「ヒアルロン酸」と「コラーゲン」と「プラセンタ」の違いとは?

違いのギモン

「ヒアルロン酸」「コラーゲン」「プラセンタ」は、 “肌に良い成分” として有名ですね。

それでは、これらにはどのような相違点があるのでしょうか。また、どのように三者を使い分ければよいのでしょうか。

そこでこの記事では、「ヒアルロン酸」「コラーゲン」「プラセンタ」に違いについて詳しく解説します。

結論:機能と、体内の含有の有無が違う

「ヒアルロン酸」「コラーゲン」「プラセンタ」には以下のような違いがあります。

  • ヒアルロン酸肌を保湿し、関節や眼圧の調子を整える。皮膚にあるが、加齢とともに減る。
  • コラーゲン肌にハリを与え、骨や血管の調子を整える。体内にあるが、加齢とともに減る。
  • プラセンタ肌のシミ防止、代謝を上げるなどの様々な機能あり。動物の胎盤から抽出される。

「ヒアルロン酸」をもっと詳しく


「ヒアルロン酸」はアミノ酸の一種で、炭素、水素、酸素、窒素などが含まれています。

1g のヒアルロン酸に6l の水分を含むことができるといわれているほど保湿性に長けた物質で、体の関節をなめらかに動かすようなはたらきや、眼圧を維持する機能も持っています

ヒアルロン酸は、人間の “真皮(しんぴ)” の中に入っています。真皮とは、皮膚のなかの深い部分のことです。しかし、ヒアルロン酸の量は年齢を重ねるごとに減ってしまいます。

肌にシワ、たるみ、乾燥などができたり、関節の柔軟性が欠けたりしたとしたら、それは加齢によってヒアルロン酸が減少したことが原因かもしれません。その場合、何らかの形でヒアルロン酸を体内に摂取することが効果的な方法といえます。

ヒアルロン酸の摂取方法

ヒアルロン酸を摂る方法は3つあります。

1つ目は、食べ物からヒアルロン酸を摂るという方法です。ヒアルロン酸は動物性の食物にも、植物性の食物にも含まれます。

  • 動物性食物:鳥の軟骨、豚足、カレイ、鰻、フカヒレ、クラゲ
  • 植物性食物:山芋、サトイモ、もずく、納豆、オクラ、モロヘイヤ、メカブ

しかし、これらの食品には、ごく少量のヒアルロン酸しか入っていません。また、ヒアルロン酸は40°C を超えると傷む物質であるため、成分を損なわないように加熱・調理するのは困難なのです。

このように、食べ物だけでヒアルロン酸を得るのは不可能といえます。そこで、2つ目の方法として、サプリメントやクリーム、ドリンクなどでヒアルロン酸を摂取するというものが挙げられます。

 

3つ目の方法として、専門の病院に行って、ヒアルロン酸を注射で入れてもらうというものもあります。

たとえば美容外科では、ほうれい線にヒアルロン酸注射をしてシワをなくす施術を行っています。また、整形外科では、膝に痛みを感じる人の関節にヒアルロン酸を注入し、足をスムーズに曲げられるようにする治療があります。

 

ただし、ヒアルロン酸注射には様々なリスクもあるため、注意が必要です。

たとえば、シワ取りのために注射する場合、施術直後に顔が腫れる恐れがあります。また、医師の技術不足により、皮膚の組織が壊死(えし)する危険性もあります。

膝の関節への注射の効果には個人差があり、注射をしても膝の痛みが緩和されない場合があります。

「コラーゲン」をもっと詳しく


コラーゲンはタンパク質です。肌のハリを保ったり、骨や血管のはたらきを守ったりする働きをもっています。

私たちは、皮膚や筋肉、血管などの全身にコラーゲンをもっています。しかし、年齢を重ねると、体のなかで作られているコラーゲンは減っていきます。

特に、30代からコラーゲンの量は急激に減少するという傾向があります。ですから、将来の肌や骨、血管に支障をきたさないように、30代から何らかの形でコラーゲンを摂取することが大切です。

「コラーゲン」の摂取方法

「コラーゲン」を摂る手段には、食べ物と美容商品の2つがあります。

まず、食べ物からコラーゲンを摂る方法について解説します。コラーゲンが含まれている食べ物は、以下の通りです。

  • 豚足
  • 鳥皮
  • フカヒレ
  • 牛すじ

しかしこれらの食べ物はカロリーが高く、値段も高いですね。また、食べ物に含まれるコラーゲンは分子が大きいため、肌への浸透が悪いという難点もあります。

ですから、食べ物だけでヒアルロン酸を摂取し続けるのは効率が悪いのです。

 

そこで、2つ目の方法として美容商品の使用があげられます。コラーゲンのサプリメントは、コラーゲンに分子が小さく加工されているため、肌への浸透が良いという特徴があります。ほかにも、コラーゲンが配合されているドリンク、クリームもあります。

「プラセンタ」をもっと詳しく


「プラセンタ」は、動物の胎盤から抽出される栄養分です。アミノ酸、ミネラルのほか、すでに解説した「ヒアルロン酸」と「コラーゲン」も含んでいます。

プラセンタには以下のような様々なはたらきがあります。

  • シミの原因となる活性化酸素を除去する
  • 皮膚の再生力を改善する
  • 自律神経を整え、精神を安定させる
  • 血行を良くする
  • 新陳代謝を上げる
  • ホルモンバランスを整える
  • 肝臓の機能を良くする

プラセンタの摂取方法

プラセンタはもともと人間の体に入っているものではありません。また、動物の胎盤からしか得られないため、食べ物から摂取することもできませんね。

このため、上記のような効果を得たい場合は、プラセンタが入っている美容商品を使う必要があります。

プラセンタには、以下のような様々な種類があります。このため、サプリメントや美容クリームも、それぞれ異なる種類のプラセンタを配合しているのです。

馬プラセンタ

馬の胎盤から抽出されるプラセンタのことです。すべてのプラセンタのなかで最も安全で、効果も高いといわれています。

豚プラセンタ

豚の胎盤から抽出されるプラセンタのことです。

豚プラセンタが配合された美容商品を購入する際には、「SPF豚」から抽出されたものを選びましょう。「SPF豚」とは、厳格な管理のもと、安全な環境で飼育された豚のことです。

羊プラセンタ

羊の胎盤から抽出されるプラセンタのことです。日本では、羊プラセンタを配合されたものはあまり流通していません。

植物プラセンタ

プラセンタは動物の胎盤からとれるものですが、植物からも似たような物質を抽出することができます。これが、植物プラセンタです。

しかし、植物プラセンタには、本物のプラセンタには存在する「成長因子」が含まれていません。「成長因子」は、細胞レベルでの新陳代謝を促す要素です。

このことから、植物プラセンタは、動物から抽出されるプラセンタに比べて効果が出にくいといえます。

 

なお、プラセンタは、妊娠中の女性の胎盤からも抽出することができます。

つまり、 “ヒトプラセンタ” もあるということです。医師が健康な妊婦さんに許可をとって、胎盤のプラセンタを分けてもらうのです。

しかし、ヒトプラセンタは美容用ではなく、肝臓の病気の患者への医薬品のために使われます

補足:サプリメントには効果がない場合もある


ここまで、「ヒアルロン酸」「コラーゲン」「プラセンタ」の違いについて解説しました。

3つとも、美容商品を服用して体に取り込むことができるという点が共通しています。肌に塗るクリームやドリンク剤、サプリメントなど様々な商品があります。

特に、ドラッグストアやインターネットでは、「ヒアルロン酸」や「コラーゲン」「プラセンタ」が配合されているサプリメントがたくさん売られていますね。

ここで気を付けなければならないのは、サプリメントからは必ずしも著しい効果が得られるわけではないということです。なぜなら、サプリメントはあくまでも “健康食品” に分類されるものであって、 “医薬品” ではないからです。

 

“医薬品” は、病気の予防・治療のためのものです。

医薬品には、医師が処方したうえで病院や薬局で販売されるものと、処方箋がない状態でドラックストアなどで市販されるものがあります。いずれにしても、効果や副作用、分量を明記しており、厚生労働大臣や各都道府県の知事からの認証を得ています。

 

一方、サプリメントが属する “健康食品” は、食事では十分に摂れない栄養を補助するものにすぎず、症状を直接治療するアイテムではないのです。

サプリメントは、12種類のビタミンと5種類のミネラルが含まれていれば、厚生労働大臣の保証や医師の認証がなくても販売することができます。つまり、サプリメントは、業者が簡単に製造・販売するためのハードルが低いという特徴があるのです。

このため、「○○に効く」と謳われていても、実際には科学的な効果が出ないサプリメントもあります。ですから、サプリメントから「ヒアルロン酸」「コラーゲン」「プラセンタ」を摂る際には、購入しようとしているサプリメントが充分な品質であるか、よく確認する必要があります。

まとめ

以上、この記事では、「ヒアルロン酸」「コラーゲン」「プラセンタ」の違いについて解説しました。あらためて、三者の違いをおさらいしましょう。

  • ヒアルロン酸:肌を保湿し、関節や眼圧の調子を整える。皮膚にあるが加齢とともに減る。
  • コラーゲン:肌にハリを与え、骨や血管の調子を整える。体内にあるが加齢とともに減る。
  • プラセンタ:肌のシミ防止、代謝を上げるなどの様々な機能あり。動物の胎盤から抽出。

ひとくちに “肌に良い” といっても、「ヒアルロン酸」は保湿、「コラーゲン」はハリ、「プラセンタ」はシミ防止と、それぞれに異なる強みがあります。また、三者とも、肌以外の部分の状態も改善するはたらきもあるのです。

肌を含め、自分の体全体の不調を状態を見つめて、「ヒアルロン酸」「コラーゲン」「プラセンタ」を効果的に使い分けてみましょう。