「はかる」という動詞は、日常生活の中でも、非常によく使う言葉です。
そして、ご存知の通り様々な漢字が当てられています。
どの用途の際にどの漢字を当てればいいのか、皆さんはしっかりと理解しているでしょうか。
「雰囲気」や「なんとなく」で使っている人も意外と多いのではないかと思います。
そこで、今回は「図る」「測る」「計る」「量る」の違いについて解説していきます。
このページの目次
結論:何を「はかる」のかによって使い分ける!
測る:長さや深さ、高さや能力を調べること
計る:時間や度合いを調べること、考えたり見積もったりすること
量る:重さや容量を調べること、他人の気持ちを推測すること
「図る」についてもっと詳しく!
「図る」とは、「あることが実現するように企てること」という意味です。
また、「物事を実行するために創意工夫すること」という意味もあります。
似た言葉で「謀る」という言葉があります。
これも「何かを企てる」という意味ですが、「悪意をもって騙す」場合に使われることが多いです。
悪意がない場合や、何かをだますわけではない場合は「図る」を使う方が適切でしょう。
「図る」の使い方の例
- 彼は自殺を図ったが、警察官によって無事に阻止された。
- 今年は予算が足りないから、経費削減を図ろう。
- 普段からお世話になっている彼には便宜を図った。
- 図らずも事業は大成功を収めた。
➌の「便宜を図る」とは慣用句的な使い方です。
「利益になるようなことや、特別な計らいなどを行うこと」という意味です。
「便宜」とは「都合のいいこと」や「便利であること」という意味があります。
➍の「図らずも」は、「企てたわけではないのだが」という意味なので「思いがけず」というニュアンスになります。
「測る」についてもっと詳しく!
「測る」は、「長さや深さ、高さや能力を調べる」という意味です。
「測定」「測量」などの熟語からイメージするといいでしょう。
また、「物事の状態・程度や他人の心中について考えをめぐらすこと」という意味もあります。
これは「推測」という熟語が当てはまります。
「測る」の使い方の例
- 学期の始めに身長を測る。
- 分度器で角度を測る。
- プールの深さを測る。
- ポーカーフェイスの彼の真意を測る。
➊~➌は、長さや深さ、角度を調べるという意味です。
➍は、「他人の心中についてえ考えをめぐらすこと」という意味で使われています。
「計る」についてもっと詳しく!
「計る」は、「時間や程度を調べること」や「考えたり見積もったりすること」という意味です。
時代劇で「よきにはからえ」というセリフを聞いたことがあるでしょう。
この「はからえ」は「計らえ」と書きます。
「よくなるように考えて行動しなさい」という意味の言葉なのです。
「計る」の使い方の例
- 弊社が彼を失った損害は、計り知れません。
- 発言するタイミングを計る。
- 平泳ぎのタイムを計る。
➊は、損害の大きさを「見積もる」という意味で使われています。
➋は発言するのにちょうどいいタイミングを「考える」という意味です。
➌は、「時間を調べる」という意味です。
「量る」についてもっと詳しく!
「量る」は漢字の通りに「重さや量、かさを調べる」という意味です。
また「他人の気持ちを推し量る」という意味もあります。
「裁量」「重量」「容量」などの熟語からイメージするととても分かりやすいです。
「量る」の使い方の例
- ソースを作る前に、パスタを200g量り取る。
- 身体測定で体重を量るので、朝から憂鬱だ。
- こんな指示を出してくるなんて、上司の真意を量りかねる。
➊と➋は「重さを調べる」という意味で使われています。
➌は「他人の気持ちを推し量る」という意味です。
まとめ
以上、この記事では「図る」「測る」「計る」「量る」の違いを解説しました。
- 図る:あることが実現するように企てること
- 測る:長さや深さ、高さや能力を調べること
- 計る:時間や度合いを調べること、考えたり見積もったりすること
- 量る:重さや容量を調べること、他人の気持ちを推測すること
「はかる」は、日常生活の中でも使うことの多い重要な同音異義語です。
メールなどの文章の中で間違えてしまったら少し恥ずかしいです。
ややこしいところもありますが、しっかりと使い分けられるようになりましょう。