「ご足労」の意味とは?読み方・言い換えは?使い方から類語まで解説

言葉

ご足労とは「足を運ばせること」という意味です。

ご足労は、ビジネスの場でよく使われる言葉です。しかし、丁寧に話すつもりが、間違った場面で使われてしまうことも多くあります。

せっかく相手を気遣うのですから、正しい言葉で伝えたいですよね。

この記事では、ご足労の正しい使い方や、言い換え表現について解説します。

「ご足労」の意味

足労そくろう

足を運ばせること

ご足労は、「足労」に「ご」をつけ、丁寧にした表現です。

丁寧な表現であるため、目上の相手に対してなど、敬語を使用するべき場面で使われます。

「足労」とは、「足を疲れさせること」というニュアンスを持つ言葉であり、そこから「足を運ばせる」という意味に転じています。

ご足労はわざわざ相手の足を疲れさせてしまう、つまり「来てもらう」という場面で用います。

「ご足労」の使い方

ご足労は以下のような言い回しで用いられることが多いです。

  1. ご足労いただきありがとうございます
  2. ご足労おかけします

次にご足労の具体的な例文について見ていきましょう。

  1. 遠いところをご足労いただき、ありがとうございます。
  2. ご足労をおかけいたしますが、来週の会議ではどうぞよろしくお願いいたします。
  3. こちらからご挨拶するべきところ、皆様のご足労をおかけして申し訳ありません。

①の例文では、遠方からこちらに来た相手に対し、お礼の気持ちを述べています。

感謝の気持ちを大きく表現するために、実際にはさほど遠方でない場合でも使うことができます。

 

②の例文は、「来週の会議」に相手が出向いてくれることが決まっており、そのことに対して申し訳なさを表現しながら挨拶をしている場面です。

③の例文では、足を運んでもらった相手に対して謝意を伝えています。

「こちらからご挨拶するべきところ」と前置きすることで、より恐縮している雰囲気が伝わります。

ご足労おかけし恐縮ですが
  • 恐縮(きょうしゅく)
    相手に対して申し訳なくおもい、おそれいること

「ご足労をおかけしますが」の類似表現に、「ご足労おかけし恐縮ですが」があります。

「恐縮」とは、相手に対して非常に申し訳ない気持ちになっていることを表す表現です。

「ご足労」と「恐縮」を組み合わせることで、より相手に敬意を払っていることが伝わります。

「ご足労」の間違った使い方

「ご足労」には以下のような間違った使い方もあります。

  1. 依頼の場で使う
  2. 外部の人の前で、内部の上司に使う
  3. オンライン上で使う

それぞれの誤用について詳しく見ていきましょう。

誤用①依頼の場で使う

ご足労は、相手に来てもらうことを依頼する段階では使われません。

あくまでも、ご足労は、相手が足を運ぶことに対して感謝する意味の込められた言葉です。

既に相手がこちらに訪問することが決まっている場合には「ご足労よろしくお願いします」と表現できますが、訪問を依頼する段階で使用することはできません。

  1. ご足労いただけますと幸いです。

上記の例文と同様に、「ご足労いただくか、電話でお話しするかお選びください」というような選択を迫る表現もできないため、注意しましょう。

誤用②外部の人の前で、内部の上司に使う

ご足労は、その場でもっとも敬意を払うべき相手に対して使われる言葉です。

足を運んでもらったという意味で、目上である上司にご足労という言葉を使うのは問題ありません。

しかし、社外・社内の人間がどちらも存在する場で、自社の人間に対してご足労を使うのはふさわしくありません。

他社の人も同様に移動の手間をかけているため、身内の上司の方を気遣っているという印象になってしまわないよう、ご足労を使う場面には気をつけましょう。

  1. こちらは私の上司のBです。Aさん、ご足労おかけします。
上記の例文は、社外の人の前で、自社の人間に話しかけるシチュエーションです。

自分よりもBさんが目上であっても、社外の人がいる場合には、基本的に社外のAさんがもっとも敬意を払われるべき存在です。

社外の相手であるAさんに失礼になるため、上司のBさんに「ご足労おかけします」と声をかけるのは控えましょう。

誤用③オンライン上で使う

ご足労をオンラインの会議の場で使うのは間違いです。

ご足労は、実際に訪問をしてもらった際に使う言葉です。

オンラインでも、「会議に行く」「会議室に来る」といった表現がされることもありますが、ご足労ではふさわしくありません。

ご足労の、実際に訪問する手間をねぎらうニュアンスが壊れてしまうため、オンラインの場での使用は避けたほうがよいでしょう。

  1. このオンライン会議にご足労いただき、ありがとうございます。

「ご足労」の敬語の言い換え表現

「ご足労」を敬語で言い換えたい時には、以下のような言葉を使うことができます。

  • お越しいただく
  • お運びいただく
  • ご来訪いただく
  • おいでいただく
  • お手数をおかけする
  • ご面倒だとは存じますが

それぞれの敬語の意味について詳しく見ていきましょう。

「お越しいただく」

「お越しいただく」は、相手がその場に来た場面で使われます。

使う基準はほとんどご足労と変わりませんが、依頼の場でも使える点で、ご足労よりも幅が広くなっています。

使い方の例は、以下の通りです。

例文
  1. 本日は、遠いところをお越しいただき、ありがとうございます。
  2. 恐縮ですが、本社までお越しいただけないでしょうか。

「お運びいただく」

「お運びいただく」も「お越しいただく」と同様に、相手がその場に来た場面で使われます。

「お越しいただく」よりもより改まった印象を与えるのが特徴です。

使い方の例は、以下の通りです。

例文
  1. ご多忙の中お運びいただき、大変恐縮です。
  2. 申し訳ありませんが、今回は〇〇会館までお運びいただきたいと存じます。

「ご来訪いただく」

「ご来訪いただく」は、自社や外部の会議場所に相手が訪れる場面で使われます。

「お越しいただく」「お運びいただく」よりも、「目的を持って訪問する」というニュアンスが強くなります。

使い方の例は、以下の通りです。

例文
  1. 本日は、当社までご来訪いただきありがとうございました。
  2. それでは、〇〇さんのご来訪をお待ちしております。

「おいでいただく」

「おいでいただく」も、相手が自分のもとに現れる場面で使われます。

「おいで」は「お出で」という意味であり、「行く」「来る」といった動作だけでなく、「居る」という状態も表す場合があります。

他の表現と比べ、ややカジュアルな印象になります。

使い方の例は、以下の通りです。

例文
  1. わざわざおいでいただき、ありがとうございました。
  2. 海外から、よくおいでいただきました

「お手数ですが」

「お手数ですが」は、ある動作を相手に依頼する場面で使われます。

ご足労は依頼の場面では使えませんが、「お手数ですが」は、ご足労いただくという動作を相手にお願いする段階で使うことができます。

使い方の例は、以下の通りです。

例文
  1. お手数ですが、数日中に本社までお越しください。
  2. お手数ですが、〇〇会議室までお運びいただくことは可能でしょうか。

「ご面倒だとは存じますが」

「ご面倒だとは存じますが」も、ある動作を相手に依頼する場面で使われます。

「お手数ですが」も「ご面倒だとは存じますが」も内容に違いはなく、「相手の手間をかけさせてしまうことは承知だが、お願いしたいことがある」というニュアンスを伝えたい場面で有効です。

使い方の例は、以下の通りです。

例文
  1. ご面倒だとは存じますが、来月の会議にはご出席くださいますよう、よろしくお願いいたします。
  2. ご面倒だとは存じますが、〇〇社までお越しいただきたいと思います。

「ご足労」の英語訳

ご足労を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • trouble of going somewhere
    (その場所に行く苦労)
  • come
    (来る)
  • visit
    (訪ねる)

“trouble of going somewhere” の意味

“trouble of going somewhere” は、ご足労を正確に表現する言葉です。

“somewhere” の部分を “here” や “this place” に置き換えて表現します。

また、 “going” の部分も、こちら目線で相手の移動を言いたいときには “coming” に置き換える必要があります。

“come” の意味

“come” は、「来る」という意味の英単語です。

ご足労は、相手が来てくれたことに対して言及する言葉であるため、単に “come” と表現することもできます。

ただし、感謝したりねぎらったりするニュアンスが含まれていないため、 “Thank you for coming.(来てくださりありがとうございます)” といった形に変化させるとより丁寧な印象になります。

“visit” の意味

“visit” は、「訪問する」という意味の英単語です。

“come” と同様、「来る」という動作について言い表す言葉です。

こちらにも感謝したりねぎらったりするニュアンスが含まれていないため、使い方には注意しましょう。

「ご足労」のまとめ

以上、この記事では「ご足労」について解説しました。

読み方ご足労(ごそくろう)
意味足を運ばせること
使い方ご足労いただきありがとうございます、ご足労をおかけする
誤用ご足労いただけますとなど
言い換え表現お越しいただく
お運びいただく
お手数ですが など
英語訳trouble of going somewhere(その場所に行く苦労)

意外と場面の使い分けが難しいご足労ですが、使いこなせるとしっかりとしたビジネスパーソンだという印象を与えます。

言い換え表現と合わせて覚えましょう。

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ひな
ひな
国文学専攻の現役東大生ライター。 言葉には人と人をつなぐ力があると信じています。 間違えやすい言葉・新しい言葉の執筆が得意です。