四字熟語「慇懃無礼(いんぎんぶれい)」の意味と使い方:例文付き

言葉

今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「慇懃無礼(いんぎんぶれい)」です。

言葉の意味・使い方・由来・類義語・対義語・英語訳・中国語訳についてわかりやすく解説します。

「慇懃無礼」の意味をスッキリ理解!

慇懃無礼(いんぎんぶれい):言葉や態度などが丁寧すぎて、むしろ失礼であること

「慇懃無礼」の意味を詳しく

「慇懃無礼」には、下記の意味があります。

「慇懃無礼」の意味
  1. 表面上はとても丁寧だが、実は心の中で馬鹿にしていること
  2. 言葉や態度が丁寧すぎて、むしろ失礼になること

基本的には①の意味で用いられます。

なお、「慇懃」を「殷勤」と書くのは間違いなので注意してください。

「慇懃(いんぎん)」とは?意味や使い方を例文付きで解説

「慇懃無礼」の使い方

「慇懃無礼」は、以下のように使われます。

  1. 店が満席なのは仕方ないが、慇懃無礼な態度で断られたことは不愉快である。
  2. 彼女は先輩に気を使いすぎるあまり、慇懃無礼だと思われることがある。
  3. 正しい敬語の使い方を身に着けて、慇懃無礼に見えないように人と接することを努める。
①の例文では、口調は丁寧でありつつも、申し訳なさがこもっていない態度にいらだっていることがわかります。

②の例文では、彼女の丁寧さがむしろ先輩を蔑んで(さげすんで)いると受け取られることについて危惧しています。

③の例文では、過度な敬語、間違った敬語を使わないことが、失礼だと思われない秘訣だと述べています。

また、「慇懃無礼」は、主に下記のような言い回しで使われます。

よく使う言い回し
  • 慇懃無礼な人
  • 慇懃無礼な態度
  • 慇懃無礼な言葉
  • 慇懃無礼なメール

「恐れ入りますが」「お手数をおかけしますが」などのクッション言葉の多用や、回りくどく下手に出すぎているメールは、「慇懃無礼なメール」に当たります。

「慇懃無礼」の由来

「慇懃無礼」は「慇」「懃」「無礼」に分解できます。

それぞれの意味は下記の通りです。

  • :丁寧である、懇ろである
  • :丁寧である、疲れるほど気を遣う
  • 無礼:礼儀を欠くこと、失礼であること

「慇懃」は、非常に丁寧で礼儀正しいことを言います。同じ意味の漢字を重ね、語意を強調した言葉です。

「礼儀正しさを崩さない集まり」という意味の「慇懃講(いんぎんこう)」という言葉にも使われます。

一方、「無礼」は敬意を示すべき相手に礼儀を示さないことを指します。

このように正反対の意味をもち、かつ独立した2つの言葉が組み合わさって、「慇懃無礼」という四字熟語が生まれました。

「慇懃」の対義語は、「身分・地位の上下を抜きにして楽しむ酒宴」である「無礼講」です。

「慇懃無礼」の類義語

慇懃無礼には以下のような類義語があります。

  • 慇懃尾籠(いんぎんびろう):言葉や態度などが丁寧すぎてむしろ失礼であること、表面上は丁寧だが内心では相手を見下していること
  • 馬鹿慇懃(ばかいんぎん):過剰に丁寧であること、表面上は丁寧だが内心では相手を見下していること
  • 御為(おため)ごかし:表面上は相手のために見せかけて、実は自分の利益を図ること
  • 上辺(うわべ):内実とは異なる見せかけのさま

「慇懃尾籠」の「尾籠」は、「無礼、不作法」という意味です。「慇懃尾籠」は「慇懃無礼」の言い換えとも言えます。

「馬鹿」には「度が過ぎること、程度が並外れていること」という意味があります。「馬鹿慇懃」は「馬鹿丁寧」とも言い換えられます。

「御為ごかし」は「じょうずごかし」とも言います。これらの言葉には、「丁寧すぎてむしろ失礼である」という意味はありません。

「ごかし」とは

「ごかし」は、口実を作り自分の利益を図ることを言います。「騙す」などを意味する動詞「こかす」の連用形「こかし」の語頭が濁音化したものです。

「慇懃無礼」の対義語

慇懃無礼には以下のような対義語があります。

  • 横柄親切:一見いばるような態度でありながら、実はかなり周囲に気を使うこと
  • 誠心誠意:最上級の真心、打算でなく純粋に真心を込めて接すること
「横柄親切」を「慇懃無礼」の説明になぞらえて言うと、「表面上はとても横柄だが、実は丁寧で気を配っていること」です。

「誠心誠意」は、表面も内実も丁寧であることを言います。

「慇懃無礼」の対義語は厳密にはありません。

「横柄親切」と紹介されていることもありますが、これはネット上で「慇懃無礼」の対義語を募集した際に “造語でもいい” とされていたことから、誰かによってつくられた言葉であると言われます。

「慇懃無礼」の英語訳

慇懃無礼を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • Politely impolite
    (丁寧だが失礼)
  • superficial politeness
    (上辺だけの丁寧さ)
  • hypocritical courtesy
    (偽善の礼儀)
  • smarmy
    (お世辞の、へつらった)
  • superficially polite but rude in intent
    (表面上は礼儀正しいが、内情は失礼な)

“Politely impolite” は「言葉や態度が丁寧すぎて、むしろ失礼になること」の英訳です。

それ以外は「表面上はとても丁寧だが、実は心の中で馬鹿にしていること」の英訳です。

例文
  • The way she talks is politely impolite.
    (彼女の話し方は丁寧だが失礼だ)
  • She often reply with superficial politeness.
    (彼女はしばしば慇懃無礼な返事をする。)

「慇懃無礼」の中国語訳

「慇懃無礼」を中国語に訳すと、次のような表現になります。

  • 表面恭维 内心瞧不起biǎo miàn gōng wei nèi xīn qiáo bu qǐ
    (うわべでは相手の機嫌を取り、内心で蔑む)
  • 貌似恭维 心实轻蔑mào sì gōng wei xīn shí qīng miè
    (うわべでは相手の機嫌を取り、心では軽蔑する)

まとめ

以上、この記事では「慇懃無礼」について解説しました。

読み方慇懃無礼(いんぎんぶれい)
意味言葉や態度などが丁寧すぎて、むしろ失礼であること
由来正反対な意味をもつ言葉の組み合わせ
類義語慇懃尾籠、馬鹿慇懃、御為ごかしなど
対義語横柄親切、誠心誠意
英語訳Politely impolite(丁寧だが失礼)など

つまり、慇懃無礼は「礼も過ぎれば無礼になる」ということわざにぴったりな四字熟語だということがわかりましたね。

形式的な丁寧さだけでなく、心がこもった応対をすることで、対人関係が向上するでしょう。