「指針」と「方針」の違いとは?使い方から英語訳まで解説

違いのギモン

「指針」と「方針」は、どちらも行動する上での道しるべのようなニュアンスを感じますが、微妙に意味が異なります。みなさまは、使い分けの仕方をご存知ですか。

以下では、「指針」と「方針」の違いを解説します。

結論:外部から取り入れる「指針」、自分で決める「方針」

「指針」とは、物事を進める上で、向かうべき方向性を示してくれるものや考えのことです。

一方、「方針」とは、物事を進めるにあたり、向かうべき方向性を自ら考えたものです。

「指針」をもっと詳しく


「指針」とは、物事を進める際にあてにする、方向性を示してくれる考えのことです。後に解説する「方針」との違いは、外部から進むべき方向を示唆される点にあります

たとえば、「あのベテラン選手の考えは、プロ生活における私の指針である。」という使い方があります。ここでは、「ベテラン選手の生きざま」という外的な要素から、自分の進むべき方向を見出しています。

「指針」は、、もともとコンパスや時計の針を意味しました。まさに、方向を決めてくれるものですよね。

「指針」と「指標」

「指針」と字面が似ている言葉に「指標」がありますが、両者の意味は異なります。

「指標」は、ある物事について判断を下す際に、用いる尺度や目印のことです。たとえば、サッカー選手においての凄さを測る上では、ある期間におけるゴール数は1つの目印となるでしょう。この時、ある期間におけるゴール数は、当該サッカー選手を評価する上での1つの「指標」となります。

このように、「指標」は、あくまである対象について評価を下すことを目的に用いられるものです。一方、「指標」は、自分が関わる物事について、長期的なスパンで進む方向性を示してくれるものなのです。

「指針」の使い方の例

  1. この著者の考え方を、人生の指針にしたい。
  2. 恩師の言葉を指針としてきたからこそ、道を踏み外さずに生きてこられたのだと思う。

①では、著者の考えという外的な要素を、自分の方向性として活用しています。

②の「指針として」は、「バイブルとして」や「モットーとして」などと置き換えてもよいでしょう。自分の生き方の中核をなす考えが「指針」です。

「指針」の英語訳

「指針」の英語訳は以下の通りです。

「指針」の英語訳
  • pointer
    ((計器の)針)
  • needle
    ((磁石盤の)針)
  • guideline
    ((物事を進める上での)指針、指標)

物理的な針を指すのか、方向性を決めるものを指すのかで、英語訳を使い分けましょう。それぞれを用いた霊運は以下の通りです。

例文
  • We like pointer type clocks than digital ones.
    (デジタル時計よりも、指針式時計の方が好きである。)
  • The needle of a compass helps us to know where we are.
  • This is the guideline for our team’s revitalization.
    (これは、我がチームが復権するに当たっての指針だ。)

「方針」をもっと詳しく


「方針」とは、物事を進める上で、自分が向かっていくべき方向性を自ら決め、それを盛り込んだ考え方のことです。

「方針」はもともと磁石盤の針を意味しました。方向を指し示すという点は「指針」と同じですが、「方針」は、外的な要素をそのまま引用するのではなく、自ら考えて進む方向性を決定するという点において「指針」と異なります

「目的」があり、「方針」が決まり、「目標」が決まる

「方針」は、「目的」や「目標」という言葉とセットで覚えるとイメージがつきやすいです。

 

まず、人の行動には目的があります。たとえば、「プロサッカー選手になってW杯に出場する」などです。

次に、その目的が定まったなら、普段からどのようにサッカーと向き合えばよいかについて、自分なりの方向性を決めることになります。

この段階では、自分の得意分野や苦手分野を見極め、どのような練習を日々すればよいか等について、自分に合った策を練ることになるでしょう。これが、「方針」となります。自分で方向性を決定していますよね。

最後に、決まった方針のもと、目的に辿りつくための細かなステップとして「目標」を定めます。たとえば、「〇〇までにリフティングを1000回できるようにする」や「高校生の全国大会で優勝する」などです。

 

以上のように、目的があり、それを達成するための方針があり、そして方針に基づく目標が定められる、といった流れを押さえておくと「方針」の意味合いを覚えやすくなるでしょう。

「方針」と「主義」

自分の方向性を決めるオリジナルな考えを指す言葉としては、「方針」の他に「主義」も挙げられます。「主義」は、その人が常日頃から持っている意見や考え方のことです。

「方針」は、ある物事を達成するための方向性であるため、時と場合に応じて内容は変化します。一方、「主義」はその人が生きていくうえで長きにわたって持つ考え方のことです。両者では、規模感が異なります。

「方針」の使い方の例

  1. 父親の教育方針は、間違えてもよいから、まずは僕に考えさせるというものだった。
  2. 私は、その会社の経営理念と経営方針に共感した。

①の「教育方針」という言葉はよく聞くでしょう。これは、誰かを教育する上で、自分なりに定めたモットーのことです。例文の「教育方針」の裏には、想像力を鍛えさせるといった目的がありそうです。

②の「経営方針」は、ビジネスシーンで必ず目にします。「経営理念」と合わせて覚えておくとよいでしょう。

「経営理念」とは、その会社が存在する目的、また実現しようとする世界を定めたものです。そして、「経営理念」の実現を図るために立てるものが「経営方針」です。「経営方針」の下には、より細かな策である「経営戦略」や「経営戦術」があります。

以上の流れは、まさに「目的」、「方針」、そして「目標」という構図と同じです。

「方針」の英語訳

「方針」の英語訳は、以下の通りです。

「方針」の英語訳
  • policy
    (政策、方針)
  • course
    (方向性)

それぞれを用いた例文は以下の通りです。

例文
  • Judging from this bad situation, we need to change a policy.
    (状況が悪いため、方針を変える必要がある。)
  • Have you determined the course of this investigation?
    (今回の調査についての方針は決めましたか。)

まとめ

以上、この記事では、「指針」と「方針」の違いについて解説しました。

  • 指針:物事を進める上で、向かうべき方向性を示してくれるものや考え
  • 方針:物事を進めるにあたり、向かうべき方向性を自ら考えたもの
「指針」と「方針」の決定的なニュアンスの違いは、外部から取り入れた考えをそのまま活用しているか、それとも自分で方向性を考えているかという点です。上手に使い分けましょう。