現在日本には、事務や事業を行う際に、国から様々なサポートを受けることができる制度があります。
その中の金銭的なサポートには、「補助金」「助成金」「負担金」「交付金」の 4 つがあります。言葉は似ていますが、給付条件などが異なります。
この記事では、違いや特徴を詳しく説明していきます。
このページの目次
結論:「補助金」「助成金」「負担金」は、給付の条件が異なる「交付金」のこと
まず、「補助金」「助成金」「負担金」は全て「交付金」の一種です。
そして、交付金と給付金は同じ意味を持ちます。
「補助金」「助成金」「負担金」「交付金」の違いを分かりやすくまとめたものが以下の表になります。
補助金 | 国または地方公共団体が、審査を通過した企業などが行う事業に対して支給する支援金 |
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助成金 | 国または地方公共団体が、条件を満たした事業に対して支給する支援金 |
負担金 | 国が特別な利益を受ける事業に対して、義務的に一定額を負担する給付金 |
交付金 | 特定の目的をもって交付する金銭を幅広く指す |
「補助金」をもっと詳しく
補助金とは、国または地方公共団体が、企業・民間団体・個人などが行う事業を支援することを目的とした給付金のことです。
基本的に補助の対象の企業は 1 社で、給付金額は金額は数十万〜数百万円です。また、交付期間は半年などの短期間で終了します。
そして、返済義務はありません。
しかし補助の有無やその金額については、事前審査と事後審査で決定します。
審査の条件は以下の 3 つです。
- 国家的見地において公益性のある事務、事業
- その事務、事業の実施に使用するためのお金であること
- 財政援助の作用をもつこと
不正や他の用途に使用した場合は、その企業や団体に罰則が科せられます。
また、補助金の交付制度上の分類には以下のものがあります。
交付制度上の補助金の分類
(1)法律補助と予算補助
- 法律補助:交付の根拠が法律に基づく
- 予算補助:法律に基づかずに、予算のみによる
法律の規定により、国が補助すると義務付けているものと、していないものがあります。法律補助以外の補助金などは、すべて予算補助です。
(2)渡切(わたしきり)補助と決算補助
- 渡切補助:事務・事業の遂行前の見積もりに基づいて交付
- 決算補助:遂行後の決算に基づいて算定し交付
交付の算定時期による分類です。
(3)定率補助と定額補助
- 定率補助 : 事業の所要額に一定の率を乗じて算出する
- 定額補助 : 事業の所要額との比例関係で算出せず、他の観点から決定する
(4)打切補助と非打切補助
- 打切補助 : 支出が補助金の金額を上回っても、交付金額を増額しない補助金等
- 非打切補助 : それ以外
(5)直接補助と間接補助
- 直接補助 : 事業を行う者に、国が直接補助を行うこと
- 間接補助 : 他の者を経由して、間接的に補助
「助成金」をもっと詳しく
助成金とは、国や地方自治体から一定の条件を満たした場合に、支給される支援金のことです。
補助金と違って審査がありません。
厚生労働省が定める条件を満たしていれば、どんな会社でも支援を受けることができます。
そして、一般的に雇用関係の助成金のことを指します。
雇用関係の助成金は、主に高齢者の安定雇用や介護離職を防止するための活動、また非正規労働者を正規雇用にするための活動などです。
例えば、「特定就職困難者雇用開発助成金」です。母子家庭の母親や障害者をハローワーク等の紹介により、継続して雇用することで受けられる助成金のことを言います。
「負担金」をもっと詳しく
負担金とは、国が特別な利益を受ける法令上の特定の事業等に対して、義務的に一定額を負担する給付金のことです。
地方公共団体・土地改良区などが、農業水利施設等の整備または管理等に必要な経費として支払うことが多く、土地改良区の場合は「賦課金(ふかきん)」と言います。
「交付金」をもっと詳しく
交付金とは、特定の目的をもって交付する金銭を広く指します。
補助金と同じ意味に捉えがちですが、基本的には国から地方自治体への支援金を指します。交付金を受けた地方自治体は交付金の趣旨に添った事業やプロジェクト立ち上げ、ほとんどがその運営を民間企業または民間企業のグループに委託します。
また多くの場合、企業が公益団体やグループを形成しています。そのため、金額も数十万円〜数千万円と高く、基本的には交付範囲は事業全体に及び、交付期間も複数年にまたがります。
まとめ
以上、この記事では、「補助金」「助成金」「負担金」「交付金」の違いについて解説しました。
- 補助金:国または地方公共団体が、審査を通過した企業などが行う事業を支援する給付金
- 助成金:国または地方公共団体が、条件を満たした事業に対して支給する給付金
- 負担金:国が特別な利益を受ける事業に対して、義務的に負担する給付金
- 交付金:特定の目的をもって交付する金銭を広く指す
この様に「補助金」「助成金」「負担金」「交付金」には、この様な違いがあります。これらは事業を行う人にとっては、知らなかったでは勿体ない制度です。他にも様々な国からの支援があるので、事業を行う際は調べて慎重に計画しましょう。