本人確認や書類提出の時に、「本籍」や「住所」といった言葉をよく見ると思います。「どちらも今住んでいるところのことなのでは」などと思いがちですが、この両者は大きく異なっています。
そこで今回は、「本籍」と「住所」の違いについて解説します。
結論:「本籍」は戸籍の保管場所、「住所」は住んでいる場所
「住所」は、居住している場所のことです。
また、証明するために提出するべき書類や、変更の仕方も異なっています。
「本籍」をもっと詳しく
戸籍は、夫婦関係や親子関係などの身分を証明する公文書です。「本籍」とは、その戸籍が保管されている場所のことをいいます。
戸籍を証明するためには、戸籍の原本の写しである「戸籍謄本(こせきとうほん)」か、その一部の写しである「戸籍抄本(こせきしょうほん)」を「本籍」のある自治体で取得します。
戸籍は家族単位で登録するものであるため、未婚の人で特に手続きをしていない場合、「本籍」は親と同じ場所にあります。
結婚する際には、新しい家族として戸籍に登録されるため、婚姻届の提出時に新たに「本籍」を設定することができます。
実は、「本籍」は日本国内の住所が存在する場所であれば、どこでも置くことができます。皇居や東京タワーなどの日本を代表する地や、ディズニーランドなど夫婦にとってゆかりのある地を選ぶ人も多いようです。
このように自由度が高く、普段はほとんど意識する必要がない「本籍」ですが、注意点すべきことが2つあります。
一つ目に、「本籍」はなるべく現住所に近いなど、アクセスが良い場所に設定した方が便利です。以下は、戸籍謄本・戸籍抄本が必要とされる主な手続きです。
- 婚姻・離婚届の提出時
- パスポートの取得時
- 年金の請求時
戸籍謄本の取得は「本籍」のある住所の自治体でしかできません。郵送で取り寄せることもできますが、書類の用意や郵送に時間がかかることなどから、直接窓口に行ける近さの場所に「本籍」を置いた方が良いでしょう。
二つ目に、転籍をあまりしない方が、相続時の手続きが楽になります。
「本籍」は、戸籍謄本を提出し、必要事項を記入することで、簡単に変えられる「転籍」という仕組みがあります。
しかし、転籍を行うと、それまでの戸籍は「除籍謄本(じょせきとうほん)」という形でその自治体に残っていきます。相続を行う際、亡くなった人の全ての戸籍が必要となるため、転籍していた場合は、除籍謄本もそれぞれの自治体から取得する必要が出てきてしまうのです。
以上のように、こだわりがない限り、「本籍」は住所の近くに置き、変えない方が手続きの際、困ることがないでしょう。
「住所」をもっと詳しく
「住所」とは、ある人の現在住んでいる場所のことです。ただし、正確には「住民登録」がされている場所を指します。この正式な住所は、「住民票」で証明することができます。
住民票は、主に以下の場合に提出を求められる場合があります。
- 口座の開設時
- 携帯電話の契約時
- 大学入学時
また、住民票にある住所は重要で、その住所の自治体に住民税を支払い、その地区の選挙に対して選挙権を持つことになります。
引っ越しなどで住所を変更する際には、今まで住んでいた地域の自治体に「転出届」を、引っ越し先の自治体に「転入届」を提出します。そうすることで、実際に住んでいる地域でサービスを受けることができるのです。
まとめ
以上、この記事では、「本籍」と「住所」の違いについて解説しました。
- 本籍:戸籍の原本の所在地で、戸籍謄本・戸籍抄本で証明される
- 住所:住んでいる場所のことで、住民票で証明される
「本籍」と「住所」は、様々な書類に関わっています。引っ越しや結婚など、人生の中でも大きな区切りとなる時に必要となるので、その時に焦らないためにもきちんと理解しておきたいですね。