「氷」と「ドライアイス」の違いとは?温度まで比較して解説

違いのギモン

スーパーマーケットへ行くと、色々な商品が並んでいます。その中には、冷たいからこそ価値があるものもあります。例えば、冷凍食品やアイスクリームです。

暑い夏に、これらのものを溶かさずに家に持ち帰るためには、何か冷たくて、冷やせるものが必要でしょう。そう、例えば「氷」や「ドライアイス」などがあると便利ですね。

「氷」と「ドライアイス」は、どちらも冷気を放つため、一緒に入れておけば、食品を低い温度に保つことができます。しかし、それでは両者の違いは何なのでしょうか。

今回は、夏に大活躍の「氷」と「ドライアイス」の違いを詳しく解説します。主婦の方だけでなく、アイスクリームが好きな人、冷凍食品をよく食べる人は必見です。

結論:「氷」は水、「ドライアイス」は二酸化炭素。

「氷」と「ドライアイス」は、成分が異なり、それゆえ性質も異なります。

「氷」は、0℃以下になった水です。

一方、「ドライアイス」は、約-80℃の固体の二酸化炭素です。

「氷」をもっと詳しく


「氷」は、水が固体となったものです。水を0℃以下に冷やすことで、作ることができます。

「氷」を作る機械・ものとしては、製氷機や製氷皿があります。飲食店では、食品の品質管理や飲み物に入れる目的で、大型の製氷機があることが多いです。また、基本的に家庭用冷凍庫には製氷皿がついており、水をくぼみにいれることで、簡単に氷を作ることができます。

また、スーパーやコンビニエンスストアでも「氷」自体を販売しています。「ドライアイス」よりも私たちの生活に身近なものであるといえます。

 

「氷」の化学組成は、H2Oです。水の分子が、水素結合(※)によって規則正しく配列しており、結晶構造になっています。

「ドライアイス」との違いは、大きく3つあります。

1つ目は、安全性です。「氷」の温度は約0℃です。長く触っていれば凍傷になる危険性はありますが、少し触った程度であれば問題ありません。そのため、約-80℃のドライアイスよりは比較的安全です。

 

もう1つは、溶けると液体が出ることです。例えば、箱に入った市販のアイスと一緒に剥き出しの「氷」を入れると、溶けた「氷」が水となり、箱がびしょびしょになってしまいます。「ドライアイス」は、溶けても気体となります。

3つ目は値段です。「氷」は「ドライアイス」よりも安く手軽につくることができます。

まとめると、「氷」は身近で安全な上、値段が安いというメリットがあります。しかし、冷やす機能はより温度が低い「ドライアイス」に劣るといえます。

  • 水素結合(※):2つの原子の間に水素(H)が入ってできる結合。氷の場合には、酸素(O)の間に水素が入っている。

「ドライアイス」をもっと詳しく


「ドライアイス」は、二酸化炭素が固体となったものです。「固体炭酸」ともいいます。英語では、 “dry ice” や “frozen carbon dioxide” です。

二酸化炭素は、冷却し、圧力を加えると液体になります。この液体の二酸化炭素の一部を気化させると、気化熱が奪われ、残りの二酸化炭素の温度が下がります。一定の温度を下回ると、二酸化炭素は固体となり、「ドライアイス」ができます。

 

元はアメリカの「ドライアイスコーポレーション」(DRYICE CORPORATION)が製造する固体炭酸の商品名です。現在では、固体炭酸の固有名詞として広く使用されています。

「ドライアイス」は、直訳すると「乾いた氷」となります。その名の通り、溶けても水が発生せず、気体の二酸化炭素が発生します。

 

「ドライアイス」は気化すると、体積が750倍になります。そのため、密封した容器に入れてしまうと、空気が収まりきらず、爆発する可能性があります。

また、「ドライアイス」の温度は約-80℃です。同じ質量であれば、0℃である「氷」よりも、冷却力は強いと言えます。一方、その分凍傷などになる危険性は高いです。

「ドライアイス」を水に入れると、白い煙が発生します。これは、「ドライアイス」によって冷やされた水が凍りの粒となり、空気中に放出されている状態です。演劇で霧を演出する際にも用いられます。

  • 気化熱(※):物質が気化するのに必要な熱

まとめ

以上、この記事では、「氷」と「ドライアイス」の違いについて解説しました。

  • :固体の水
  • ドライアイス:固体の二酸化炭素
氷とドライアイスはどちらも “ice” であり、冷却材となります。しかし、それぞれに特色があり、メリットとデメリットがあります。

食品の品質を保つため、適切に使うように心がけましょう。