今回ご紹介する言葉は、熟語の「時節柄(じせつがら)」です。
言葉の意味・使い方・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「時節柄」をざっくり言うと……
読み方 | 時節柄(じせつがら) |
---|---|
意味 | その季節や世情にふさわしいこと |
類義語 | 季節柄、時分柄、最近は、など |
英語訳 | seasonable(今の季節にふさわしく)など |
「時節柄」の意味をスッキリ理解!
「時節柄」の意味を詳しく
「時節柄」とは、そのときの季節や世の中の状況にふさわしいことを示したいときに使う言葉です。手紙やメールなどの挨拶の際に使われる、定型文に近い表現です。
「時節」には「季節」という意味と「世情」という意味があります。そこから、季節または世情の現在の様子や風潮を汲んで、それにまつわるお願いを相手にするときや、それに基づいて自分の行動を説明するときに「時節柄」という言葉が使われるようになりました。
そのため、「時節柄」と言うときは、「今はこういう時期ですよね」という暗黙の了解が相手との間にあることが前提となる場合があります。
「時節柄」の使い方
「時節柄」は、以下の3つの状況でよく使われます。
- 時候のあいさつで始まった手紙の締め文として使う
- 食品を発送するときに一言添える
- 自社の行動などを説明するときに単品で使う
それぞれに対応した例文を紹介します。
- 時節柄、ご自愛ください。
- 時節柄、お早めにお召し上がりください。
- 「グローバル化」が声高に謳われる時節柄、弊社も社内のやり取りの一部を英語に切り替えるなどの取り組みを行っています。
上記の例文のように、「時節柄」は手紙やメールなどで使われます。
①は、手紙の締め文としてよく使われる表現です。文の意味としては、「健康を壊しやすい時期なので、体には気をつけてください」という意味になります。
多くの場合、冒頭に時候のあいさつがあります。たとえば手紙の冒頭に「師走を迎え、貴社におかれましては、ますますご健勝のことと存じます。」などのあいさつがあった場合、①は「寒い時期なので、体に気をつけてくださいね」という意味だと読み取れます。
②は、食品などを配送するときに添える手紙やメールに書かれている文です。「傷みやすい時期なので、早めに食べてください」という意味ですね。
③は、①や②のような少し異なります。ここでの「時節柄」は「このような世情にふさわしい」という意味になります。文全体としては、グローバル化が進む世の中だから、社内のやり取りの一部を英語に切り替えている、という文です。
この場合、「時節柄」という単語の前後に誰もが納得できるような関連性がないと、不自然な表現になってしまいます。
このように、「時節柄」は、それを受けた相手へのお願いや自分の行動を説明するときに使います。
「時節柄、ご自愛ください」の使い方
「時節柄、ご自愛ください」はビジネスの場面ではよく使われる表現です。使う際はいくつか注意すべき点があるため、確認しましょう。
- 今現在身体に不調をきたしている人に「ご自愛ください」は使わない
- 「ご自愛ください」には身体を大事にするという意味が含まれているため、「お体を」をつける必要はない
- 「くれぐれも」という単語をつけることも多く、目上の人相手でも使うことができる
- お風邪など召されませんよう、もよく使われる。「引く」ではなく「召す」なのに注意
「時節柄」の類義語
時節柄には以下のような類義語があります。
- 季節柄:今の季節にふさわしいこと。主に文章で使う
- 時候:今の季節にふさわしいこと。主に文章で使う
- ~の季節です:今の季節を表す言葉。口頭でも使うことができ、より具体的に季節のイベントなどを示すときにも使える
- 時分柄:今の時期にふさわしいこと。主に文章で使う
- 折柄:ちょうどそのとき。主に文章で使う
- ~の折:今の時期。文頭でも文末でも、口頭でも使える
- ~の候:今の時期。文頭でしか使わない
- 最近は~:今の時期。最もライトで口語的な表現
それぞれ、どういう意味を表すのか、文章で使うのか口頭で使うのか、などに細かい違いがあります。用途によって使い分けましょう。
「時節柄」の英語訳
時節柄を英語に訳すと、次のような表現になります。
- seasonable
(今の時期にふさわしく) - in these times
(このような状況に)
seasonableは季節について、in these timesは世情について言及するときに使います。
まとめ
以上、この記事では「時節柄」について解説しました。
読み方 | 時節柄(じせつがら) |
---|---|
意味 | その季節や世情にふさわしいこと |
類義語 | 季節柄、時分柄、最近は、など |
英語訳 | seasonable(今の季節にふさわしく)など |
「時節柄」というあいさつで手紙を締めると、少し柔らかい印象になります。積極的に使っていきましょう。