「人口に膾炙す」の意味とは?類語から英語まで例文付きで解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、故事成語の「人口に膾炙す(じんこうにかいしゃす)」です。

意味、例文、由来、類義語についてわかりやすく解説します。

☆「人口に膾炙す」をざっくり言うと……

読みかた人口に膾炙す(じんこうにかいしゃす)
意味多くの人の話題にのぼり、評判を得ること
由来古代中国の文章の「なますや炙りのように誰からも好まれる」という一節から
類義語「脚光を浴びる」「喝采を博す」「口の端にかける」など

「人口に膾炙す」の意味をスッキリ理解!

人口に膾炙す多くの人の話題にのぼり、高い評判を得ること

「人口に膾炙す」の意味を詳しく

「人口に膾炙す」という言葉は、「ポピュラー」と言い換えることができます

「人口」は、人数ではなく、「人の口」という意味です。「膾炙」は、「なます」と「炙ったもの」という意味です。つまり、「膾炙」は、食べ物のことです。

「人口に膾炙す」は、「美味しい食べ物のように、みんなの口にのぼり、好かれる」という意味があるのです。難しい漢字が使われていますが、美味しい食べ物の例だと理解すればなじみやすいでしょう。「多くの人が知っている」「評判がいい」といったニュアンスがあります。

「人に膾炙す」は、漢字が間違っています。「話題にのぼる」という意味があることからも、「工」ではなく「口」を使うことが納得できるでしょう。

「人口に膾炙す」の使い方

  1. 「ヤバイ」は、すっかり人口に膾炙した表現だ。
  2. 暑い日に打ち水をして温度を下げるのは、人口に膾炙している生活の知恵だ。
  3. この曲は、誰もが一度は歌ったことがある人口に膾炙した曲だ。
  4. 「重複」の「じゅうふく」という読み方は人口に膾炙してしまったが、本来は誤りだ。

①から③のように、ポジティブな意味で使われることが多いですが、④のようにネガティブな意味で使われることもあります。

「人口に膾炙す」の由来

「人口に膾炙す」は、古代中国の詩の一節に由来する言葉です。

今からおよそ1200年前の唐の時代に、林嵩(りんこう)が「周樸詩集序」に「一篇一詠、人口に膾炙す」と書いたのがはじまりです。

当時は、「膾(なます)」も「炙ったもの」も、人々に喜ばれる食べ物でした。当時のなますは、野菜ではなく、細切りの肉や魚を使った料理でした。膾も炙りも、肉を使ったごちそうだったのです。

林嵩は、詩の仲間が書いた作品を、「どの作品も、膾や炙りのように、人々の口にのぼって好まれる」とほめたたえたのです。

「人口に膾炙す」の類義語

「人口に膾炙す」には、以下のような類義語があります。

  • 脚光を浴びる:舞台で足元からのライトを浴びる俳優のように、注目されること
  • 喝采(かっさい)を博す:人々が声をあげてもてはやす対象になること
  • 口の端(は)にかける:人々が話題にすること

まとめ

以上、この記事では「人口に膾炙す」について解説しました。

読みかた人口に膾炙す(じんこうにかいしゃす)
意味多くの人の話題にのぼり、評判を得ること
由来古代中国の文章の「なますや炙りのように誰からも好まれる」という一節から
類義語「脚光を浴びる」「喝采を博す」「口の端にかける」など

「人口に膾炙す」は、少しカタい響きがあるかもしれません。しかし、意味を知ってしまえば使える場面がたくさんある便利な言葉です。