「以降」と「以来」の違いとは?「以後」は?使い分けまで解説

違いのギモン

皆さんは「以降」と「以来」をしっかり使い分けられていますか?

日常会話においても、文章を書くときにおいても使う頻度の高いこの2つの単語ですが、違いをきちんと知らずに使ってしまっていませんか?

この記事ではそんな「以降」と「以来」の違いをわかりやすく解説していきます。

結論:「以降」はある時点からずっと、「以来」はある時点から今まで

一般的に、「以降」は「ある時点からずっと」、「以来」は「過去のある時点から現在までずっと」という意味です。

どちらも「〇〇以降」や「〇〇以来」といったように、「ある時点」を指す言葉と一緒に使います。

どちらも一定の期間を表す言葉ですが、「以来」は「過去のある時点から現在まで」という制限があるのがポイントです。

「以降」をもっと詳しく


「以降」は、「◯◯以降」といったように過去や未来の「ある時点」を指す言葉と一緒に使われ、「ある時点からずっと」という期間を指す意味になります。

英語では after と訳される場合が多いです。

 

よくある疑問に、「『◯◯以降』が指す期間に〇〇は含まれるの?」というものがあります。

結論から言うと、「◯◯以降」が示す期間の中に〇〇は含まれます。

以下の例文を見てみましょう。

「以降」の使い方の例

  1. 明日は18時以降でしたら御社に伺えます。
  2. 昨年以降、業績は伸び続けている。

①の場合、「明日の18時」が「ある時点」にあたります。つまり、「明日の18時以降」は「明日の18時も含め、それよりあとの時間」を指します。

②では「昨年」が「ある時点」にあたります。

このように、「◯◯以降」は過去でも未来でも用いることができます。

一方で、「今以降」のようにちょうど現在を表す単語と一緒に用いることは少ないです。

 

ところで、なぜ「〇〇以降」が示す期間に〇〇が含まれるのでしょうか。

これは「〇〇以上」「〇〇以下」という言葉を思い出せば理解しやすいはずです。

たとえば、「3以上の数字」には「3」が含まれていますよね?

このように「〇〇以上」「〇〇以下」「〇〇以降」といった「以」を含む言葉は、その期間・範囲に〇〇を含むケースが多いのです。

 

また、「以降」には時間とは関係のない別の用法も存在します。

整理番号200番以降の観客は立ち見となった。

このように、「以降」の前に数字などの言葉をともなって、「〇〇も含めて、〇〇よりあとの順番」という意味で使うこともできます。

この場合は「整理番号200番を含め、それよりあとの順番」という意味になります。

「以来」をもっと詳しく

「以来」も「〇〇以来」といったように、「ある時点」を示す言葉と一緒に使われますが、「以降」と違い、「ある時点」は過去でないといけません。

そして、「〇〇以来」は「過去のある時点から現在まで」の期間を指します。

英語では since と訳される場合が多いです。

実際に、使い方の例を見ていきましょう。

「以来」の使い方の例

入学以来、ずっと陸上部に所属している。

上記の場合、「ある時点」は「入学」にあたるので、文全体で「入学してからずっと、現在も陸上部に所属している」という意味になります。

一方で、「明日以来」というように未来や現在を示す言葉とは一緒に使うことができません。

では「以後」ってどういう意味?

 「以降」「以来」と似た言葉に「以後」があります。非常に紛らわしいですね。

これは一体どういう意味なのでしょうか。

 

「以後」はほとんど「以降」と同じ使い方ができます。

つまり、「◯◯以後」といったように過去や未来の「ある時点」を指す言葉をともなって、「ある時点も含めてそれよりもあと」という意味になります。

ただし、「〇〇以降」と違い、「〇〇よりあとの順番」という意味で「以後」を使うことはあまりありません。「3番以後の人」という表現は少し違和感を感じますね。

 

また、「以後」は「ある時点」をともなわず、単独で用いることも可能です。

以後、このようなことのないよう気をつけます。

この場合、「以後」単独では「今からずっと」という意味になります。「以降」はこのような使い方をすることはできません。

まとめ

以上、この記事では、「以降」と「以来」の違いについて解説しました。

  • 以降:過去・未来のある時点を含め、それからずっと
  • 以来:過去のある時点から現在までずっと
ふとした時に使い分けを間違えないように、「明日以降」気をつけていきましょう。