部長や会長などの身分、会社の経営権などを引き継ぐ際に「継承」という表現が使われることが多くあります。しかし、類似した表現として「承継」というものが存在します。
今回は、「継承」と「承継」の違いについて解説していきます。
結論:引き継ぐ対象が違う!
それに対し、継承は先の人の身分・権利・義務・財産などを引き継ぐことを指します。
「承継」をもっと詳しく
承継は、地位・事業・精神などを引き継ぐことです。これらのように、抽象的なものを受け継ぐ際に、「承継」は使われます。
承継の「承」は「うけたまわる、他人の意図をうけいれる」という意味があります。また、「継」には「あとを引き受ける、つぐ」という意味があります。
漢字の順番から、承継には他人の意図を理解した上で後を引き受けるというニュアンスが込められています。そのため、前任の考えや思いを理解し、その上で後を継ぐ場合に使われる言葉です。
また、承継は権利または義務を引き継ぐ法律用語としての使い方があります。「承継」と「継承」の使い分けが難しい場面として、事業を継ぐときにどちらの言葉を使えばよいかが分からないという物があります。このような場合には、「承継」が一般的に使われます。
事業承継とは
事業承継とは、会社の経営を後継者に引き継ぐことを指します。事業承継には基本的に、経営の承継・資産の承継・知的財の承継の三つが必要であると考えられています。
経営の承継
経営の承継とは、経営権を後継者に譲り渡すことを指します。
後継者はかつては親族内で選ばれることが多かったのですが、近年では親族外から選ばれるケースも多くなっています。
資産の承継
資産の承継は、株式など会社の財産を後継者に渡すことを指します。
株式や資金など物質的なもの以外にも、財産権や許認可を引き継ぐことも資産の継承に当てはまります。
知的財の承継
知的財の承継とは、経営理念など形の無いものを後継者に引き継ぐことを指します。
経営理念以外にも、ノウハウや人脈なども引き継がれます。
「承継」の使い方の例
- 先祖から続く事業を承継する。
- 先代から伝わる精神を承継していきたい。
「継承」をもっと詳しく
継承とは、身分・権利・義務・財産などを引き継ぐことを指します。他にも資格や経済的価値などといった、具体的なものを引き継ぐ際に継承が使われます。
継承は漢字の順番から、引き継ぐことで前任者の思いを理解するというニュアンスが含まれています。
また、使用例は多くはありませんが、技術を次の世代に受け継ぐ際にも、継承という表現が使われることがあります。
プログラミングにおいての継承
プログラミングの中でも、継承という言葉が使われます。あるオブジェクトが他のオブジェクトの特性を受け継ぐとき、二つのオブジェクトの間に「継承関係」があるといわれます。
「継承」の使い方の例
- 王位を子孫に継承する。
- 伝統文化の継承者となる。
まとめ
以上、この記事では、「承継」と「継承」の違いについて解説しました。
- 承継:先代の地位・事業・精神など抽象的なものを引き継ぐこと
- 継承:先代の身分・権利・義務・財産など具体的なものを引き継ぐこと
これまで述べてきたように、承継と継承では引き継ぐ対象が違います。何かを引き継いだり、また引き継がせる場面は人生に多くあります。そのような際に引き継ぐものに応じて、上手に言葉の使い分けが出来るようにしていきましょう。