ゼラチンと寒天とアガーには触感など、11個の違いがあります。
ゼラチンや寒天は見かけたことがあっても、アガーはあまり馴染みのない方も多いのではないでしょうか。
他のもので代用できないのかなど、気になりますよね。
この記事では、ゼラチンと寒天とアガーの違いに加え、それぞれの使い分け方や特徴、レシピ、またお互いに代用可能かどうかなどについても解説します。
このページの目次
【結論】「ゼラチン」と「寒天」と「アガー」の11個の違い
ゼラチンと寒天とアガーには、以下のような11個の違いがあります。
ゼラチン | 寒天 | アガー | |
---|---|---|---|
食感 | ふわっと口溶けが良い | 歯切れが良い | ふるふるしてなめらか |
主な用途 | ゼリー、プリン、ムース、ババロア、マシュマロなど | ようかん、ゼリー、杏仁豆腐、ところてんなど | ゼリー、プリン、水ようかんなど |
原材料 | 牛や豚の骨や皮に含まれるコラーゲン | テングサやオゴノリなどの海藻 | カラギーナン(海藻の抽出物)や ローカストビーンガム(マメ科の種子の抽出物)などを混合 |
色 | 透明感のある薄い黄色 | 白く濁る | 無色透明 |
固まる 温度 | 20℃以下 | 40〜50℃ | 30℃〜40℃ |
溶ける 温度 | 25℃以上 (常温で溶けることも) | 70℃以上 | 60℃以上 |
使用量の 目安 | 液体の1〜3% | 液体の3〜5% | 液体の1〜2% |
カロリー | 344kcal | 3kcal | 320kcal |
糖質 | いずれも0g | ||
値段の 目安 | 100g/450円 | 100g/1000円 | 100g/680円 |
注意事項 | 一部の生のフルーツを入れると固まらない 常温で溶ける | 酸の強いものや牛乳、砂糖と一緒だと固まりにくい | 酸の強いものと一緒だと固まりにくい 完全に溶け切らないと固まりにくい |
これから、それぞれの特徴について詳しく見ていきたいと思います。
「ゼラチン」の特徴
ゼラチンの主な特徴をまとめると、以下の通りになります。
- 口溶けが良く、やわらかい
泡も固められるので、ふわふわの食感も作ることができる - ゼリーやプリン、ムース、ババロア、マシュマロなどに使われる
- 原材料は牛や豚の骨に含まれるコラーゲン(たんぱく質)
- 透明感のある薄い黄色
- 常温(25℃〜)で溶ける
- 一部の生のフルーツを入れると固まらない
キウイなどたんぱく質分解酵素を持つものはNG
その口溶けの良さから、ゼリーをはじめとしたさまざまなお菓子に使われています。
「ゼラチン」の種類
ゼラチンには、以下の種類があります。
- 粉ゼラチン
- 板ゼラチン
- 顆粒ゼラチン
粉ゼラチン | 板ゼラチン | 顆粒ゼラチン | |
---|---|---|---|
利点 | 使いやすい | 量りやすい 透明度が高く仕上がる | 使いやすい |
使われる場所 | 家庭用 | お店用 | 家庭用 |
ふやかす時間 | 短い | 長い | ない |
通常、ゼラチンは使う前に水でふやかす工程が必要です。
板ゼラチンはふやかすのに時間がかかるのに対して、粉ゼラチンや顆粒ゼラチンはほぼ必要ありません。
ただし、板ゼラチンの方が正確な分量が測りやすく、透明度も高いため、お店などでは板ゼラチンがよく使われます。
家庭で使うのであれば、粉ゼラチンか顆粒ゼラチンが良いでしょう。
「ゼラチン」の使い方
ゼラチンは、以下の流れで使います。
- (板ゼラチン・粉ゼラチンは)水でふやかす
- ①を60℃以上に温めた液体に入れて溶かす
- ②を冷蔵庫に入れて冷やし固める
- 冷蔵庫から出したらすぐ食べる
室温で溶けてしまうため
- タンパク質分解酵素を含むフルーツとは一緒に使えない
キウイフルーツやパイナップル、マンゴー、イチジク、メロンなど
タンパク質であるゼラチンが分解されてしまい、固まらないため - 強い酸と合わせるときは先にゼラチンを液体に溶かし、粗熱を取ってから加える
そうしないと固まりにくくなってしまうため
「寒天」の特徴
寒天の主な特徴をまとめると、以下の通りになります。
- 歯切れが良く、ほろっと崩れる
その代わり透明感や弾力性はない - 杏仁豆腐や水羊羹などに使われる
- 食物繊維を多く含み、ダイエットにいい
100gあたり3kcal - 原材料はテングサやオゴノリなどの海藻
- 色は白く濁っている
- 常温で固まる
そのため、ようかんや杏仁豆腐、グミなど、ある程度しっかり固める必要があるものに使われます。
「寒天」の種類
寒天には、以下の種類があります。
- 粉寒天
- 角寒天(棒寒天)
- 糸寒天
粉寒天 | 棒寒天(角寒天) | 糸寒天 | |
---|---|---|---|
利点 | 使いやすい | 風味豊か 柔らかめに仕上がる | 透明感がある 繊細な口当たり |
向いている人 | 初心者向け | 慣れた人向け | |
ふやかす時間 | いらない | いる | |
裏ごし | いらない | できればしたほうがいい | |
使い方 | 分量の液体に加えて2分ほど沸騰 | ちぎって2〜3時間水でふやかしたあと、液体に加えて2分ほど沸騰 | そのまま2〜3時間水でふやかしたあと、液体に加えて2分ほど沸騰 |
角寒天と糸寒天は水で2〜3時間ほどふやかす必要があります。粉寒天は必要ありません。
その後はいずれも液体に加えてから2分ほど沸騰させる必要があります。
なお、寒天を使う場合、以下の点には注意が必要です。
- 調味料や牛乳は寒天が完全に溶けてから入れる
- 果汁と合わせるときは、寒天が完全に溶けて、さらに粗熱が取れてから入れる
「アガー」の特徴
アガーの主な特徴をまとめると、以下の通りになります。
- 3つの中で最も透明度が高い
- ふるふるとした食感
- 常温でも溶けないため持ち運びができる
- 水ようかんやゼリーなどに使われる
- 原材料はカラギーナン(海藻)やローカストビーンガム(マメ科の種子の抽出物)
- 無味無臭
- 一般的なスーパーではあまり見かけない
そのため、素材の色が美しく残ります。水ようかんや透明なゼリーなどに使われます。
ただし、あまり一般的なスーパーでは見かけないため、業務用のスーパーやインターネット通販で探す必要があります。
「アガー」の使い方
アガーは、以下の流れで使います。
- 砂糖を使う場合は、あらかじめ砂糖と混ぜておく
- 液体を混ぜながらアガー(と砂糖)を加える
- ②を冷蔵庫に入れて冷やし固める
- ゼリー用、ムース用などが分かれているため用途を確認する
- ダマになりやすい
液体をかく拌(はん)しながら徐々にアガーを加えるようにする - 強い酸と合わせるときは先にアガーを液体に溶かし、粗熱を取ってから加える
「ゼラチン」「寒天」「アガー」は代用できるか
ゼラチンと寒天、アガーがそれぞれ代用可能かどうかは、以下の通りです。
- ゼラチン
アガーでなら代用できる
ただしアガーは少なめに加える必要あり - 寒天
ゼラチンやアガーでは代用が困難 - アガー
ゼラチンで代用できなくはない
ただし持ち運びは困難で、透明度も下がる
ただし、固めるだけならゼラチンやアガーでも可能です。
補足:「ペクチン」の特徴
ペクチンも液体を固めることができる材料の1つです。
家庭用ではあまり見かけませんが、飲食店などではよく使われています。
ペクチンの主な特徴をまとめると、以下の通りになります。
- 室温で固まるが時間がかかる
- どろっとした食感
- LMペクチンとHMペクチンの2種類がある
- フルーツソースなどに使われる
- 原材料は果実や野菜などから抽出
- 一般的なスーパーではあまり見かけない
補足:「ゼラチン」と「寒天」を混ぜるとどうなるか
ゼラチンと寒天を混ぜると、柔らかくて口当たりが良いけれどさっぱりしたゼリーができます。
配合によって硬さを変えることもでき、杏仁豆腐などにもよく使われます。
作り方は以下の通りです。
- 粉ゼラチンを冷水でふやかしておく
- 粉寒天は水と一緒に鍋に入れ、沸騰させて2分ほど煮る
- ②がしっかり溶けたら、①を加えて溶かす
- 好みの食材や調味料を加えて固める
ゼラチンと寒天とアガーの違いのまとめ
以上、この記事では、ゼラチンと寒天とアガーの違いについて解説しました。
ゼラチン | 寒天 | アガー | |
---|---|---|---|
食感 | ふわっと口溶けが良い | 歯切れが良い | ふるふるしてなめらか |
主な用途 | ゼリー、プリン、ムース、ババロア、マシュマロなど | ようかん、ゼリー、杏仁豆腐、ところてんなど | ゼリー、プリン、水ようかんなど |
原材料 | 牛や豚の骨や皮に含まれるコラーゲン | テングサやオゴノリなどの海藻 | カラギーナン(海藻の抽出物)や ローカストビーンガム(マメ科の種子の抽出物)などを混合 |
色 | 透明感のある薄い黄色 | 白く濁る | 無色透明 |
固まる 温度 | 20℃以下 | 40〜50℃ | 30℃〜40℃ |
溶ける 温度 | 25℃以上 (常温で溶けることも) | 70℃以上 | 60℃以上 |
使用量の 目安 | 液体の1〜3% | 液体の3〜5% | 液体の1〜2% |
カロリー | 344kcal | 3kcal | 320kcal |
糖質 | いずれも0g | ||
値段の 目安 | 100g/450円 | 100g/1000円 | 100g/680円 |
注意事項 | 一部の生のフルーツを入れると固まらない 常温で溶ける | 酸の強いものや牛乳、砂糖と一緒だと固まりにくい | 酸の強いものと一緒だと固まりにくい 完全に溶け切らないと固まりにくい |
代用方法や、ゼラチンと寒天を混ぜた場合についても、覚えておくと便利です。