場合には、受け取り手の価値観によって、その意味合いが変わってしまうため、注意を払う必要があると言えるでしょう。

「自粛」の使い方

  1. 業界全体への影響を考慮し、行きすぎた価格競争を自粛する。
  2. 某有名人が自身の過ちを反省し、当面の活動自粛を発表した。
  3. 地方自治体からの要請に従い、当社はイベントの開催自粛を発表した。

上記の例文のように、「自粛」は企業や行政などの公的組織や、名の知れた有名人などが社会に対し大々的な発表をする際によく用いられます。「行動を〜」「営業を〜」などと言った言葉を前に伴って、使用されることが多い単語になっています。

また、②、③のように、「活動自粛」「開催自粛」などのように、1つの名詞として使われることも多いです。その場合でも基本的な意味合いは変わりません。

「自粛」の語源

「自粛」という単語が一般的に使われ始めたのは、昭和前期、太平洋戦争開戦前後であると言われています。

総力戦が謳われた当時の日本において、戦時中としてそぐわない内容を含むものには検閲が入り、中止勧告が出ることがしばしばでした。そうした中、当時の落語家が不適切と取られかねない噺を自ら封印したことで、広く使われることになったと言われています。

「自粛」の類義語

自粛には以下のような類義語があります。

  • 自重:ひたすらに我慢して、軽はずみな行動を避けること
  • 自制:自分の感情や欲望を制限すること
  • 制限:物事や行動に、一定の限界を設けること
  • 禁止:ある行為を行わないように命令すること

「自粛」が公的組織などが自らの意思で行動を慎むこと、という意味があるのに対し、最も近い意味を持つのが「自重」です。その意味合いはほとんど同じですが、「自粛」が公的な主体を想定しているのに対し、より個人的な出来事や行動に対して用いられるのが、「自重」という単語です。

また「自制」に関しても自らの意思で制限すること、という点では同義ですが、その制限対象に違いがあります。「自粛」が行動の制限であるのに対し、「自制」は食欲などの欲望や、恋心などの感情がその対象です。

 

続いて「制限」と「禁止」ですが、どちらも行動に対する単語という意味では「自粛」に近いものがあります。しかし、「自粛」は主体の意思がその発端であるのに対し、「制限」や「禁止」は外的要因により、主体の行動に影響が出ることを指します。

そのため、行動に対する拘束力にも違いがあり、「自粛」「制限」「禁止」の順でその拘束力は強まります。こうしたニュアンスを履き違えると大問題になってしまう場合があるため、正しく押さえておくことが重要です。

「自粛」の英語訳

自粛を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • self-control
    (自制心、克己心)
  • self-imposed control
    (自制、自主規制)
  • self-restraint
    (自制、克己)

海外では、「自粛」という概念が根付いている国はそう多くはありません。そのため、厳密に日本語の「自粛」の意味と同じと言える英単語はないと言えるでしょう。しかし、そのニュアンスを伝える場合には、上記の英単語で十分表現できると言えるでしょう。

まとめ

以上、この記事では「自粛」について解説しました。

読み方自粛(じしゅく)
意味自ら進んで、自信の行動や言動を慎むこと
語源昭和前期の落語家の行動から
類義語自重、自制、制限、禁止など
英語訳self-control、self-imposed control、self-restraintなど

公的な発表によく使われる単語ですが、その意味を正しく理解できている人はそう多くないと言えます。少しの認識の違いが重大な結果を招くこともあるため、細部までしっかりと理解しておきましょう。