「貴賤(きせん)」とは?意味や貴賤を用いた四字熟語をわかりやすく解説!

言葉

貴賤とは「身分の貴いことと賤しいこと」という意味です。

皆さんは、貴賤という言葉を聞いたことがありますか?

歴史が好きな人の中には、この言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

今回は、そんな貴賤の意味や使い方、由来について解説します。

「貴賤」の意味

貴賤きせん

①身分の貴いことと賤しいこと
例:貴賤が生まれてしまうのが世の常だ。
②金額の高いことと安いこと
例:この商品とあれとでは、貴賤の差がある。

貴賤は、身分の高いことと賤しいことを表す言葉です。

また、金額の高いことと安いことを表す際にも使われます。

貴賤がこのような相反する意味をもつ理由は、貴賤という漢字にあります。

貴賤のそれぞれの漢字の意味は、以下の通りです。

  • 貴:優れている、身分が高い
  • 賤:劣っている、身分が低い

このように、それぞれの漢字が真逆の意味をもっているため、言葉の中に相反する意味を含んでいるのです。

貴賤ではなく、貴賎と表記することもあります。
また、貴賤は理想の世界を語る際によく使われる言葉です。

貴賤は身分差を表す言葉であり、貴賤の差がない世の中こそが理想であると考える人は多く存在しています。

そのため、理想の世の中を語ったり、改革運動を起こす際などに、「貴賤をなくそう」のような形で貴賤が使われるのです。

「貴賤」の使い方

貴賤は、理想論を語る際によく使われる言葉です。

加えて、「貴賤なし」や「貴賤を問わず」といったように、否定形で使われることが多いです。

貴賤を用いた例文は、以下の通りです。

  1. ここには貴賤を問わず、様々な人が集まってくる。
  2. お茶を飲むときには、貴賤の違いは関係ない。
  3. 市民プールは、貴賤を問わず誰でも使うことができる。

また、貴賤のほかの使い方として、代表的なものを以下で2つ説明します。

職業に貴賤なし

代表的な貴賤の使い方として、「職業に貴賤なし」というものが挙げられます。

これは、「それぞれの仕事に価値があるため、どの職業も素晴らしいものである」という意味です。

「職業に貴賤なし」を用いた例文は以下の通りです。

  • この世にある全ての職業に貴賤なし

貴賤をつける

「貴賤をつける」という表現も、貴賤の代表的な使い方として挙げられます。

「貴賤をつける」は、「物の価値に優劣をつける」という意味の表現です。

例文には以下の通りです。

  • 物事に貴賤をつけることが必ずしも悪というわけではない。

「貴賤」の由来

貴賤は、平安時代の初期には使われていたと考えられています。

平安時代の歴史書である「続日本紀(しょくにほんぎ)」にも、貴賤は使われていました。

また、派生語である「職業に貴賤なし」の由来は、石田梅岩(いしだばいがん)という江戸時代に活躍した倫理学者だとされています。

彼は身分によって階級が定められていた世の中で、商人の権利を向上させようと活動しました。

その活動を行う中で登場した言葉が、「職業に貴賤なし」であるとされています。

「貴賤」の類義語

貴賤には以下のような類義語があります。

  • 尊卑(そんぴ)
    高い身分と賤しい身分
  • 貧富(ひんぷ)
    貧しいことと裕福なこと
  • 優劣(ゆうれつ)
    優れていることと劣っていること
  • 雲泥(うんでい)
    天の雲と地の泥のような、大きな隔たり

これらの類義語は、どれも相反する意味をもつ二語の組み合わせで作られています。

中でも「優劣」は、貴賤の代わりとしてほぼ同じタイミングで使うことができる表現です。

残り3つの「尊卑」「貧富」「雲泥」は、貴賤と比べて使うことができるタイミングが少し限られます。

貴賤と尊卑、貧富、雲泥の違いは以下の通りです。

貴賤と尊卑の違い
  • 貴賤
    身分階級・お金の話の際に使うことができる
  • 尊卑
    身分階級の話の際に使うことができる
貴賤と貧富の違い
  • 貴賤
    身分階級・お金の話の際に使うことができる
  • 貧富
    お金の話の際に使うことができる
貴賤と雲泥の違い
  • 貴賤
    身分が高い人・低い人のことを表す
  • 雲泥
    身分の差など、隔たりを表す

「貴賤」を用いた四字熟語

また、貴賤の関連語として、貴賤を用いた四字熟語が多く存在しています。

例としては、以下のようなものがあります。

  • 貧富貴賤(きせんひんぷ)
    全ての人
  • 貴賤上下(きせんじょうげ)
    全ての人
  • 貴賤都鄙(きせんとひ)
    全ての人
  • 老若貴賤(ろうにゃくきせん)
    全ての人
  • 貴賤結婚(きせんけっこん)
    社会的に全く違う身分の人同士が結婚すること

貴賤を用いた四字熟語には、「全ての人」という意味をもつものが多く存在します。

また、最後の貴賤結婚とは、社会的に身分が違いすぎる人同士の結婚を指す言葉です。

貴賤結婚の代表例としては、皇族と臣下の結婚が挙げられます。

「貴賤」の英語訳

貴賤を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • high and low
    (身分が高い人も低い人も)
  • all ranks
    (全ての階級)

一つめの英語訳は、日本語と同じように “high(高い)” と “low(低い)” のように相反する意味をもつ単語を合わせたものです。

また、貴賤は身分が高い人のことも低い人のこともどちらも表す言葉のため、 “all(全て)” を用いて表現することもできます。

「貴賤」のまとめ

以上、この記事では貴賤について解説しました。

読み方貴賤(きせん)
意味①身分の貴いことと賤しいこと
②金額の高いことと安いこと
由来平安時代の初期には使われていた
類義語尊卑
貧富
優劣
英語訳“high and low(身分が高い人も低い人も)”
“all ranks(全ての階級)”

このように、貴賤は身分の貴いことと賤しいことを表す言葉です。

意味や使い方を覚え、使いこなせるようにしましょう。

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つつつ
この道10年以上の読書家。 短い言葉で人を惹き付けるコピーが大好きです。 本の帯に書かれたコピーを見て買ってしまうこともしばしば。 読書で得た文章力を活かして、日常生活でよく使う言葉を中心に執筆しています。