ことわざ「郷に入っては郷に従う」の意味とは?類語まで例文付きで

言葉

今回ご紹介する言葉は、ことわざの「郷に入っては郷に従う(ごうにいってはごうにしたがう)」です。

言葉の意味・使い方・由来・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。

☆「郷に入っては郷に従う」をざっくり言うと……

読み方郷に入っては郷に従う(ごうにいってはごうにしたがう)
意味場所によって風俗や習慣が違うため、新しい土地に来たらその土地の習慣や慣習に従うべきであるということ
由来『童子教』
類義語里に入りては里に従う、人の踊る時は踊れ、所の法に矢は立たぬなど
英語訳Conform to the custom of the place.(郷に入っては郷に従う、その場所の風習に準拠する)

「郷に入っては郷に従う」の意味をスッキリ理解!

郷に入っては郷に従う(ごうにいってはごうにしたがう):場所によって風俗や習慣が違うため、新しい土地に来たらその土地の習慣や慣習に従うべきであるということ

「郷に入っては郷に従う」の意味を詳しく


「郷に入っては郷に従う」とは、場所によって風俗や習慣が違うため、新しい土地に来たらその土地の習慣や慣習に従うべきであるということです。転じて、ある組織に属したときには、その組織の規律に従うべきであるということを言うこともあります。

身を置いた場所によって、そこの風俗や習慣に従うが良いという処世の術を表したことわざです。

「郷」は、地方・田舎・村里のことです。

また、「郷に入っては郷に従う」は「郷に入っては郷に従え」「郷に入(い)りては郷に従う」「郷に入りては郷に従え」とも言います。

 

「入っては」を「はいっては」と読んだり、「入りては」を「はいりては」と読むことは誤りです。また、「郷に行っては郷に従え」とは書かないので注意しましょう。

海外の「郷に入っては郷に従う」

海外にも、「郷に入っては郷に従う」と同じようなニュアンスのことわざや格言があります。

「ローマでは、ローマ人がするようにせよ」(イギリス)
「その土地の水を飲んだら、その土地の習慣に従え」(モンゴル)

意味はどちらも同じで、その土地の習慣や慣習に従うべきであるということを表しています。

「郷に入っては郷に従う」の使い方

「郷に入っては郷に従う」は、以下のように使われます。

  1. 郷に入っては郷に従うと言うので、入社した会社のしきたりを早く覚えたい。
  2. 私は、マレーシアでモスクを観光した際に髪の毛や肌を隠す布を貸してもらった。まさに、郷に入っては郷に従うであった。
  3. 思春期の女の子たちは、クラスメイト同士や友達同士で暗黙のルールを持つ傾向がある。そういった意味で、郷に入っては郷に従うといった様子が色濃い。
もともとは、「別の土地に移り住むのならばその土地の風俗や習慣に従うのが良い」ということを表しことわざですが、ここから意味が派生し、今ではさまざまな場面で使われるようになっています。

①のように、自分の所属する会社の風俗や習慣に従うことを表す際に使うことがあります。これは、会社だけでなく、あらゆる組織に属したときに使うことができます。たとえば、学校やアルバイト先などもその例です。

②のように、移り住むだけでなく、ある土地を訪れた際にその場所の文化に従うべきであるということを表すこともあります。海外では、宗教の風習や食事のスタイルなどが国や地域によってさまざまです。それぞれに合った振る舞いをすることが大切ですね。

③は、コミュニティのルールに従う様子を表した例文です。学生時代はコミュニティが限られてしまうので、所属する学校などの常識に捉われてしまいがちです。

「郷に入っては郷に従う」の由来

「郷に入っては郷に従う」は、『童子教(どうじきょう)』という日本の教訓書に由来しています。『童子教』は、鎌倉時代から明治の中頃まで日本の初等教育で使われていたものです。

その中の、「郷に入りては而(すなわ)ち郷に随(したが)い、俗に入りては而ち俗に随う」という記述からこのことわざが生まれました。

「郷に入っては郷に従う」の類義語

「郷に入っては郷に従う」には以下のような類義語があります。

  • 里に入りては里に従う:場所によって風俗や習慣が違うため、それぞれの土地の習慣や慣習に従うべきであるということ
  • 人の踊る時は踊れ:皆が何かするときは、自分も同じようにやるほうがよいということ
  • 所の法(ところのほう)に矢は立たぬ:たとえ不合理だと思ったとしても、その土地の定めはそこにいる限り従わなければならないということ
  • 国に入ってはまず禁を問え:その地の習慣やしきたりには従うのがよいということ
  • 門に入らば笠を脱げ:礼儀は適切な場所で行うべきであるということ

「里に入りては里に従う」は、「郷に入っては郷に従う」の言い換えとも言えることわざです。

「人の踊る時は踊れ」は、周りと同じように振る舞うことが良いということです。

「所の法に矢は立たぬ」の所の法とは、その土地の定めやそれぞれの土地の慣例のことです。所の法を守っていれば矢を立てられるようなことはないので、理不尽に感じてもその土地の定めには従ったほうが良いということを表してます。

「国に入ってはまず禁を問え」は、その土地の習慣やしきたりに従うために、まずは禁じられていることを知るのが良いということから転じたことわざです。

「郷に入っては郷に従う」の英語訳

「郷に入っては郷に従う」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • conform to the custom of the place
    (郷に入っては郷に従う、その場所の風習に準拠する)
  • Every country has its law.
    (どの国にもそれぞれ法がある。)
  • When in Rome, do as the Romans do.
    (ローマでは、ローマ人がするようにせよ。)

まとめ

以上、この記事では「郷に入っては郷に従う」について解説しました。

読み方郷に入っては郷に従う(ごうにいってはごうにしたがう)
意味場所によって風俗や習慣が違うため、新しい土地に来たらその土地の習慣や慣習に従うべきであるということ
由来『童子教』
類義語里に入りては里に従う、人の踊る時は踊れ、所の法に矢は立たぬなど
英語訳Conform to the custom of the place.(郷に入っては郷に従う、その場所の風習に準拠する)

文化や風習は、そのコミュニティに所属している人たちが長い時間をかけて形成してきたものです。そこに所属するとなったならば、まずはその考え方を理解することが大切ですね。

「郷に入っては郷に従う」の意味や使い方を覚え、正しく使えるようにしましょう。

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香菜
「読者を不快にさせない記事」をモットーに執筆・編集しています。有名美容ライターの元でアシスタントを経験し、その後出版社に就職。現在は著名人への取材やエンタメ記事の執筆も行っています。