「複雑」と「煩雑」の違いとは?意味から使い方までわかりやすく解説

違いのギモン

ややこしいことを、みなさんはどのように表現しますか?

「複雑」「煩雑」といった言葉を知っている方も多いでしょう。しかし、意味を正確に理解して使っている人は少ないように見受けられます。

特に、「煩雑」はマイナスなイメージがあるため、知らずに使うと失礼に当たる場合があります。

この記事では「複雑」と「煩雑」について違いをわかりやすく解説していきます。

結論:「複雑」は物事が込み入っていること、「煩雑」は込み入っていて面倒なこと

「複雑」は物事の事情や関係が込み入っていることを指します。一方、「煩雑」は事柄が入り混じって煩わしいこと、込み入っていて面倒であることを指します。

「複雑」をもっと詳しく


「複雑」は「物事の事情や関係が込み入っていること」を指します。

物事の要素が絡み合っていて、簡単には理解できない状態を表します。「一面的でないこと」とも説明されます。

「複雑」の使い方の例

実際にどのように「複雑」が使われるのか、例を挙げて説明します。

  1. 彼女が元カレとたまに会っていると聞いて、複雑な気持ちになった。
  2. ミステリ小説はある程度の複雑さを持ち合わせていなければならない。
  3. ガラパゴス諸島はその島独自の複雑な生態系を持つことで有名である。
  4. 今からよく考えれば、わが社は新興のベンチャー企業と複雑怪奇な契約を結んでしまったかもしれない。

 

①は「複雑な気持ち」で「説明が難しい込み入った気持ち」を表しています。

②の「複雑さ」は「事件の要素が絡み合っていて、簡単には理解できない状態」を指します。

③は「複雑な生態系」で「多数の生物の捕食関係が入り組んでいる生態系」を表しています。

④の「複雑怪奇」は「情などが込み入っていて、怪しく不思議なさま」を表します。

「煩雑」をもっと詳しく

「煩雑」は「事柄が入り混じって煩わしいこと、込み入っていて面倒であること」を指します。

「複雑」との大きな違いは、「面倒」というマイナスな気持ちが入ってきている点です。

「煩」という漢字は「煩わしい」という意味を持ちます。したがって、「煩雑」で「事柄が入り混じって煩わしいこと」を表します。

「煩雑」の使い方の例

実際にどのように「複雑」が使われるのか、例を挙げて説明します。

  1. 留学生は役所の煩雑な手続きを行うことができないため、知り合いの日本人が同行する場合が多い。
  2. 大学の編入を繰り返すにつれて、編入手続きが煩雑さを増していく。
  3. 今日は定時で上がれると思ったら、上司に煩雑な仕事を頼まれてしまった。

①の「煩雑な手続き」は「作業が込み入っており手続きが面倒であること」を表します。

②の「煩雑さ」は「事柄が入り混じって煩わしいこと、込み入っていて面倒であること」を指します。

③は「作業が入り混じって煩わしい仕事」を「煩雑な仕事」と表現しています。

「煩雑」と「繁雑」の違い

「煩雑」とよく似た言葉に「繁雑」があります。どちらも「はんざつ」と読み、近い意味を持ちますが、使い分けが必要な言葉です。

「繁雑」は、「物事が多くてごたごたすること」です。

紹介した「煩雑」「複雑」は「物事が込み入る、絡まりあう」というニュアンスでしたが、「繁雑」は「物事の数が多い」というニュアンスです。

また、「繁雑」には、「煩雑」に含まれていた「面倒」という意味はありません。

まとめ

以上、この記事では、「複雑」と「煩雑」の違いについて解説しました。

  • 複雑:物事の事情や関係が込み入っていること
  • 煩雑:事柄が入り混じって煩わしいこと、込み入っていて面倒であること
どちらも「込み入っている」という意味ですが、「煩雑」は「面倒」というニュアンスが含まれます。「煩雑」を使う際には、失礼に当たらないか、一度考えてから使うようにしましょう。

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シェスカ
公的文章に詳しい大学院生。 学術論文や特許の執筆を得意としています。 スッキリではその知識を活かし、専門用語の解説を担当しています。