「利率」と「金利」と「利回り」の違いとは?債権の基本まで解説

違いのギモン

「働かずにお金を稼ぐことはできないか」
「勝手にお金が増えていくことはないのだろうか」

だれもが一度は考えることでしょう。

しかし、実は方法はあります。例えば、債券投資や定期預金です。元本は必要ですが、これらは継続的に行えば、長期的には「金利」によりお金が増えていきます。しかし、金融商品の用語はややこしく、「金利」の他に「利回り」「利率」といった言葉もあります。

今回は、これらの違いが分かりづらい「利率」「金利」「利回り」の違いについて解説していきます。

結論:「利率」「金利」は利息の割合。「利回り」は収益の割合。

「利率」「金利」とは、一定期間貸したお金に対する利息の割合です。「金利」は、利息自体や、債権(※)の額面金額に対する一年の利息の割合を指す場合もあります。

「利回り」は投資金額に対する一年間の収益の割合です。

※そもそも「債権」とは?

債権とは、債権者が債務者に対して、何らかの行為を請求する権利のことです。金融の世界においては国や地方自治体、企業などが資金を調達するために、投資家を対象として発行するもののことを指します。

特に、利息の支払いを目的とする債権を「利息債権」といいます。国が発行する債権を国債、地方自治体が発行する債権を地方債、企業が発行する債権を社債といいます。

また、債権の元本を債権の所有者に返却する際に受け取ることのできるお金を「額面金額(がくめんきんがく)」といいます。

「利率」をもっと詳しく


「利率」とは、一定期間貸した資金にに対する利息の割合のことです。特に指定がない場合には、一年ごとの利息の割合である「年利」となります。しかし、一か月を単位とした「利率」である「月利」、一日を単位とした「利率」である「日歩(ひぶ)」などもあります。

「表面利率」のことを「利率」という場合もあります。これは「クーポンレート」とも呼ばれる債権の用語で、額面金額に対する、一年ごとに受け取る利息の割合のことです。「表面利率」とは、「1年間」という期間における「金利」であるとも言えます。

 

「表面利率」は利息の割合を表す数なので、「利息÷額面金額×100=利率」で求めることができます。

例えば、額面金額が100万円の債権を購入し、1年後に2万円の利息を受取る場合には、
2万(利息)÷100万(額面金額)×100=2%(利率)
となり、この場合の利率は2%となります。

「金利」をもっと詳しく


「金利」には2つの意味があります。「利率」という意味と、「利息」という意味です。前者の意味であれば単位は%、後者の意味であれば単位は円になります。つまり、「金利」という言葉が使われている文脈により、意味が変化します。

「金利」は「利率」よりも意味が広いため、割合を表すときには「利率」と言った方が正確です。しかし「金利」の方が言葉としてより一般的で、認知度が高いです。

 

「金利」には、当初の金利が満期まで変動しない「固定金利」と、途中で変動する可能性のある「変動金利」があります。また、「単利」「複利」にも分けることができます。

単利では利息は常に貸し出した元本に対してのみ利息が付きます。この場合利息は発生するごとに受け取ることができます。一方「複利」では発生した利息が元本に組み入れられます。つまり次の利息発生時には、今までの元本の一部としてみなされます。

長期的に見ると、複利の方が単利よりも利息は大きくなります。

「利回り」をもっと詳しく


「利回り」とは、投資金額に対する、一年ごとに得る収益の割合です。債権は、常に額面価格通りに売買されるとは限りません。例えば「額面価格100万円」の債権が98万円で売りに出されることも考えられます。

この場合、実質的には「一定期間後に100万円を得る権利を98万円で買う」ということになります。このように額面価格と販売価格が異なる債権において、「利回り」は特に重要になります。

「利回り」は「年間収益÷投資金額×100」で求めることができます。

(例)額面金額100万円で利率2%の債券を90万円で購入し、満期までの5年間保有する場合

1年間の利息収入 100万円×0.02=2万円

額面金額と購入金額の差益 100万円−90万円=10万円
額面金額と購入金額の差益(一年あたり) 10万円÷5年=2万円

年間収益 2万円+2万円=4万円

よって「利回り」は次のようになります。
4万円(年間収益)÷90万円(投資金額)×100=4.444…%

「表面利回り」と「実質利回り」

不動産投資の場合には、「利回り」は「表面利回り」「実質利回り」に分けられます。

「表面利回り」とは、例えば、マンション経営における表面利回りというのは、物件価格に対する家賃収入の割合です。「実質利回り」というのは、管理費や固定資産税、登録免許税などの諸経費を考慮に入れた上での、実質的な「利回り」のことです。

広告では、より利回りが高そうに見える「表面利回り」で表示されていることがあります。しかしより正確で実際的な利回りは「実質利回り」です。

 

(例)5000万円の物件。家賃収入は年間250万円で、年間の諸経費が30万円、ローンの利息が100万円かかる場合

表面利回り 250÷5000×100=5%
実質利回り(250-30−100)÷5000×100=2.4%

まとめ

以上、この記事では、「金利」「利率」「利回り」の違いについて解説しました。

  • 利率:貸した資金に対する利息の割合
  • 金利:貸した資金に対する利息の割合。また、利息。
  • 利回り:一年ごとに得る収益の割合

「債権」には非常に多くの種類があり、その条件は様々です。リスクが高い「債権」は当然「利率」も高くなる場合が多く、購入時には慎重に検討する必要があります。

資産を運用し、安定的に高い収益を出すためには、相応の資産運用の知識が必要となります。「勝手にお金が増えていく」ことはあっても、「楽してお金が増えていく」ことはない、ということでしょう。