営業用語「引き合い」の意味とは?言い換えから英語まで詳しく解説

言葉

「引き合い」とは「引っ張り合い、結びつきを持った状態」という意味です。

「引き合い」は日常生活や営業の場でよく使われる言葉ですが、その意味はたくさんあります。

一口に「引き合い」と言われても、なかなか意味がつかめないこともあるでしょう。

この記事では、「引き合い」の五つの使い方を整理し、わかりやすくお伝えします。

「引き合い」の意味

引っ張り合い、結びつきを持った状態

「引き合い」には、主に以下の五つの意味があります。

「引き合い」の意味
  1. 互いに引っ張り合うこと
  2. 証拠・参考として、過去の例を比較の場に引き出すこと
  3. 条件の照会や、条件に基づく注文・取引・依頼のこと
  4. 紹介し、二者の仲を取り持つこと
  5. 訴訟や事件の参考人となること

それぞれの意味について、以下で説明します。

意味①:互いに引っ張り合うこと

「互いに引っ張り合うこと」は、「引き合い」のもっともシンプルな意味になります。

「引き合い」は、「引く」と「合う」という二つの動詞が組み合わさった複合動詞「引き合う」の名詞形です。

ただ引くのではなく、複数の人が同時に、異なる方向に引いている場面で使われます。

意味②:証拠・参考として、過去の例を比較の場に引き出すこと

「引き合い」には、「証拠・参考として、過去の例を比較の場に引き出すこと」という意味もあります。

日常会話で使われている場合は、この意味であることが多いです。

この意味で使われる「引き合い」では、多くの場合、過去の失敗や起きてしまったよくない事故など、マイナスな事例を取り上げることになります。

比較・検討を行う際に、失敗してしまったことを取り上げることで、同じことをしないよう注意する形です。

意味③:条件の照会や、条件に基づく注文・取引・依頼のこと

「条件の照会」「条件に基づく注文や取引」という意味でも「引き合い」は使われます。

営業の場では、問い合わせを確認されたり、何らかの取引が持ちかけられたりすることがあります。

「引き合い」は営業の場では、そういった取引を依頼することを意味します。

交換条件を出すような場合も多くあり、その場合、提示されている条件のことを「引き合い」と呼びます。

意味④:紹介し、二者の仲を取り持つこと

「引き合い」は、個人同士や、会社同士の仲を取り持つ場合にも使われます。

ある人物や団体が間に入り、関連がなかったり、仲が悪かったりする二者を結びつけ、良い方向に導くことを指します。

意味⑤:訴訟や事件の参考人となること

「引き合い」には、参考人として裁判の場に出向くという意味もあります。

あまり一般的な言葉ではありませんが、まれに使われるため、覚えておけるとよいでしょう。

「引き合い」の使い方

「引き合い」は以下のような言い回しで用いられることが多いです。

  • 引き合いに出す
  • 引き合いがある
  • 引き合いが殺到する
  • 引き合いいただく
  • 引き合いを請け負う

ここからは「引き合い」の詳しい使い方について五つの意味別に見ていきましょう。

①「互いに引っ張り合うこと」の意味での使い方

「互いに引っ張り合うこと」の意味で使われている例文には以下のようなものがあります。

  1. 1組と3組の綱引き合戦は、激しい綱の引き合いとなった。
  2. 地球と月は、引力で互いに引き合っている。

上記の例文のように、「引き合い」は二つのものが互いに引っ張る力を加えているときに使われます。

二つの存在が真逆の方向に力を加え合っており、力が釣り合っている状態で、一方向への動きが生まれません。

そのため、この場合では「引き合いとなる」「引き合っている」といった状態を表す表現になります。

②「証拠・参考として、過去の例を比較の場に引き出すこと」の意味での使い方

「証拠・参考として、過去の例を比較の場に引き出すこと」の意味で使われている例文には以下のようなものがあります。

  1. 彼の起用を渋る上司は、数年前のミスを引き合いに出してきた。
  2. 広報部は、SNS広告から利益が得られなかったことを引き合いに出し、別の媒体での宣伝を主張した。
上記の例文のように、この場合の「引き合い」は「引き合いに出す」という表現で使われます。

①の例文では、数年前のミスを掘り返すことで、「彼」が起用にふさわしくない人間だと主張されています。

②の例文では、過去に利益が得られなかったというデータを「引き合い」として持ち出すことで、SNS広告の運用に否定的な考え方を示しています。

「引き合いに出す」の意味
  • 引き合いに出す
    過去のよくない例を取り上げること

「引き合いに出す」とは、過去にあったよくない例を話題に持ち出すことです。

その後の行動や指針を決める際の根拠として使われます。

③「条件の照会や、条件に基づく注文・取引・依頼のこと」の意味での使い方

「条件の照会や、条件に基づく注文・取引・依頼のこと」の意味で使われている例文には以下のようなものがあります。

  1. 新規事業について、A社からの引き合いがある。
  2. テレビで紹介されて以降、その商品への引き合いが殺到しており、対応に追われている。
  3. 相手は、こちらの要求を飲む代わりに、別の案件での資金援助を引き合いに出してきた。

上記の例文のように、この場合の「引き合い」は、「引き合いがある」「引き合いが殺到している」「引き合いに出す」といった形で使われます。

①の例文では、A社から新規事業についての取引がもたらされたことを「引き合いがある」と表現しています。

まだ取引の段階であり、正式な決定が終わっていないときに、「引き合いがある」という言い回しになります。

 

②の例文では、商品への注文・問い合わせのことを「引き合い」と表現しています。

予想以上のペースで注文や問い合わせが来ている場合に、「引き合いが殺到している」となります。

「引き合いが殺到する」の意味
  • 引き合いが殺到する
    注文や問い合わせが次々と寄せられること

「引き合いが殺到する」とは、商品の注文や問い合わせ、取引の依頼が集中して寄せられることです。

予想以上の人気を得ているという印象を与える表現になります。

③の例文では、「こちらの要求を飲む」という条件に対する交換条件に、「別の案件での資金援助」が挙げられています。

その他、以下のような言い回しで使われます。

  • 引き合いが多い
  • 引き合いが増える
  • 引き合いが強い
  • 引き合いが来る
  • 引き合いを受ける
  • 引き合いをもらう
  • 引き合いがなくなる

④「紹介し、二者の仲を取り持つこと」の意味での使い方

「紹介し、二者の仲を取り持つこと」の意味で使われている例文には以下のようなものがあります。

  1. 先日は、お引き合いいただきありがとうございました。
  2. 彼女が引き合わせてくれたおかげで、私は趣味について心から語り合える仲間を得たのだ。
  3. 運命に引き合わされたのか、旅行で訪れた地で今の夫と出会ったのだった。
上記の例文のように、この場合の「引き合い」は、「お引き合いいただき」「引き合わせる」といった形で使われます。

①の例文では、ある人や会社に紹介をしてもらったことについて、お礼を述べています。

「引き合い」が名詞として使われる場合は、「お〜いただく」を加えた形で使われます。

「お引き合いいただく」の意味
  • お引き合いいただく
    紹介してもらうこと

「お引き合いいただく」とは、ある人から他の人に自分を紹介してもらったり、ある人から自分に他の人を紹介してもらったりしたときに使われる表現です。

自分と相手を引き合わせてもらったことに感謝される場面で使われます。

②③の例文では、「引き合い」を「引き合わせる」という動詞に変化させて表現しています。

②の例文のような実在する人物によって紹介された場合にも、③の例文のような、霊的・超越的なものによって偶発的に出会いを果たした場合にも使うことができます。

⑤「訴訟や事件の参考人となること」の意味での使い方

「訴訟や事件の参考人となること」の意味で使われている例文には以下のようなものがあります。

  • 立てこもり事件の引き合いを請け負うことになってしまった。

上記の例文のように、この場合の「引き合い」は、「引き合いを請け負う」という形で使われます。

この表現から、事件に関する裁判の場に出向くということがわかります。

「引き合い」の類義語

「引き合い」の類義語を五つの意味別に見ていきましょう。

①「引き合うこと」の意味の類義語

  • 引っ張り合い
    互いに引き合うこと

②「情報を探すこと」の意味の類義語

  • 照会(しょうかい)
    情報を問い合わせ、確認すること

③「例を挙げたり、例に基づいて考えを決めること」の意味の類義語

  • 例示(れいじ)
    例を挙げること
  • 参考(さんこう)
    他の事例を持ち出して、考えを決める手がかりにすること
  • 参照(さんしょう)
    照らし合わせ、参考にすること
  • 対照(たいしょう)
    複数のものを参照し、比較すること
  • 引用(いんよう)
    他者の言葉をそのまま挙げること

④「相手と取り決めを結んだり、交渉・合意をすること」の意味の類義語

  • 条件(じょうけん)
    契約や約束を成立させるための取り決め・制約
  • 取引(とりひき)
    互いの利益のために交渉を行うこと
  • 注文(ちゅうもん)
    具体的な数量や内容を明確にして依頼すること

⑤「自分が間に立って二者の仲を取り持つこと」の意味の類義語

  • 仲介(ちゅうかい)
    仲を取り持つこと
  • 媒介(ばいかい)
    両者の間を仲立ちすること
  • 橋渡し(はしわたし)
    二者の間に立って仲を取り持つこと
  • 口利き(くちきき)
    二者の間に立って世話をすること

「引き合い」の英語訳

「引き合い」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • pull something from both ends
    (互いに引っ張り合う)
  • mention
    (言及する)
  • inquiry
    (問い合わせ)
  • deal
    (取引)
  • introduce
    (紹介する)
  • witness
    (証人)

“pull something from both ends” の意味

“pull something from both ends” は、「引っ張り合う」という意味で、引き合いと似た意味となります。

“something” の部分に、引っ張られているものの名前を当てはめて文を作りましょう。

例文は、以下の通りです。

例文
We pulled a rope from both ends.
(私たちは綱を互いに引き合った。)

“mention” の意味

“mention” は、過去の例を引っ張り出して来る場面で使うことのできる英単語です。

「参考にする」「参照にする」という意味合いが強く、引き出す内容はネガティブな要素に限定されません。

例文は、以下の通りです。

例文
He mentioned her faults.
(彼は、彼女の失敗を引き合いに出した。)

“inquiry” の意味

“inquiry” は、「問い合わせ」「照会」という意味の言葉です。

アメリカ英語では “enquiry” も同様の意味として扱いますが、 “inquiry” の方が日常的によく使われます。

イギリス英語では、 “enquiry” のニュアンスが変わるため、扱いには注意が必要です。

例文は、以下の通りです。

例文
Thank you for your inquiry.
(お問い合わせありがとうございます。)

“deal” の意味

“deal” は、「取引」という意味で使われる英単語です。

可算名詞であるため、取引の案件ごとに数えることができます。

例文は、以下の通りです。

例文
We made a deal with that company.
(我々は、あの会社と取引をした。)

“introduce” の意味

“introduce” は、「紹介する」という意味の英単語です。

“introduce A to B(AにBを紹介する)” という形が一般的です。

「ABを引き合わせる」といった、並列の関係として扱うわけではありませんが、「ABを引き合わせる」という関係性として、ほぼ似た意味で使うことができます。

例文は、以下の通りです。

例文
She introduced him to me.
(彼女は私に彼を紹介した。)

“witness” の意味

“witness” は法廷に立つ参考人のことを表す英単語です。

witnessは不可算名詞であるため、 “a witness” としないように注意しましょう。

例文は以下の通りです。

例文
I was summoned as witness.
(私は証人として召喚された。)

「引き合い」のまとめ

以上、この記事では「引き合い」について解説しました。

読み方引き合い(ひきあい)
意味引っ張り合い、結びつきを持った状態
類義語引っ張り合い、参考、仲介など
英語訳pull something from both ends(互いに引っ張り合う)

引き合いはさまざまな意味を持つ言葉です。

難しく思えるかもしれませんが、重要な意味ばかりであるため、しっかりと覚えるようにしましょう。

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ひな
ひな
国文学専攻の現役東大生ライター。 言葉には人と人をつなぐ力があると信じています。 間違えやすい言葉・新しい言葉の執筆が得意です。