今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「道聴塗説(どうちょうとせつ)」です。
言葉の意味、使い方、由来、類義語についてわかりやすく解説します。
☆「道聴塗説」をざっくり言うと……
読み方 | 道聴塗説(どうちょうとせつ) |
---|---|
意味 | 知識がいい加減なこと。根拠のない噂であること。 |
由来 | 孔子の『論語』より |
類義語 | 口耳之学(こうじのがく)、口耳四寸(こうじよんすん) |
「道聴塗説」とは?
「道聴塗説」の意味を詳しく
「道聴塗説」とは、知識があいまいでしっかり理解できていないこと、または根拠のない噂(うわさ)をそのまま話すことを表す四字熟語です。
他人から聞いた話の真偽を確かめずにそのまま話してしまうと、間違った話が広まってしまいます。
情報社会と呼ばれる現代では、世の中に多くの情報があふれています。その中には「道聴塗説」をする人によって広められたものもあります。SNSなどで個人が情報を発信できるようになった現代では、自分が「道聴塗説」をしてしまう可能性も高まっています。
間違った情報を広めないためには、目にした情報を鵜呑(うの)みにせず情報源を調べたり、専門家に確かめたりというような、情報リテラシーを持つように心がけましょう。
「道聴塗説」の使い方
「道聴塗説」は、文中では以下のように使われます。
- 彼の話はいつも道聴塗説なので、鵜呑みにしてはいけない。
- 道聴塗説せず、一度自分で考えて理解するべきだ。
よくない行為に対しそれを注意する言葉なので、使う場面に注意しましょう。
「道聴塗説」の由来
「道聴塗説」は、『論語』の一節が由来になっています。
道聽而塗説、徳之棄也。
この文を現代語訳すると、以下のようになります。
「道で聞いたことをそのまま受け売りで他人に話すことは、徳を捨てるような愚かな行為である。」
人から聞いたことは一度自分の頭で考えて、よいか悪いかを判断するべきだ、という孔子の教えです。
中国春秋時代の思想家である孔子の言葉を、孔子の死後に弟子たちがまとめたものです。
『論語』は全文が英語に翻訳されており、世界中で広く読まれています。日本でも、学校などで教材として取り扱われています。
「道聴塗説」の類義語
「道聴塗説」には、以下のような類義語があります。
- 口耳之学(こうじのがく):他人の受け売りで、浅い学問や知識の例え
- 口耳四寸(こうじよんすん):他人の受け売りで、浅い学問や知識の例え
耳で聞いたことを頭で考えず、そのまま口に出すというような意味を示しています。
この二つの四字熟語は、中国の本『荀子(じゅんし)』の中の同じ文章が元になっています。意味もまったく同じなので、どちらを使っても構いません。
まとめ
以上、この記事では「道聴塗説」について解説しました。
読み方 | 道聴塗説(どうちょうとせつ) |
---|---|
意味 | 知識がいい加減なこと。根拠のない噂であること。 |
由来 | 孔子の『論語』より |
類義語 | 口耳之学(こうじのがく)、口耳四寸(こうじよんすん) |
『論語』由来の四字熟語には、有名なものが多くあります。「道聴塗説」も、比較的目にする機会が多いと思います。役立つ場面も多いと思うので、意味をしっかり覚えて活用してみてください。