「グロテスク」の意味とは?英語・類語から意外な語源まで解説

言葉

グロテスクは「気味が悪い様子」という意味です。

グロテスクは「グロい」という形でよく用いられる言葉ですが、実は美術様式のことも表す言葉だと知っていましたか?

この記事ではグロテスクの意味から語源まで詳しく解説していきたいと思います。

「グロテスク」の意味

グロテスク

  1. 気味が悪い様子
  2. 古代ローマが起源の美術様式

それぞれの意味について詳しく見ていきましょう。

意味①:気味が悪い様子

グロテスクは気味が悪い様子という意味です。

現在ではこの意味で用いられることがほとんどです。

「グロい」と略した表現で用いられることもあります。

意味②:古代ローマが起源の美術様式

グロテスクは古代ローマが起源の美術様式のことを指す場合もあります。

異様な人物や動物・植物に曲線の模様をあしらった美術様式になっています。

たとえば、16世紀に活躍した画家のラファエロは、バチカン宮殿の回廊にグロテスク様式を施したことから注目を集めました。

▲グロテスク様式の例

グロテスクはもともと美術様式を指していましたが、グロテスク様式の作品が不気味で奇抜だったことから①「気味が悪い様子」の意味でも用いられるようになりました。

なお、グロテスクという表現は文学作品でも用いられる場合があります。

文学作品では、グロテスクは共感と嫌悪を同時に抱かせるような人物のことを指します。

有名な文学作品でグロテスクな人物が登場するものには、以下のようなものが挙げられます。

文学におけるグロテスクの例
  • 『ノートルダムのせむし男』
    主人公のカジモドは醜い顔だが初めて優しくしてくれたエスメラルダに恋をする
  • 『フランケンシュタイン』
    天才科学者に生み出された醜い怪物は孤独に絶望し、天才科学者に復讐する
  • 『オペラ座の怪人』
    オペラ座の怪人と呼ばれる醜い男が若く美しいコーラス・ガールを我が物にしようと執着する

「グロテスク」の使い方

グロテスクは主に気味が悪いものを見た時に用いられます。

具体的な使い方と例文を意味別に見ていきましょう。

「気味が悪い様子」の意味での使い方

グロテスクは気味が悪い様子という意味では以下のように用います。

  1. グロテスクな映像は苦手だ。
  2. この作品はグロテスクなほどに人間の悪い部分を描き出している。
  3. あまりにもグロテスクな光景に立ち尽くす。
  4. 私は少しグロいアニメのほうが好きだ。

グロテスクは「グロい」という形で用いられることも多いです。

「古代ローマが起源の美術様式」の意味での使い方

グロテスクは古代ローマが起源の美術様式の意味では以下のように使います。

  1. ラファエロは、バチカン宮殿の回廊にグロテスク装飾をした。
  2. この美術館にはグロテスクの彫刻がある。

「グロテスク」の語源

グロテスクの語源はイタリア語で地下墓所や人工洞窟を意味する “grotta(グロッタ)” です。

“grotta(グロッタ)” の語源をさらに遡ると、ギリシャ語で「隠れた場所」という意味を持つ “krypte” です。

1480年、「ドムス・アウレア」という古代ローマ皇帝ネロが西暦54年に建設開始した宮殿群の遺跡が見つかりました。

その内部にかかれていたフレスコ画が人々を驚かせ、「 “grotta” で発見された古代美術」の意味からグロテスクと呼ばれるようになったのです。

「グロテスク」の類義語

グロテスクには以下のような類義語があります。

  • 不気味(ぶきみ)
    正体が知れず、気味が悪いこと
  • 醜悪(しゅうあく)
    顔・心・行いが醜く、きわめて不快なこと
  • 異様(いよう)
    様子が普通でないさま
  • おどろおどろしい
    何とも言えない不気味な迫力を感じる様子

「不気味」の意味:正体が知れず、気味が悪いこと

不気味は正体が知れず、気味が悪いことという意味です。

人になんとなく恐怖を与える様子を表します。

例文
  • 不気味な彫刻群が立ち並ぶ洞窟を訪れる。

「醜悪」の意味:顔・心・行いが醜く、きわめて不快なこと

醜悪とは顔・心・行いが醜く、きわめて不快なことという意味です。

主に人の見た目についてネガティブな意味で用います。

例文
  • 醜悪な顔をした老人が皇帝のもとを訪れる。

「異様」の意味:様子が普通でないさま

異様は様子が普通でないさまを表す言葉です。

例文
  • 辺りは異様な雰囲気に包まれていた。

ちなみに、グロテスクと異様には以下のような違いがあります。

違い
  • グロテスク
    個別のものについて気味が悪い様子
  • 異様
    全体的な雰囲気について気味が悪い様子

グロテスクが空間にある個別のものについて表すのに対して、異様は全体的な様子について表すのです。

「おどろおどろしい」の意味:何とも言えない不気味な迫力を感じる様子

「おどろおどろしい」は何とも言えない不気味な迫力を感じる様子という意味です。

例文
  • 彼は彼女に対しておどろおどろしい執着を持っていた。

ちなみに、グロテスクと「おどろおどろしい」には以下のような違いがあります。

違い
  • グロテスク
    何が気味が悪いか言葉で説明できる
  • おどろおどろしい
    何が気味が悪いか言葉で説明できない

グロテスクと「おどろおどろしい」では気味が悪い様子が言葉で説明できるかどうかが異なるのです。

「グロテスク」のまとめ

以上、この記事ではグロテスクについて解説しました。

英語表記グロテスク(grotesque)
意味①気味が悪い様子
②古代ローマが起源の美術様式
語源イタリア語の “grotta(グロッタ)”
類義語不気味
醜悪
異様 など

グロテスクは装飾様式がもととなり「気味が悪い様子」を表す語になりました。

日常生活の中で使用することはあまり多くはありませんが、古くに誕生した歴史ある用語です。

意味や言葉の背景を理解し、使用していきましょう。

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和佐 崇史
和佐 崇史
文章を書くこと、読むことが大好きな大学生です。中学2年生で漢検2級を取得するなど、言葉については詳しい自信があります。Webライターとしてはこれまで累計1,000記事以上を執筆してきました。