今回ご紹介する言葉は、カタカナ語の「グロテスク」です。
「グロテスク」の意味・使い方・語源・類義語についてわかりやすく解説します。
「グロテスク」の意味をスッキリ理解!
「グロテスク」の意味を詳しく
「グロテスク」には大きく分けて二つの意味があります。
- 気味が悪く、あくどい様子
- 古代ローマを起源とする、異様な人物や動植物などに曲線模様をあしらった美術様式
②は、装飾様式としての「グロテスク」です。古代ローマで生まれ、教会や宮殿などの建築物に施された「幻想的で奇怪な生き物の装飾」を指します。
もともと「グロテスク」は②の意味で使用され、彫刻の不気味さや奇抜な様子から「気味が悪く、あくどい様子」という現在使われている①の意味になりました。
16世紀初めに活躍した画家のラファエロは、バチカン宮殿の回廊に「奇想的な曲線を描く植物やギリシャ神話の怪物」などのグロテスク装飾を施したことで世間から注目を集めました。
「グロテスク」「異様」「おどろおどろしい」意味の違い
「グロテスク」と似た意味をもつ単語の使い分けを見ていきます。
- グロテスク:具体的に目に見えるものについて、その姿形が気味悪い様子
- 異様:様子が普通ではないために、不安を覚えるような様子
- おどろおどろしい:なんとも言いようのない不気味な迫力を感じさせるような様子
②の「異様」は、「普通でない状態に、不信感や不安を覚える様子」を指します。「グロテスク」と比べるとやや弱いニュアンスを含みます。
③の「おどろおどろしい」は、「言葉で表現できないような、不気味な様子」を表しています。言葉で言い表せないような不気味さを感じた時は「おどろおどろしい」を使用するのが適切です。
「グロテスク」の使い方
- グロテスクな映像は苦手だ。
- この作品はグロテスクなほどに人間の悪い部分を描き出している。
- ラファエロは、バチカン宮殿の回廊にグロテスク装飾をした。
①、②の例文では、「不気味・気味の悪い」という意味で「グロテスク」が使用されています。人によって「グロテスク」だと感じる対象はさまざまですが、一般的に「生々しい映像や醜い様子」を指します。
③の例文の「グロテスク」は、「古代ローマの異様な美術様式」を表しています。
「グロテスク」の語源
グロテスクの語源はイタリア語の “grotta(グロッタ)” です。 “grotta(グロッタ)” はイタリア語で地下墓所や人工洞窟を意味します。
15世紀末に、古代ローマ時代の宮殿遺跡「ドムス・アウレア」が発掘されました。地中に埋もれていたドムス・アウレアは洞窟(grotta)のようで、その内部に描かれたフレスコ画の幻想的な装飾様式が当時の人々を驚かせます。
これが「“grotta(グロッタ)”で発見された古代美術」という意味で「グロテスク」と呼ばれるようになりました。
「グロテスク」の類義語
グロテスクには以下のような類義語があります。
- 不気味:正体が知れず、気味が悪いこと
- 醜悪:顔・心・行いが醜く、きわめて不快なこと
「不気味」も「醜悪」も「気味の悪い」という感情に共通する言葉です。日常会話で「グロテスク」の言い換え表現として使用できます。
まとめ
以上、この記事では「グロテスク」について解説しました。
英語表記 | グロテスク(grotesque) |
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意味 | 気味の悪い様子 |
語源 | イタリア語の “grotta(グロッタ)” |
類義語 | 不気味、醜悪 |
「グロテスク」は装飾様式がもととなり「気味が悪い様子」を表す語になりました。日常生活の中で使用することはあまり多くはありませんが、古くに誕生した歴史ある用語です。
意味や言葉の背景を理解し、使用していきましょう。