今回ご紹介する言葉はことわざの「火に油を注ぐ」です。
言葉の意味・由来・使い方・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「火に油を注ぐ」をざっくり言うと……
意味 | 燃え盛る火に油を注ぐように、勢いのあるものにさらに勢いを加えること |
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由来 | 古代ローマの歴史家、リウィウスの言葉 |
類義語 | 波風を立てるなど |
英語訳 | Add fuel to the fire.(火に油をそそぐ) |
このページの目次
「火に油を注ぐ」の意味をスッキリ理解!
「火に油を注ぐ」の意味を詳しく
「火に油を注ぐ」とは、盛んに燃える火に油を注ぐように、元々勢いのあるものにさらに勢いを加えることを指します。また、手出しや口出しによって、事態の収拾がつかなくなるという意味もあります。
そもそも、なぜ油を注ぐ行為が危険なのかというと、温度が上昇した油が発火して、火の勢いが増すからです。
火、油、水の組み合わせの危険性
火が燃え移ってしまった時、とっさに水をかけようとするのが常識だと思います。しかし、この行為が危険になる時があります。それは、油が引火してしまった場合です。
例えば、家で天ぷらを揚げていた時に油が引火してしまったとします。この時に、水をかけてしまうと白い煙が出て、あたりは一瞬のうちに炎の海になります。
これは何が起きているのかというと、高温に熱せられた油に水が加わることで、水が急激に膨張し、油が弾き飛ばされているのです。いわば、水蒸気爆発に近い状況になってしまうのです。
正しい対処法は、濡らした毛布を広げて鍋にふたをすることです。こうすることで、酸素が入らなくなり、消火を促すことができます。
「火に油を注ぐ」の由来
「火に油を注ぐ」は、古代ローマの歴史家、リウィウスの言葉が由来だと言われています。彼の言葉は以下の通りです。
このように、紀元前から悪い状況を生み出すという意味で使われていたことがわかります。
「火に油を注ぐ」の使い方
- 余計なお節介を焼いたばかりに、火に油を注ぐことになってしまった。
- 火に油を注ぐだけだから、ほとぼりが冷めるまで大人しくしていよう。
近年では、「盛り上がる」「良い結果になる」などの意味合いで使われることもありますが、これは誤った使用方法です。
火に油を注ぐは、騒ぎを一層大きくさせたことによって望ましくない結果になることを表します。このように、ネガティブな意味合いを持つので、使い方には十分気を付けましょう。
「火に油を注ぐ」の類義語
「火に油を注ぐ」には以下の類義語があります。
- 波風を立てる:雰囲気を悪くさせたり、面倒ごとが増えるような行為をすること
- 駆け馬に鞭(むち):元々早く走っている暴走馬に鞭を打つことでさらに速度を上げさせるように、状況を悪化させること
「火に油を注ぐ」の英語訳
「火に油を注ぐ」を英語に訳すと以下のような表現になります。
- Add fuel to the fire.
(火に油をそそぐ) - Bring oil to the fire.
(火のある所へ油を持ってくる)
まとめ
以上、この記事では「火に油を注ぐ」について解説しました。
意味 | 燃え盛る火に油を注ぐように、勢いのあるものにさらに勢いを加えること |
---|---|
由来 | 古代ローマの歴史家、リウィウスの言葉 |
類義語 | 波風を立てるなど |
英語訳 | Add fuel to the fire.(火に油をそそぐ) |
昔、アメリカのシアトルで、ある大工が火のついた油に水をかけるという誤った消火方法をしてしまったために、街がほぼ全焼してしまうという事件がありました。
くれぐれも火の扱いには細心の注意を払い、「火に油を注ぐ」ようなこともしないようにしましょう。