心理学用語「透明性の錯覚」の意味と具体例をわかりやすく解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、心理学用語の「透明性の錯覚(とうめいせいのさっかく)」です。

言葉の意味・具体例・提唱者・英語訳についてわかりやすく解説します。

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「透明性の錯覚」の意味をスッキリ理解!

透明性の錯覚(とうめいせいのさっかく):自分の感情や思考が、実際以上に相手に見透かされていると思い込んでしまう傾向のこと

「透明性の錯覚」の意味を詳しく


「透明性の錯覚」とは、自分の感情や思考が、実際以上に相手に見透かされていると思い込んでしまう傾向のことです。学術的に言うと、自己の内的状態が他者に漏れていると過大評価する傾向のことです。

たとえば、人には、相手に何か隠し事をしたり嘘をついたりした時に、実際以上に相手にばれているのではないかと思い込んでしまう傾向があります。

また、人前に立つ場面でとても緊張してしまい、本人としては「緊張が隠しきれなかった」と思っていたときでも、見ていた人から「全然そうは見えなかったよ、堂々としていたよ」と言われた経験がありませんか。

これらは、本来ならば相手からは見えないはずの心の中を、他者にも見抜かれていると過大に評価している状態と言えます。

 

また、「相手に見透かされている」というニュアンスだけでなく、「相手が理解している」「相手に伝わっている」と思い込む傾向も含んでいます。

たとえば、相手に対して「どうして私(僕)の気持ちを分かってくれないのだろう」と感じたことはありませんか。自分の感情は、思っているよりも相手に伝わっていないことがほとんどです。

このように、相手に自分の心の中を伝えようとする意思の伝達や感情の伝達の場面でも、実際以上に正確に伝わっていると過大評価してしまう傾向があるのです。

つまり、「透明性の錯覚」とは相手に知られなくない場面だけでなく、知ってほしいと思っている場面でも同じように生じる現象なのです。

「透明性の錯覚」はなぜ起こるのか

では、なぜ「透明性の錯覚」は起こるのでしょうか。

その理由は、簡単に言うと、自分を手がかりとして相手を判断しているからです。

どういうことか説明します。自分の内面を相手がどのように捉えているのか推測する際には、まずは自分が自分のことをどう捉えているかが手がかりになります。しかし、自分は自分のことをよく知っているので、そこから相手からの視点であることを考慮して推測の「調整」を行う必要があります。

ここで、相手は自分ほど自分の内面を理解しているわけではないため、認識の「割引」をしなければなりません。ただ、自分の中では知っていることであるため、相手にその認識がないと見なすことが難しいのです。そのため「割引」に失敗しやすく、透明性の錯覚が起こってしまうのです。

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「透明性の錯覚」の具体例

前の項でも例を出して説明しましたが、もう少し具体例を加えて説明します。

たとえば、友だちに「内緒にしてね」と言われたことがあったとします。

その後、別の友だちとの間でその子の話になったとしましょう。その話題になったときには、「内緒にして」と言われているのでどうにかしてその話題を誤魔化そうとしますよね。具体的には何も言っていなくても、実は嘘をついているとバレているのではないかと不安になる傾向があります。

 

また、恋人同士の間でも「どうしてわかってくれてないのだろう」という不満は定番ですよね。

これらは、日常の中にある「透明性の錯覚」の例です。このように、透明性の錯覚は特別な場面だけではなく、日常の中でも起こっているのです。

「透明性の錯覚」が強化される場面

透明性の錯覚は、その傾向が強くなることがあります。それは、自分に注意が向いているときや、もともと自分に注意が向きやすい特徴のある場合です。

自分への注意を促進すると、相手に自分の特性が理解される程度を過大に評価しやすいことが海外の研究で明らかになっています。

「透明性の錯覚」の提唱者

透明性の錯覚理論は、トーマス・ギロビッチ(Gilovich.T)という心理学者が提唱しました。

トーマス・ギロビッチは「透明性の錯覚」を検証する実験を行いました。その内容は、実験参加者に複数の人の前で嘘をつくように指示し、その後何人にその嘘が見透かされたと思うかを尋ねるというものです。

その結果、実際に嘘を見破った人数よりも過大評価する傾向があることを明らかにしたのです。

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「透明性の錯覚」の英語訳

「透明性の錯覚」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • illusion of transparency
    (透明性の錯覚)

まとめ

以上、この記事では「透明性の錯覚」について解説しました。

読み方透明性の錯覚(とうめいせいのさっかく)
意味自分の感情や思考が、実際以上に相手に見透かされている思い込んでしまう傾向のこと
提唱者トーマス・ギロビッチ(Gilovich.T)
英語訳illusion of transparency(透明性の錯覚)

相手に自分を理解して欲しいと期待しているからこそ、伝わらなかった時に落胆が生じてしまいます。相手は自分のことをあまりわからないという前提を理解していれば「透明性の錯覚」は軽減されるかもしれません。

心理学は、自分にも当てはまる物がたくさんあります。「透明性の錯覚」の概念も理解しておきましょう。

参考文献:鎌田晶子(2007). 日本人における錯覚の生起と係留の効果 実験社会心理学研究、46(1)、78-89
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