「いただく」「頂く」「戴く」の違いとは?使い分けまで解説

違いのギモン

日本語は漢字によって意味が変わるため、その意味の違いを理解するのはなかなか難しいですよね。いざという時、その意味の違いを理解できていなくて困ってしまうこともあるでしょう。

「いただく」という言葉は、そんな紛らわしい言葉の一つですよね。そこで、今回は「いただく」「頂く」「戴く」の3つの言葉の違いを解説します。

結論:「頂く」と「戴く」の意味は同じで、「いただく」のみ意味が違う

「いただく」は、補助動詞としての役割を果たします。

「頂く」と「戴く」は、「食べる・飲む」の謙譲語と「もらう」の謙譲語です。

「いただく」をもっと詳しく


「いただく」を漢字にすると、「頂く」なにります。ですが、「いただく」は平仮名で表記しなければならない場合があります。

平仮名の「いただく」は補助動詞としての意味があります。補助動詞とは、動詞の後につけることで、もともとの動詞の意味に付加的な意味を与えることのできる動詞のことです。

たとえば、「雨が降っている」という文章では、「降って」が動詞で「いる」が補助動詞となります。ここでは、「今まさに天気が雨である」という現在進行形のニュアンスを「いる」という補助動詞がもたらしています。

平仮名で「いただく」と表記されている場合は、「何かを~してもらう」という意味の補助動詞となります。

「いただく」の使い方の例

先ほど説明した通り、平仮名の「いただく」には「何かを~してもらう」という意味があります。

したがって、以下のような使い方があります。

  1. 今日はお休みさせていただきます。
  2. こちらにお越しいただけますか。
  3. お褒めの言葉をいただき、ありがとうございます。

「頂く」をもっと詳しく


「頂く」には、「食べる・飲む」の謙譲語の意味と、「もらう」の謙譲語の意味があります。

ちなみに、「頂」という漢字は、「頂上」や「頂点」といった言葉に使われている通り、「一番上・てっぺん」という意味を持っています。

「頂く」の使い方の例

「頂く」の使い方の例としては、以下のようなものが挙げられます。

  1. 先ほどお食事を頂いた
  2. 先生からお便りを頂いた
  3. 先輩からお土産を頂いた

①は「食べる」の謙譲語として、②と③では「もらう」の謙譲語として「頂く」を用いています。

「戴く」をもっと詳しく

「戴く」の意味は、基本的に「頂く」の意味と同じです。

ですが、「頂く」が「食べる・飲む」の謙譲語と「もらう」の謙譲語なのに対し、「戴く」には「ありがたく受け取る」という意味もあります。

また、「頂」も「戴」も常用漢字ですが、「戴」には「いただく」という音訓が掲げられていません。したがって、一般的に「いただく」を漢字表記する場合は「頂く」と表すことが多いです。

「戴く」の使い方の例

「戴く」の意味は基本的に「頂く」の意味と同じため、使い方も同じです。

例として、以下のような使い方が挙げられます。

先輩からお菓子を戴く

この例文は、「お菓子をありがたく受け取る」という意味になります。それに対し、同じ文で「頂く」という漢字を使っていた場合には、「(自分が)お菓子を食べる」という意味になります。

このように、基本的には意味が同じでも、漢字一つでその状況によって意味が異なることがあるので注意が必要です。

「頂戴」の意味と使い方

「頂戴」は、「頂く」と「戴く」の漢字を使っていますよね。

「頂戴」には、「目上の方からものをいただくこと」「頭上にものをいただきささげること」という意味があります

「頂く」や「戴く」と比較して、「頂戴」はより相手を敬う意味が込められています。人から何かをもらったり、もらったものを飲食しているときに、自分のことをへりくだって言う言葉が「頂戴」になります。

使い方の例として、以下のようなものが挙げられます。

  1. 貴重なご意見を頂戴し誠にありがとうございます。
  2. 賞状を頂戴してひきさがる。

まとめ

以上、この記事では、「いただく」「頂く」「戴く」の違いについて解説しました。

  • いただく:補助動詞としての役割
  • 頂く:「食べる・飲む」の謙譲語、「もらう」の謙譲語
  • 戴く:「頂く」と同じ意味だが、「いただく」の読みは正式にはない

これでもう、「いただく」をどのように表記するのか悩むことはありませんね。平仮名と漢字の使い分けは難しいですが、意味をきちんと理解して、これからは注意して使い分けていきましょう。