今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「意気揚々(いきようよう)」です。この四字熟語は、「意気揚々と~する」という形で日常的に見かける言葉だと言えます。でそのため、正しく使いこなすことが重要ですね。
そこで、この記事では、「意気揚々」の意味・使い方・由来・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「意気揚々」をざっくり言うと……
読み方 | 意気揚々(いきようよう) |
---|---|
意味 | 気持ちが高揚していて、得意げにしていること |
由来 | 中国の歴史書『史書』 |
類義語 | 意気軒昂、意気衝天、意気昂然、得意満面 |
対義語 | 意気消沈、意気阻衰、垂頭喪気、灰心喪気、灰心喪意 |
英語訳 | elated, in high spirits, triumphant など |
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「意気揚々」の意味をスッキリ理解!
「意気揚々」の意味を詳しく
「意気揚々」という四字熟語の「意気」という部分に注目しましょう。「意気」は、元気な気持ちを指します。次に、「揚々」という部分に注目しましょう。「揚々」は「自信満々な様子」を意味します。
つまり、「意気揚々」は、「気持ちが高揚していて、得意げにしていること」を表しているのです。
なお、「意気揚々」は「意気揚揚」と表記する場合もあります。また、「意気揚々」を「意気陽々」と書くのは誤りですから、注意しましょう。
「意気揚々」の使い方
一般的に、「意気揚々」は、直後に「と」を付けて「意気揚々と」という表現が使われます。これをふまえて、使い方を考えましょう。
「意気揚々」の例文には、以下のようなものが挙げられます。
- 運動会の徒競走で1位になった女の子が、意気揚々とメダルを持ち帰った。
- 彼は意気揚々としている。テストの点数が良かったそうだ。
2つの例文からわかるように、「意気揚々」を使う場面は、嬉しい出来事などに対して「誇らしい」と思う気持ちが態度に表れたときなのです。
「意気揚々」の由来
中国には、『史書(ししょ)』という古い書物があります。これは、中国で最初の歴史書です。
この『史記』に収録される下記の史実で、「意気揚々」という言葉が初めて用いられたのです。
春秋(しゅんじゅう)時代(紀元前770年~紀元前221年頃)、中国の斉(せい)という国に、晏嬰(あんえい)という名前の首相がいました。彼は高い身分を持つのにも関わらず、着飾ることがありませんでした。
一方、晏嬰が乗る馬車の運転手の男は、馬車の座席が豪華であるため、いつも得意げな様子で働いていました。
これを見た男の妻は、離婚を要求しました。男が仕える晏嬰は、自分の身分をひけらかさずにも謙虚な姿勢で生活しているのに対して、晏嬰よりも身分の低い男は、豪華な馬車を操縦するというだけで得意げになっていたからです。
男は、妻からの指摘を受けて反省し、態度をあらためました。そして、晏嬰は男の成長を誉めて、より高い身分を与えたのです。
文中では、男が豪華な馬車に気持ちを高揚させていた場面が「意気揚々」と表現されています。これが、「意気揚々」の由来なのです。故事では、得意げになりすぎると時に不幸を招くということも示唆していますね。
「意気揚々」の類義語
「意気揚々」には、以下のような類義語があります。
- 意気軒昂(いきけんこう):元気があふれていて、威勢が良いこと
- 意気衝天(いきしょうてん):意気込みがとても強いこと
- 意気昂然(いきこうぜん):自信に満ちていて、元気が良いこと
- 得意満面(とくいまんめん):誇らしいと思う気持ちが、表情に表れること
「意気軒昂」の「軒昂」は、気持ちが振るいあがる様子を表す言葉です。
「意気衝天」の「衝天」は「天を衝(つ)く」と訓読でき、この上なく気持ちがたかぶることを言います。そのため、「意気衝天」は、気持ちが奮い立つ様子を最も強く表現する言葉です。
「意気昂然」の「昂然」は、自信に満ちて誇らしげな様子を指します。
「意気揚々」の対義語
「意気揚々」には、以下のような対義語があります。
- 意気消沈(いきしょうちん):気持ちが沈むこと
- 意気阻喪(いきそそう):意気込みや元気が足りないこと
- 垂頭喪気(すいとうそうき):がっかりとすること
- 灰心喪気(すいとうそうき):がっかりとすること
- 灰心喪意(すいとうそうい):がっかりとすること
「意気阻喪」の「阻喪」は、気力を失うさまを表す言葉です。火が消えて冷たくなった灰のように、
「垂頭喪気」は、「頭(かしら)を垂(た)れ気を喪(うしな)う」と訓読できます。頭を低く垂らし、元気がない様子を指す言葉です。
「灰心喪気」と「灰心喪意」の「灰心」は、火が消えて冷たくなった灰のように元気がなくなっている様子を表す言葉です。
「意気揚々」の英語訳
意気揚々を英語に訳すと、次のような表現になります。
- elated
(得意げな) - in high spirits
(意気揚々と) - triumphant
(誇らしげな)
上記3つの表現を用いた例文は以下の通りです。
- My brother is elated that he has seen how my magic was done.
(兄は、私のマジックの種がわかって得意げだった。) - Since I have heard that my old friend would visit my house, I have been in high spirits.
(旧友が近々私の家に来ると聞いてから、私は上機嫌である。) - Probably, the reason he is so triumphant is that he has got high marks in the test.
(彼がえらく得意げなのは、テストで良い点を取ったからだろう。)
「意気揚々」の中国語訳
「意気揚々」を中国語に訳すと、次のような表現になります。
(誇らしげな様子)
・得意洋洋
(これ見よがしな様子)
まとめ
以上、この記事では「意気揚々」について解説しました。
読み方 | 意気揚々(いきようよう) |
---|---|
意味 | 気持ちが高揚していて、得意げにしていること |
由来 | 中国の歴史書『史書』 |
類義語 | 意気軒昂、意気衝天、意気昂然、得意満面 |
対義語 | 意気消沈、意気阻衰、垂頭喪気、灰心喪気、灰心喪意 |
英語訳 | elated, in high spirits, triumphant など |
今後、嬉しいことや誇らしいことがあって興奮しているとき、その状態を「いま、私は意気揚々としているのだな」と四字熟語で表現してみるのも面白いですね。ただ、故事に出てきた男のように、得意になりすぎて周りが見えなくなることがないように注意しましょう。