「保証人」と「連帯保証人」の違いとは?わかりやすく解説

違いのギモン

みなさんの中には、誰かの「保証人」や「連帯保証人」になっている人もいるのではないでしょうか。

また、なっていなくても、「保証人」や「連帯保証人」になってほしいと頼まれたことがある人もいると思います。

そして、中にはよくわからないままに「保証人」や「連帯保証人」になってしまう人もいます。

 

よく知らないまま「保証人」や「連帯保証人」になってしまうと、それだけで人生の歯車が狂ってしまうことさえもあります。

なので、「保証人」や「連帯保証人」などについてよく知っておくことが重要です。

そこで、今回は「保証人」と「連帯保証人」の違いについて解説していきたいと思います。

結論:責任の大きさが異なる

まず、「保証人」とはお金を借りている人がどうしても返済できないときにだけ代わりに支払う人のことです。

一方、「連帯保証人」とはお金を借りている人と同じだけお金を返済する義務がある人のことです。

つまり、「連帯保証人」は「保証人」よりずっと責任が重いのです。

そもそもなんで「保証人」が必要なの?

「保証人」や「連帯保証人」は金融機関などが金を借りる人に要求しますが、そもそもなぜこれらが必要なのでしょうか。

それはお金を貸す人の立場になってみればわかります。

 

例えば、あなたが友達にお金を貸したとして、お金が返ってこなかったら困りますよね。

それと同じで、金融機関は商売としてお金を貸しているわけですから、もしお金が返ってこなかったらやっていけません。

しかし、ただお金を貸すだけでは踏み倒されてしまうかもしれません。

踏み倒されそうになった場合には裁判所に訴えたりしてお金を回収することもできますが、いちいち裁判を起こしていてはそのたびにお金がかかります。

その上、そもそもお金がないから借りているわけであって、お金を回収することができない場合もあるかもしれません。

 

そこで、金融機関は確実にお金を回収するために主に2つの方法を用いています。

まず1つめは、審査です。審査では、お金を借りる人にお金を返す能力があるかどうかを見極めます。そして、もしお金を返す能力がないと判断した場合には審査に落ちて、お金を借りることができません。

ちなみに、審査の厳しさは金融機関によって違いますが、審査が厳しいほど利息が低めで、審査がゆるいほど利息が高めであるという特徴があります。

なぜなら、審査がゆるいということは、お金を返してくれないリスクが高い人もお金を借りることができるということであり、踏み倒される可能性が高まるということだからです。その分、多くの利息を取って、損失を補てんする必要があります。

 

そして、2つめの方法は担保です。

担保とは、お金を借りた人がお金を返してくれない場合に、別の方法でお金を返してもらう方法のことです。

例えば、質屋の場合はお金を借りる人から高級時計など値段が高いものを預かり、その値段の分だけお金を貸すという仕組みになっています。そして、質屋はもしお金を返してくれなかった場合には預かったものを売却することで、踏み倒されないようにしています。

 

ちなみに、担保には物的担保と人的担保の2種類があります。

このうち、物的担保とは物を担保としてとっておくことで、質屋では物的担保を取っています。

一方、人的担保とはお金を借りた人以外の人の財産が担保になることで、「保証人」や「連帯保証人」などはこれにあたります。

では、ここからは「保証人」と「連帯保証人」について詳しく見ていきましょう。

「保証人」をもっと詳しく

保証人とはお金を借りている人がどうしても返済できないときにだけ代わりに支払う人のことです。

そして、保証人には連帯保証人と違って以下の3つの権利があります。まずはこれについて解説していきましょう。

なお、これから債務者や債権者などという言葉が出てきますが、債務者とはお金を借りている人のことで、債権者とはお金を貸している人のことです。

催告の抗弁権

催告の抗弁権とは、債権者に対して、まずは債務者に十分な請求を行うように求めることができる権利のことです。

つまり、お金を借りている人が借金を返済できる場合には、代わりに返済するのを拒否することができるのです。

検索の抗弁権

検索の抗弁権とは、債権者に対して、債務者に財産がある時にはまずそちらから請求するように求めることができる権利のことです。

ちなみに、ここでいう財産とは家や、値打ちのあるものなどです。

つまり、お金を借りている人に、差し押さえることが可能な家などがあった場合には代わりにお金を返済しなくてもいいのです。

分別の利益

分別の利益とは、保証人が複数いる場合、保証人ひとりあたりの保証額は全保証人の数で割った額が上限になるというものです。

例えば、ある人が100万円を借りていて、5人の保証人がいた場合、ひとりの保証人は20万円以上は返済する義務がありません。

 

そんな保証人は時に人生を狂わせかねないほどリスクのあるものです。

そのため、もし保証人になってほしいと言われて、断りづらい場合は、「最低でも~人の保証人を集めてくれたら保証人になるよ」などと言って少しでもリスクを小さくする努力をするべきです。

ちなみに、これは連帯保証人もそうですが、保証人としての債務は相続されるので注意が必要です。

つまり、場合によっては自分は保証人になってないのに、親の友達の借金を返済しなくてはいけない場合もあるのです。

ただ、保証人として代わりに借金の返済を行った場合には、金を返してもらう権利が発生します。この権利も連帯保証人にもあります。

 

逆に、自分がお金を借りたくて保証人が必要な場合には、なってもらうために見返りが必要な場合があります。

また、保証人はなってもらえないのが当たり前です。なってもらうためには誠実な態度が必要でしょう。

「連帯保証人」をもっと詳しく

連帯保証人とはお金を借りている人と同じだけお金を返済する義務がある人のことです。

そして、連帯保証人には催告の抗弁権も、検索の抗弁権も分別の利益もありません。

そのため、連帯保証人になるということは、自分が借金をしているのと変わらないのです。

 

なので、連帯保証人にだけは絶対になってはいけないと言われることが多くあります。

そして、金を借りる人の場合は、連帯保証人になってくれと頼んでも、断られるのが当たり前です。

しかし、連帯保証人がいないとお金を借りられないという場合は困ってしまいますよね。

 

そんな人に役立つのが機関保証です。

機関保証では保証機関が代わりに連帯保証人や保証人の役割を果たしてくれます。

ただ、返済ができなくなっても借金がチャラになるわけではなく、保証機関に借金を返済する必要があります。

まとめ

以上、この記事では、「保証人」と「連帯保証人」の違いについて解説しました。

  • 保証人:お金を借りている人がどうしても返済できない時に代わりに支払う人のこと
  • 連帯保証人:お金を借りている人と同じだけお金を返済する義務がある人のこと

このように「連帯保証人」になるということはお金を借りているのと同じことなのです。もしなる場合には自分の財産で支払いきれる程度にしましょう。

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和佐 崇史
文章を書くこと、読むことが大好きな大学生です。中学2年生で漢検2級を取得するなど、言葉については詳しい自信があります。Webライターとしてはこれまで累計1,000記事以上を執筆してきました。