「保存」と「保管」の違いとは?食品やデータでの使い分けを解説

違いのギモン

「資料を保存する」「資料を保管する」のように、同じような場面で「保存」や「保管」が登場する場面があります。みなさまは、両者のニュアンスの違いをご存知ですか。

以下では、「保存」と「保管」の違いについて解説します。

結論:「保存」は状態を保つことで、「保管」はある場所で管理すること

「保存」は、対象の状態を保つことを意味します。対象の質の維持に重点が置かれます。

一方、「保管」は、失くしたり壊したりすることのないよう、対象を管理することを指します。管理の仕方に終点が置かれます。

「保存」をもっと詳しく


「保存」とは、あるものを、状態を変化させずに保つことを指します。対象の質をいかに維持するかという点に焦点が当てられます。逆から言うと、「保存」と言う場合、その対象は、状態が変わりやすいものであり、本来は状態が変わらないことに価値があることが示唆されています。

たとえば、「資料を保存する」と言う場合は、その資料が時間とともに劣化しやすい代物であり、とはいえ何とかして状態を保ちたいという背景があることになります。後にご紹介する「保管」を用いると、日本語としての意味は通りますが、ニュアンスは異なってしまいます。

IT用語にとしての「保存」

パソコンを操作していて、「保存」の文字を見たことはないでしょうか。「保存」は、ITの世界でも使われる言葉です。

ITにおける「保存」は、データを、PC本体や、その他何らかの記憶装置に残しておくことです。「データの状態を保つ」と考えれば、意味を理解しやすいでしょう。

「保存」

  1. 遺跡を保存する。
  2. ワインを保存する。
  3. 保存食を入手する。
①の場合は、遺跡としての価値を保つという目的のもと、状態が変化しないようにすることを「保存」と言っています。

②では、温度などによって状態が変化しやすいワインを、質を保つために適切な処置をとることを「保存」と表現しています。

③の「保存食」とは、長い期間職としての質を保つため、腐敗速度を抑えた食品のことです。缶詰はその1例です。

「保管」をもっと詳しく


「保管」とは、預かった対象を、失くしたり壊したりすることのないように管理することを指します。「保管」の場合は、対象の質の維持以上に、どこでどのようにそれを管理するかという点がポイントになります。

たとえば、「産業廃棄物の保管」という表現があります。これは、産業廃棄物が処理されるまでの間、生活環境に害を及ぼさないように管理することを指します。

もし、ここで「保存」という表現を使うと、産業廃棄物の状態を保つという意味でしかなく、それが外部に与える影響を制御するというニュアンスにはなりません。「保管」は、管理するという側面が強いことを押さえておきましょう。

「保管」の使い方

  1. 重要書類を金庫に保管する。
  2. 落とし物を担当部署で保管する。
  3. 参加者の貴重品を預かり、保管する。
①~③で描かれているように、「保管」を用いる場合、対象の状態を維持できる保証があることは前提で、問題はそれをどのように管理するかという点にあります。

①では、重要書類が盗まれることのないよう「保管」しています。②では、落とし物を失くさないように「保管」しています。③では、貴重品を失くしたり傷つけたりすることのないように「保管」しています。

書類活用における「保存」と「保管」


ビジネスの現場における書類の活用に関して、「保存」と「保管」はそれぞれ特別な定義を持ちます。

書類活用における「保存」は、あまり使用しなくなった書類を、倉庫等の外部の環境下に置いておくことを指します。法律上、書類の状態を維持することが求められるため、「保存」を用いています。

一方、書類活用における「保管」は、取り扱うことの多い書類を、事務室等の内部環境下で管理することを指します。この場合は、失くすことのないよう、かつ取り扱いをしやすいように管理をすることが重点であるため「保管」を用いています。

その他、補足したい内容があればここで説明する。

まとめ

以上、この記事では、「保存」と「保管」の違いについて解説しました。

  • 保存:対象の状態を保つこと。
  • 保管:失くしたり壊したりすることのないよう、対象を管理すること。
「保存」と「保管」を使い分ける際に重要な判断軸は、「質を維持する」のか、それとも「損失の内容に管理する」のかの2つです。ぜひ、使い分けを覚えてみてください。