「ピーマン」はとても有名な野菜ですよね。そして、子どもたちが苦手なことでも有名だと思います。そして、「ピーマン」と似た野菜としては「パプリカ」があげられますよね。
ところで、「ピーマン」と「パプリカ」の違いをみなさんはご存知でしょうか。
色、と答える人が多いと思います。しかし、この2つの野菜の間にはもっといろいろな違いがあったのです。今回はそれについて解説していきたいと思います。
結論:ピーマンは果肉が薄くて細長く、パプリカは厚くてリンゴ型
一方、パプリカはピーマンに比べて果肉が厚くて、リンゴに似た形をしています。
序論:「ピーマン」と「パプリカ」の共通点
「ピーマン」と「パプリカ」はどちらもナス科トウガラシ属の植物です。つまり、この2つの野菜はトウガラシの仲間なのです。
そして、辛くないので、アマトウガラシと呼ばれることがあります。そして、このアマトウガラシにはピーマンとパプリカのほかに、シシトウも含まれますが、シシトウは辛いものも存在します。
ちなみに、植物学ではピーマンやパプリカの分類の細かい定義は存在しません。
そして、ピーマンとパプリカはどちらもビタミン、カロテン、食物繊維を豊富に含んでいます。しかも、ピーマンやパプリカに含まれているビタミンは熱に強く、加熱調理しても失われにくいです。
「ピーマン」の詳細
ピーマンはパプリカより小さめで果肉が薄くて、細長い形をしています。また、一般的なものは濃い緑色をしています。
そして、1年草(※1)であり、花が咲いてから30日後くらいに収穫しますが、この時点ではまだピーマンは成熟していません。つまり、ピーマンは成熟前に収穫してしまう野菜なのです。そして、旬は夏です。
ちなみに、ピーマンをそのまま成熟させると、やがて黄色になり、その後には赤になります。このような黄色や赤色のピーマンはカラーピーマンと呼ばれ、色は似ていますがパプリカとは別のものです。
そして、ピーマンは熟していくほどに甘くなるので、赤ピーマンはパプリカのように甘いです。
ちなみに、ピーマンはアメリカ原産の野菜です。日本には明治時代に伝来しました。そして、食卓が西洋化しはじめた昭和30年ごろからよく食べられるようになりました。
現在では国内でも多く栽培されており、主な産地は茨城、高知、宮崎などです。
ちなみにピーマンは青臭さと苦味がある野菜のため、子どもたちには不評ですが、皮をむいて中にある種を取り除くだけで調理することができ、便利です。そして、炒め物に最適の野菜です。また、5~6個で100円ちょっとなため、安価です。
ちなみに、ヘタが5角形のものより6角形のもののほうが苦味が少ないのでおすすめです。
ただ、青臭さや苦味のもとはピラジンという栄養素です。そして、ピラジンは血液をさらさらにし、脳血栓や心筋梗塞の予防になります。そのため、苦味や青臭さが強いほうが体にはいいのです。
しかし、やはり苦いと消費者も食べづらいため、いまのピーマンは昔のピーマンより苦味や青臭さが少ないです。
ちなみに、ピーマンは黄色や赤色になってしまうとピラジンが減ってしまう上、シャキシャキとした食感もなくなってしまうため、緑色のピーマンが一番主流です。
- 一年草(※1):種から成長して枯れるまでに1年かかる植物のこと
「パプリカ」の詳細
パプリカはピーマンと比べて果肉が厚くて形はリンゴ型をしています。そして、比較的ピーマンより大きいです。また、多年草(※2)であり、約7週間かけて成熟し、その時に収穫します。ちなみに、成熟前の色は緑色で、これはピーマンと同じですよね。
また、ピーマンと比べて甘めです。
そんなパプリカはハンガリーで開発されましたが、日本が野菜の輸入を解禁して初めてパプリカを輸入したときは、オランダ産のものがほとんどでした。そのため、パプリカとはオランダ語で「ピーマン」という意味です。
そして、現在では日本でも栽培されていて、主な生産地は茨城、熊本、宮崎などです。しかし、お手ごろ価格のものは輸入品が多く、オランダ産や韓国産やニュージーランド産などです。ちなみに、パプリカは安いものでも1個100円程度であり、ピーマンよりずっと高価です。
そして、色が濃く、ツヤ・ハリ・重みがあるパプリカのほうがおいしいです。
ちなみに、パプリカはピーマンと比べてビタミンCやカロテンが2倍以上あります。そして、カロテンには強い抗酸化作用があります。これは皮膚や目の粘膜を保護してくれるほか、動脈硬化・糖尿病・ガンなどの予防につながります。
そして、パプリカを料理する時には生のままサラダにするか、もしくはスープやシチューに入れるのがおすすめです。なぜなら、シチューやスープならば栄養素が溶け出してもスープの中に残ってくれるからです。
そして、加熱時間が長いと栄養価が落ちてしまうため、火を通す時には時間を短めにするのがおすすめです。
ちなみに、パプリカには何色かあり、それぞれ特徴が違います。
まず黄色のパプリカは赤色のものよりビタミンCが多めで、肌をイキイキとさせるパテインという栄養素も豊富です。
次に、赤色のパプリカです。赤はカプサイシンという栄養素の色で、トウガラシにも含まれています。そのため、赤パプリカは辛くはないものの、発汗作用があります。そして、そのほかにも赤いパプリカには抗酸化作用・コレステロール低下作用などがあります。
そして、オレンジ色のパプリカは黄色のパプリカと赤色のパプリカの中間的存在です。
- 多年草(※2):種から成長して枯れるまで、何年もかかる植物のこと
まとめ
以上、この記事では、「ピーマン」と「パプリカ」の違いについて解説しました。
- ピーマン:パプリカより果肉が薄く、細長い
- パプリカ:ピーマンより果肉が厚く、リンゴのような形をしている
赤や黄色のピーマンもあれば、緑色のパプリカもあるんですね。そして、「ピーマン」も「パプリカ」も栄養価が高いので、好き嫌いせずに食べると病気になりにくいかもしれません。