「いずれも」の意味とは?「いづれも」との違いは?使い方まで解説

言葉

「いずれも」とは「どれもこれも、それぞれとも」という意味です。

「いずれも」は日常生活でもよく使用しますが、意味や使い方を意識したことはあまりないのではないでしょうか。

また、平仮名で表記する場合に、「いずれも」と「いづれも」どちらを使えばいいのか迷ったことはありませんか?

この記事では、意味や使い方、表記の違いについてスッキリ解説しています。

「いずれも」をざっくり言うと……
  • 「いずれも」の意味は「どちらも」「どちらにしても」など
  • 「いずれ」を使った表現は他に「いずれか」「いずれも」「いずれにしても」など
  • いづれも」は歴史的仮名遣いで現在は使われていない
  • 「いずれも」と似た言葉は「いずれにしても」「いずれにせよ
  • 「いずれも」の類義語は「どちらも」「両方とも」「それぞれ」など
  • 「いずれも」の英語訳は「both A and B」「everyone」「Each one of them

☆「いずれも」をざっくり言うと……

漢字表記何れも、孰れも
意味どれもこれも、それぞれとも
類義語どちらも
両方とも
それぞれ など

「いずれも」の意味

いずれも

  1. どちらも
  2. どちらにしても
  3. それぞれ
  4. あなたがた、みなさん

「いずれも」は、「どちらも」「どちらにしても」「それぞれ」「あなたがた」という意味を持ちます。

二つ以上の対象に対して、それぞれのものを1つにまとめて示す際に使用する言葉です。

「二つともAである」「二つともAではない」と言う場合に使用されます。

また、人に対して使用する場合は、「あなたがた」「みなさん」という意味になり、複数の相手を言い表す言葉になります。

「いずれも」の漢字表記

「いずれも」の漢字は「何れも」「孰れも」です。

 

「いずれも」は新聞やテレビなど多くの場合は平仮名で表記されます。

一方で、小説や俳句などで少し硬い雰囲気を表したい場合には、漢字で「何れも」と表記されることがあります。

また、「孰れも」は漢文などで使われることがありますが、現代ではあまり使われていません。

「何れも」「孰れも」のどちらで表記しても意味は同じですが、特別な理由がない場合には、平仮名を使用するのが無難です。

「いずれ」を使用した表現

「いずれ」を使用した表現には、以下のようなものがあります。

  • いずれか
  • いずれも
  • いずれにしても
  • いずれとも無し
  • いずれ劣らぬ
  • いずれもさま
  • 何れ菖蒲か杜若(いずれあやめかかきつばた)
それぞれの言葉の意味を確認しましょう。

「いずれか」の意味

「いずれか」は、対象が複数ある中で「どれが~か」「どちらが~か」という意味で用いられます。

かつては、「どれもこれも」「どちらも」という意味でも使われていました。

しかし、現在ではほとんどそうした意味で使われることはありません。

例文
  • いずれかのオプションをお選びください。

「いずれも」の意味

「いずれも」は、 二つ以上のモノ・人をひとまとめにして表す言葉です。

「どれも」「だれも」「みんな」などの意味として使用されます。

「both」「all」「any」「either」「none(否定形を伴う)」などと英訳される表現です。

例文
  • 山も海も、いずれも行きたくて迷う。

「いずれにしても」の意味

「いずれにしても」は、 複数ある選択肢の中から、どれを選んだとしても結果は同じであるということを表す言葉です。

「どちらを選んでも」「事情がどうであろうと」「どっち道」といった意味で使われます。

例文
  • いずれにしても、外出を避けるべきことに変わりはない。

「いずれとも無し」の意味

「いずれとも無し」は、「比較してもどちらがどうということはない」「取り立てて優劣はない」という意味の言葉です。

両者が拮抗している場合に、よく使用される言葉です。

「いずれとなし」と表記されることもあります。

例文
  • A案とB案はいずれとも無し、だ。

「いずれ劣らぬ」の意味

「いずれ劣らぬ」は「いずれ」と「劣らぬ」が組み合わさった言葉です。

どれもが非常に優れていて、互いにひけを取らないという様子を表しています。

「どれもが優れているため、見劣りするものがない」という意味で、褒め言葉や讃辞として用いられます。

例文
  • A社の製品もB社の製品もいずれ劣らぬ性能なのでまよってしまう。

「いずれもさま」の意味

「いずれもさま」は その場にいる人や、その人に関わりのある人、全体を指す言葉です。

「みなさま」とほとんど同じ意味として使用されます。

例文
  • いずれもさまにおかれましては、迅速な避難へのご協力をお願いします。

「何れ菖蒲か杜若」の意味

「何れ菖蒲か杜若」は、菖蒲(アヤメ)と杜若(カキツバタ)が似ていて区別がつきにくいことから、 どちらも優れていて優劣がつけにくいということを表す慣用句です。

例文
  • 今年の大学ミスコンは、いずれ菖蒲か杜若で、美女ばかりだ。

「いずれも」と「いづれも」の違い

「いずれも」と「いづれも」には以下のような違いがあります。

  • いずれも
    現代仮名遣い
  • いづれも
    歴史的仮名遣い
「いづれも」は歴史的仮名遣いであるため、現代は使われていません。

「いづれも」は昭和初期の頃まで使用されていたため、現代でも目にすることがあると思います。

しかし、現代の言葉として正しいものは「いずれも」であるため、表記には注意しましょう。

歴史的仮名遣いとは
「歴史的仮名遣い」とは、昔使われていた仮名遣いのことです。

「仮名遣いの基準を現在の発音によらず、古文献におくもの」のことを指し、「旧仮名遣い」「復古仮名遣い」「古典仮名遣い」などとも言います。

たとえば、「会ふ」「にほひ」「をとこ」などの歴史的仮名遣いがあります。

それぞれ現代仮名遣いにすると、「会う」「におい」「おとこ」となります。

「いずれも」の使い方


「いずれも」は以下のような場面で使用します

「いずれも」の使い方
  • 二つ以上の対象にまとめて指す場合
次に具体的な例文について見てみましょう。
  1. クライアントから多数のオファーが来たが、いずれも大きな案件だったため自分では決断できない。
  2. Aさん、Bさん、いずれも納期までに仕事を終えるようにお願いいたします。
  3. 店員から勧めれた服が、いずれも高価格だった。
「いずれも」は対象が二つ以上あり、どちらについても言及する場合に使用することができます。

また、②の例文のように、人に対しても使用することができます。

「いずれも」と似た言葉

「いずれも」と似た言葉として、「いずれにしても」「いずれにせよ」という言葉があります。

よく混同されて使われますが、これらには以下のような違いがあります。

  • いずれも
    二つ以上の対象が同じであること
  • いずれにしても・いずれにせよ
    二つ以上の対象のどれを選んでも結果が変わらないこと
「いずれも」と「いずれにしても」「いずれにせよ」はどちらも、二つ以上の対象について言及している点が共通しています。

一方で、「いずれにしても」「いずれにせよ」には、どれを選んでも結果は変わらないという意味があり、何をしても仕方がないというネガティブなニュアンスを含んでいます。

「いずれも」と似ているため混同されやすい言葉ですが、意味の違いには十分注意しましょう。

例文
  • 予算が尽きたため、いずれにしても、彼のプロジェクトは中止になるだろう。
  • いずれにせよ、結果が出ないことにはどうしようもない。

「いずれも」の類義語


「いずれも」には以下のような類義語があります。

  • どちらも
    二つとも
  • 両方とも
    二つとも
  • 双方とも
    二つとも
  • それぞれ
    各自、めいめい
  • みなさん
    その場にいる人、かかわりのある人全員
  • どれもこれも
    その場にある対象すべて
  • どちらにせよ
    選択肢の中でどれを選択しても結果が大きく違わないこと
「どちらも」「両方とも」は、二つ対象のうち一方ではなく、その両方とも同じ様子であるさまなどを示す表現です。

一方で、「それぞれ」「めいめい」は、対象が2つ以上存在する場合に使用します。

「いずれも」の英語訳


「いずれも」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • both A and B
    (AとBのどちらも)
  • everyone
    (みなさん)
  • Each one of them
    (それぞれ)
“both A and B” の指す対象が2つであるのに対し、 “everyone” “Each one of them” は複数の対象に対して使用することができます。

前後の文脈からしっかり使い分けるようにしましょう。

「いずれも」のまとめ

以上、この記事では「いずれも」について解説しました。

英語訳both A and B(AとBのどちらも)

漢字表記何れも、孰れも
意味どれもこれも、それぞれとも
類義語どちらも
両方とも
それぞれ など

「いずれも」は日常生活でもよく使用する言葉ですが、意味や表記が分かりにくい言葉です。

この機会に、意味や使い方、表記についてしっかり確認しておきましょう。

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