今回ご紹介する言葉は、故事成語の「断腸の思い」です。
言葉の意味・語源・使い方・由来・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「断腸の思い」をざっくり言うと……
読み方 | 断腸の思い(だんちょうのおもい) |
---|---|
意味 | 腸がちぎれるほど、悲しくて辛い思い・深い悲しみ |
語源 | 「はらわたが切れる」という意味の漢字から |
由来 | 子猿と離れ離れになった親猿の腸がボロボロになっていた話から |
類義語 | 胸が張り裂ける思い、身を切る思い、胸をえぐられる思い、胸がつぶれる思い |
英語訳 | heartbroken thoughts(胸が張り裂けるような気持ち) heartrending grief(胸が張り裂けるような深い悲しみ) overwhelming sorrow(抵抗できない悲しみ) |
このページの目次
「断腸の思い」の意味をスッキリ理解!
「断腸の思い」の意味を詳しく
「断腸の思い」とは、「腸がちぎれるほど、悲しくて辛い思い・深い悲しみ」のことです。
単に「悲しい」というだけでは足りないくらいの「尋常ではない悲しさ」という意味の言葉です。
「断腸の思い」の語源
「断腸」の漢字には以下のような意味があります。
- 断:切り離す
- 腸:消化器の一つ・胃から肛門(こうもん)までの、曲折した細長い管状の内臓
「腸が切れる」という意味の言葉です。
「断腸の思い」は、漢字の通り、「はらわたがちぎれるほどの辛い思い」という意味から、「深い悲しみ・辛さ」という意味に派生しました。
「はらわたがちぎれる」とは言っていますが、身体的な痛みではなく、心理的な辛さを表す言葉です。「心の痛み」と捉えるといいかもしれません。
「断腸の思い」の使い方
- 断腸の思いで、子供と離れる決断をした。
- 断腸の思いで、昔から集めていたコレクションを断捨離した。
何か、辛い状況が続いていて、「断腸の思いだ」と言うことは少ないです。たとえば「ずっと家から出られなくて断腸の思いだ」などの表現はしません。
「辛いながらに何かを決断したり行動したりする」ときに使う言葉です。
具体的には、以下のような場面で使われます。
- 苦しい選択を迫られ、辛いのは承知でどちらかを選ぶこと
- 進めていた物事をあえなく断念するとき
何かを辞めたり、あきらめたりするときに使われる言葉です。
「断腸の思い」の由来
「断腸の思い」という故事成語は、以下のようなエピソードが由来になっています。
すると、従者がどこからか子供の猿をとらえてきました。子猿を船に乗せて船を出発させると、母親の猿は、子猿を追いかけてずっと岸伝いを走ってきました。
やっとの思いで船に追いつき、母猿は船に乗り込みました。子猿と再会できましたが、間もなく母親は死んでしまいました。
従者が、死んだ母猿の腹を裂いて覗いてみると、腸がズタズタに切れていたのです。
この話から、「腸がちぎれてしまうほどの悲しさ」を表す言葉になりました。
「断腸の思い」の類義語
「断腸の思い」には以下のような類義語があります。
- 胸が張り裂ける思い:悲しみや苦しみなどで心がいっぱいになる
- 身を切る思い:どうしようもなく悲しく、残念な心持ち
- 胸をえぐられる思い:どうしようもなく悲しく残念な心持ち
- 胸がつぶれる思い:どうしようもなく悲しく残念な心持ち
「断腸の思い」の英語訳
「断腸の思い」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- heartbroken thoughts
(胸が張り裂けるような気持ち) - heartrending grief
(胸が張り裂けるような深い悲しみ) - overwhelming sorrow
(抵抗できない悲しみ)
まとめ
以上、この記事では「断腸の思い」について解説しました。
読み方 | 断腸の思い(だんちょうのおもい) |
---|---|
意味 | 腸がちぎれるほど、悲しくて辛い思い・深い悲しみ |
語源 | 「はらわたが切れる」という意味の漢字から |
由来 | 子猿と離れ離れになった親猿の腸がボロボロになっていた話から |
類義語 | 胸が張り裂ける思い、身を切る思い、胸をえぐられる思い、胸がつぶれる思い |
英語訳 | heartbroken thoughts(胸が張り裂けるような気持ち) heartrending grief(胸が張り裂けるような深い悲しみ) overwhelming sorrow(抵抗できない悲しみ) |
「断腸の思い」は、日常生活の中でも使うことのできる言葉です。小説などで目にする人も多いのではないでしょうか。
この機会にしっかりと理解しておきましょう。