今回ご紹介する言葉は、熟語の「一考(いっこう)」です。
言葉の意味・使い方・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「一考」をざっくり言うと……
読み方 | 一考(いっこう) |
---|---|
意味 | 一度よく考えること |
類義語 | 熟考、熟慮 |
英語訳 | consideration(考慮) |
「一考」の意味をスッキリ理解!
「一考」の意味を詳しく
「一考」とは、一度よく考えを巡らせることです。
「一度考える」というのが基本の意味ですが、「一考」の場合にはただ考えるのではなく、「よく考える」というニュアンスがあります。
一瞬思いを巡らせてすぐに結論を出すような場合には「一考」にならないので注意しましょう。
「一考」の使い方
- この計画を採用するかどうかについては、一考の余地がある。
- 本件について、ご一考のほどよろしくお願いいたします。
上記の例文のように、「一考」は「一考の余地がある」「ご一考のほど」などの決まった表現で使われます。
①の例文では、「この計画」の採用に考える価値が残っていることを「一考の余地がある」と表現しています。
②の例文では、相手に対し、考えることを求める定型的な表現です。「ご一考ください」「ご一考いただけたら幸いです」などと表現することもできます。
「一考」の類義語
一考には以下のような類義語があります。
- 熟考:念入りによく考えること
- 熟慮:さまざまなことを考慮してよく考えること
「熟考」「熟慮」はどちらも、長い時間をかけてよく考えることを表す言葉です。
それに対し「一考」は、長い時間をかける場合に限らず、一度よく考えを巡らせる場合に使います。
また、「一考」の場合には「ご一考ください」など、相手に考えることを要求するときにも使えますが、「熟考してください」「熟慮してください」と使うことは難しいです。目下の相手であれば許されるかもしれませんが、目上の相手や他人に使うのに「熟考」「熟慮」は適していません。
「熟考」と「熟慮」は意味にほとんど違いがありません。しかし、「慮」という字には「おもんばかる」という意味があるため、「熟慮」は「熟考」に対し、「いろいろな要素を考えに入れる」というニュアンスが強くなります。
微妙なニュアンスまで使い分けたいときには、一つの面に集中して考える場合には「熟考」、さまざまな要素を考慮する場合には「熟慮」というように使い分けましょう。
「一考」の英語訳
一考を英語に訳すと、次のような表現になります。
- give a thought to
(一考する) - consideration
(考慮)
「一考する」に近い表現に “give a thought to” があります。たとえば、toの後に「問題」という意味を持つ “a problem” などと続けると、「問題について一考する」という意味の “give a thought to a problem” になります。
thoughtは普段は不可算名詞で「考え」「熟考」という意味を持ちますが、「一考」という場合には “a thoughtと” 可算名詞として扱うことができます。動詞でなく名詞の「一考」を使う場合には “a thought” で十分でしょう。
また、considerationという英単語を使うことも可能です。この場合、「一考」よりもむしろ「熟考」「熟慮」に近いニュアンスになります。
“deserve consideration” とすれば、「一考に値する」「一考の余地がある」という意味になります。このように、慣用表現のニュアンスは “a thought” よりもconsiderationの方が表現しやすくなるため、文脈に応じて使い分けましょう。
まとめ
以上、この記事では「一考」について解説しました。
読み方 | 一考(いっこう) |
---|---|
意味 | 一度よく考えること |
類義語 | 熟考、熟慮 |
英語訳 | consideration(考慮) |
「一考」には似たような言葉があるため、細かいニュアンスの使い分けが重要になります。しっかりと違いを意識しましょう。