今回ご紹介する言葉は、「韻を踏む(いんをふむ)」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「韻を踏む」をざっくり言うと……
読み方 | 韻を踏む(いんをふむ) |
---|---|
意味 | 同じ音を持つ言葉やフレーズを使って、リズムを作ること |
由来 | 漢詩の形式「絶句」から |
類義語 | 韻を押す、押韻 |
英語訳 | rhyme(韻) |
「韻を踏む」の意味をスッキリ理解!
「韻を踏む」の意味を詳しく
「韻を踏む」とは、「同じ音を持つ言葉やフレーズを使って、リズムを作ること」です。
小説や詩などの読み物や、ラップをはじめとしたさまざまな音楽で使われる技法です。標語にも使われます。
韻には、以下の種類があります。
- 脚韻(きゃくいん)
- 頭韻(とういん)
- 母韻(ぼいん)
- 子韻(しいん)
①脚韻
脚韻は「同じ音で終わる単語を繰り返す」ことです。英語では “end rhyme” と言います。
たとえば、インテルのCMで有名な「インテル入ってる」というフレーズは脚韻です。イン「テル」と入っ「てる」でリズムを作っているため、妙に耳に残るフレーズになっています。
②頭韻
頭韻は「同じ音で始まる単語を繰り返す」ことです。英語では “alliteration” と言います。
例としては、「咲いた咲いた桜が咲いた」や「為せば成る為さねば成らぬ何事も 成らぬは人の為さぬなりけり」などが挙げられます。それぞれ「さ」「な」が繰り返されることでリズミカルなフレーズになっています。
③母韻
母韻は「言葉の中の母音の並びを繰り返す」ことです。「韻を踏む」というと、この母韻を思い浮かべる人も多いでしょう。英語では “assonance” と言います。
たとえば、FUNKY MONKY BABYSの「告白」という歌には「熱くなる鼓動が痛いくらい 本当に僕らしくない」という歌詞があります。
ここで、最後の「痛いくらい」と「らしくない」の母音を書き出すと「IAIUAI」「AIUAI」となり、5つの母音が繰り返されていることがわかります。これが母韻です。
④子韻
子韻は「言葉の中の子音の並びを繰り返す」ことです。日本語ではあまり多くありませんが、英語では頻繁に使われます。英語では “consonance” と言います。
たとえば、コカコーラの英語名は “Coca-Cola” で、Cが3回繰り返されています。
「韻を踏む」の使い方
- 今のラッパーの韻の踏み方は見事だったなあ。
- あんなに何度も韻が踏めるなんて、相当語彙力があるんだろう。
- つい口ずさみたくなる歌は、だいたい韻がきれいに踏まれている。
①は、ラッパーを褒め称える文です。ラッパーはリズムよく言葉を紡(つむ)ぎながら自己表現をしますが、韻を踏むことはそのための重要な技法になります。
②は、韻を踏んでいる人に感心している文章です。ただ言いたいことを言うだけではなく、リズムまで考えながら言葉を選ぶためには、高い語彙力が必要です。
③は、歌について説明している文です。韻が上手に踏まれている歌はリズムの面からも聴き心地がよく、ついつい歌いたくなります。
このように、「韻を踏む」はさまざまな形で活用して使われます。
「韻を踏む」の由来
日本人が韻を踏むようになったきっかけは、中国の詩の形式である「絶句」というルールが由来だと言われています。
「絶句」とは、4行で構成された漢詩のことです。この「絶句」では、2行めと4行めで脚韻を踏む必要があります。これが日本にも流入しました。
たとえば、有名な絶句の漢詩に、李白の『静夜詩』があります。
床前看月光
疑是地上霜
挙頭望山月
低頭思故郷
この詩では、1行めと2行めと4行めの一番最後の音が「コウ」「ソウ」「ゴウ」となり、脚韻を踏んでいます。なお、現代中国語では「グアン」「シュアン」「シアン」に近い音になります。
また、韻を踏むの「踏む」はもとは「履む」であったと言われています。「履む」とは、手本や規則に倣って何かを行うことです。そのため、韻を用いたルールに則って言葉を並べることが「韻を踏む」と言われるようになりました。
「韻を踏む」の類義語
「韻を踏む」には以下のような類義語があります。
- 韻を押す
- 押韻
「韻を踏む」と「ダジャレを言う」の違い
「韻を踏む」ことと「ダジャレを言う」ことには、以下の違いがあります。
- 韻を踏む:「似たような音だけど違う言葉」でリズムを作る
- ダジャレを言う:「同じ音だけど違う意味の言葉」で遊ぶ
なお、ダジャレは韻も踏めているものがほとんどです。たとえば「ラブレターが破れた」などは脚韻と母韻にあたります。
「韻を踏む」の英語訳
「韻を踏む」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- rhyme
(韻)
まとめ
以上、この記事では「韻を踏む」について解説しました。
読み方 | 韻を踏む(いんをふむ) |
---|---|
意味 | 同じ音を持つ言葉やフレーズを使って、リズムを作ること |
由来 | 漢詩の形式「絶句」から |
類義語 | 韻を押す、押韻 |
英語訳 | rhyme(韻) |
韻が踏まれているところを見つけられると、詩や歌などがよりいっそう楽しめます。CMなどでもよく韻が踏まれているので、ぜひ意識してみてください。