日本語には似ているものの微妙に意味が違う単語がいくつもあります。
その例をあげるときりがありませんが、「指示」と「指導」はそのひとつだと思います。
そして、「指示」と「指導」は一般的に使われる時と教育の場面で使われる時と法律上で使われる時とで微妙に意味が変わる厄介な言葉です。
そこで、今回は「指示」と「指導」の違いについて解説していきたいと思います。
結論:ニュアンスが違う
まず、「指示」とは物事を指し示したり指図したりすることです。
一方、「指導」とは他者をある目的や方向に教え導くことです。
「指示」をもっと詳しく
指示とは物事を指し示したり指図したりすることです。
命令に近い言葉であると考えればわかりやすいでしょう。
ただ、命令や指図ほど強制的なニュアンスはありません。
そして、一人ではできないということが前提にあります。
例えば、「部下に取引先へ電話するよう指示を出した」と言った場合には、部下が取引先へ電話をするかどうか自己判断できないことが前提になっていますよね。
また、「指示」には単発でも使うことができるという特徴もあります。
例えば、上の例では別に一本電話をかければ大丈夫で、その先に何か続きがあるわけではありませんよね。
そんな「指示」ですが教育現場と法律上では少し違った使われかたをします。
それぞれについて見ていきましょう。
教育現場での「指示」
教育現場での「指示」は意味に違いはありませんが、使われかたに特徴があります。
まず、教育現場において指示は的確にわかりやすく伝える必要があります。そうしないと、生徒は混乱してしまうことでしょう。
また、期限や場所などを特定すると具体的になってわかりやすいです。
例えば、「教科書の 58 ページを解いてきてください」と言うよりも、「あさってまでに教科書の 58 ページを解いて、ホームルームの時間に教卓まで提出しに来てください」と言ったほうがわかりやすいですよね。
そして、目的も明確なほうがいいでしょう。なぜなら、目的を説明すれば生徒が納得してくれて、無理やりやらされている感じが薄れるからです。
例えば、「計算ドリルをやってきてください」というよりも「計算ミスを減らすために計算ドリルをやってきてください」と言ったほうがいいでしょう。
法律上の「指示」
法律上の指示は「規定する行為に従わなければならないこと」という意味です。つまり、強制力があるのです。
そして、具体的には警察法災害対策基本法などにこの言葉が登場します。
「指導」をもっと詳しく
指導とは他者をある目的や方向に教え導くことです。
そして、「指導」には教育と似たニュアンスがあり、長い目で見て相手をより良い方向に導くという意味で使われることが多いでしょう。
また、最終的なゴールを達成するまで比較的長い時間がかかるという特徴があります。
例えば、「バイト先で後輩を指導する」と言った場合には、後輩が一人前に仕事ができるようになるまで指導は終わりません。
また、指導はその人がそれをできるということが前提になっています。
例えば、上の例で言えば後輩に指導するためには自分がその仕事をしっかりこなせる必要がありますよね。
ここからは指導の教育現場での使いかたと法律上での使いかたについて見ていきましょう。
教育現場での「指導」
教育現場での指導は相手のレベルや状況に合わせて行う必要があります。
例えば、小学生に微分を指導するのは無理がありますよね。もし微分を理解できる小学生がいたら、その子は天才だと思います。
また、指導は少しずつ段階を経てやっていく必要があります。
例えば、小学生だったらまず足し算から始まり、引き算、かけ算というように、だんだんとレベルを上げていく必要があります。
法律上の「指示」
法律上での「指示」は勧告・助言というニュアンスが強く、強制というわけではありません。
例えば不適切な経営をしている会社への行政指導などで「指導」という言葉が使われています。
そして、この場合、もっと適切な経営をしてくださいという指導は入りますが、これに反したからといって罰則があるわけではありません。
まとめ
以上、この記事では、「指示」と「指導」の違いについて解説しました。
- 指示:物事を指し示したり指図したりすること
- 指導:他者をある目的や方向に教え導くこと
「指示」と「指導」にはこのような違いがあったんですね。今度からは間違えないように使っていきたいものです。