今回ご紹介する言葉は、カタカナ語の「イデア」です。
「イデア」の意味・使い方・語源についてわかりやすく解説します。
☆「イデア」をざっくり言うと……
英語表記 | イデア(idea) |
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意味 | 理性によってのみ想起できる存在 |
語源 | idein |
「イデア」とは?
完璧な真理
「イデア」の意味を詳しく
「イデア」とは、現像界には存在せず、想像の世界にのみ存在する理想の真理のことです。
イデア論は古代ギリシアの哲学者であるプラトンが唱えた概念です。プラトンは現実の世界を「現像界」と呼び、現像界とは別に絶対的な真理の世界が存在すると考えました。その真理の世界をイデア界と呼びます。
イデア界には現像界に存在するものの原型となるイデアがあります。
たとえば、現像界で私たちが「三角形」と呼ぶものや「円」と呼ぶものは、実際には完璧な形をしているわけではありません。あくまでも、不完全なものを見たときに、私たち自身が理性でイデア界に存在する完璧な三角形や円を想起して「三角形」や「円」と呼んでいるのです。
イデア界には様々なイデアが存在しますが、それらを統一するのが「善のイデア」であるとプラトンは主張しています。ここで言う「善」とは、単純に善いことを指しているのではありません。私たちが物事を判断する上で、そもそも判断しようとする気概を持っていることを「善」と表現しています。
イデアの中にも序列があり、「三角形のイデア」や「円のイデア」などといったすべてのイデアの頂点には「善のイデア」が存在しています。
私たちは、「三角形」を、「三角形のイデア」を想起することで「三角形である」と認識できます。ただ、その前に、目の前の図形を何らかの意味のある形として認識しようという「善のイデア」を私たちは想起しています。結果、「三角形のイデア」の存在が私たちに認識できるようになるのです。
つまり、「善のイデア」が存在するから「三角形のイデア」も存在できるのであり、さらに「三角形のイデア」が存在するから「三角形」も存在できるのです。
「イデア」の使い方
- 私たちは、虹を見て半円のイデアを想起する。
- 青空が美しいのは、空が美のイデアを含んでいるからである。
上の例文のように、「イデア」は想起されるものであり、物体に含まれるものです。イデアそれ自体は私たちの生きる世界には存在しないため、イデアが「ある」などという表現は用いられないでしょう。
思想や哲学を論じるうえでは重要な言葉ですが、日常生活でこの言葉が使われることはほとんどありません。
「イデア」の語源
イデアの語源は古代ギリシア語の “idein” です。
“idein”は「見ること」を意味します。この動詞から派生した”idea”は、もともとは姿という意味でした。
それに対して、プラトンは、”idea”の「姿」を「直接的に見られるもの」という意味ではなく、「理性という心の目を通して見られる物体の本質」として表現しています。
「洞窟の比喩」
プラトンは、私たち人間とイデアとの関係を「洞窟の比喩」というもので説明しました。
洞窟の比喩とは、以下のようなものです。
ある囚人が、生まれたときから手足を縛られた状態で、洞窟にいます。
その囚人の背後には火と衝立(ついたて)があります。操り人形などの物体を火に照らすと、その影が壁に映ります。
この時、囚人は、目の前の壁に映る世界がすべてだと思い込み、背後に火や衝立、そして操り人形があるという真実に気づきません。
以上が、洞窟の比喩です。火・衝立・照らされる物体という真実がイデアであり、囚人はあくまでそのイデアの影を見ているというものです。
洞窟の比喩は、現実世界の私たちも、本質となる物事の影を見ながら現実を生きていると示唆しています。
まとめ
以上、この記事では「イデア」について解説しました。
英語表記 | イデア(idea) |
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意味 | 理性によってのみ想起できる存在 |
語源 | idein |
イデアは理解するまでは難しい概念ですが、私たちが世界をどう認識しているかということを考えるヒントを与えてくれます。日常会話では使われない言葉でも、覚えておくと世界の見え方が変わってくるかもしれませんね。