「ご芳名」とは「相手の名前」を意味する敬語表現です。
結婚式の招待状などに使われる「ご芳名」ですが、相手に送り返すときには消さなければなりません。
ビジネスシーンや冠婚葬祭の場面で、恥をかきたくないですよね。
この記事では、「ご芳名」の意味や正しいマナーを詳しく解説していきます。
☆「ご芳名」をざっくり言うと……
読み方 | ご芳名(ごほうめい) |
---|---|
意味 | 「相手の名前」を意味する敬語表現 |
関連語 | ご芳名帳、芳名録、ご芳名カードなど |
英語訳 | name |
「ご芳名」の意味
「相手の名前」を意味する敬語表現
「ご芳名」は「相手の名前」をうやまって使う敬語表現です。
「ご芳名」は書き言葉のため、手紙やメールにのみ使います。
接頭語「ご」と「芳名」はどちらも敬語表現のため、二重敬語です。
しかし、一般的に使用されるため、誤用ではありません。
次に、「ご」と「芳名」の意味についてそれぞれ詳しく解説します。
「ご」の意味
「ご芳名」の「ご」は敬語の意味をもちます。
敬語の「ご」には3つの使い方があります。
ご
- 自分の行為につける謙譲語の「ご」
例:後ほどご連絡いたします - 相手の行為につける尊敬語の「ご」
例:ご覧になりますか? - ものの名前につける丁寧語の「ご」
例:ご飯
「ご芳名」の「ご」は、②尊敬の意味で使われています。
「芳名」の意味
- 相手をうやまって、姓名をいう語。お名前
例:ご芳名はかねてより伺っております - よい評判。名声
例:芳名は後世まで語り継がれた
「芳」という漢字は、「よい香り」「評判がよい」という意味があります。
「芳名」は現代では①「相手をうやまって、姓名をいう語」で使用されることが多いです。
①の意味では「ご尊名(そんめい)」と言い換えることができます。
「ご芳名」の表記
「ご芳名」は「御芳名」とも表記します。
ただし、一般的には「ご芳名」と表記します。
「ご芳名」は「ごぼうめい」と間違えて読まれやすいので、注意しましょう。
「ご芳名」の消し方
「ご芳名」は、「相手の名前」を意味する敬語表現なので、自分に対して使うのは間違いです。
そのため、ご芳名と書かれたものを相手に返信するときは、ご芳名を消す必要があります。
「ご芳名」を消すときは、以下のような手順を踏みます。
- 自分に対する「ご芳」を消す
- 住所・宛名の「ご」「御」「貴」を消す
- 出席・欠席の「ご」「御」を消す
- 出席・欠席どちらかに印をつける
- 返信先の敬称を「様」「御中」にする
それぞれ詳しく見ていきましょう。
①自分に対する「ご芳」を消す
「ご芳名」の「ご芳」の部分を、直線の二重線で消します。
曲がらないように定規などを使って、タテ書きならタテ、ヨコ書きならヨコに線を引きます。
一般的ではありませんが、「ご芳」を消した後に「前」を付け足して「名前」としても問題ありません。
しかし、全体のバランスが崩れてしまう場合があるため、「ご芳」を消すだけの人が多いです。
②住所・宛名の「ご」「御」「貴」を消す
「住所」についている「ご」「御」、「貴社名」の「貴」を、直線の二重線で消します。
曲がらないように定規などを使って、タテ書きならタテ、ヨコ書きならヨコに線を引きます。
③出席・欠席の「ご」「御」を消す
「出席」「欠席」についている「ご」「御」を、直線の二重線で消します。
曲がらないように定規などを使って、タテ書きならタテ、ヨコ書きならヨコに線を引きます。
寿消しとは「ご」や「御」を二重線で消すのではなく、「寿」や「賀」の字を上から重ねて書くことです。
結婚式などのお祝い事の場合は、寿消しにするのがマナーです。
④出席・欠席どちらかに印をつける
丸で囲んだり、チェック欄にチェックしたりする方法があります。
- ご出席の「出席」を丸で囲む(チェックする)
- ご出席の「ご」を斜めの二重線で消す
- ご欠席をすべて直線二重線で消す
- ご欠席の「欠席」を丸で囲む(チェックする)
- ご欠席の「ご」を斜めの二重線で消す
- ご出席をすべて直線二重線で消す
⑤返信先の敬称を「様」「御中」にする
返信する相手の敬称は「宛」「行」と書かれている場合、直線の二重線で消します。
曲がらないように定規などを使って、タテ書きならタテ、ヨコ書きならヨコに線を引きます。
以下のように書き直します。
- 相手が個人の場合は「様(さま)」
- 相手が団体の場合は「御中(おんちゅう)」
かつては、「ご芳名」を消すときには、毛筆か万年筆を使用することがマナーとされていました。
現在は、消えない黒のペンを使用すればよいとされています。
黒ではないグレーや青などのペンの使用は避けましょう。
ただし、結婚式の招待状のみ、消えない赤のペンを使用してもよいとされます。
間違えたとしても修正ペンや修正テープを使用すると、余計な部分を消してしまったり、見た目が汚くなってしまったりするため、使用しないほうがよいです。
「ご芳名」を使う場面
「ご芳名」が使われる場面には以下のようなものがあります。
- 結婚式
- 葬式
- ビジネスシーン
- その他の場面
それぞれ見ていきましょう。
使う場面①結婚式
結婚式では、招待状などに「ご芳名」を書く場合があります。
「ご芳名」の「ご芳」と、「ご住所」の「ご」を消しましょう。
メッセージ欄がある場合は、お祝いのメッセージも添えて返信しましょう。
使う場面②葬式
葬式では、出欠をとるためのカードに「ご芳名」を書く場合があります。
また、香典を渡すときにも、受付で「ご芳名」を書く場合があります。
「ご芳名」の「ご芳」と、「ご住所」の「ご」を消しましょう。
使う場面③ビジネスシーン
ビジネスシーンでは、以下のような場面で「ご芳名」を使う場合があります。
- 文書
契約書など - メール
「文書」と「メール」に分けて、それぞれ見ていきましょう。
文書の場合
文書に「ご芳名」と書かれていたら、「ご芳」を消しましょう。
メールの場合
メールにで「ご芳名」と書かれていたら、「氏名」に書き換えて返信しましょう。
ただし、「ご芳名」は相手に消す手間をかけてしまうため、ビジネスシーンでは「貴社」を使うことが多いです。
メールに「貴社」と書かれていたら、「弊社」に書き換えて返信しましょう。
使う場面④その他
「ご芳名」は、以下のような場面で使う場合があります。
謝恩会 | 「ご芳」を消す |
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アンケート | |
席次表 | 消す必要はない |
ホテル |
謝恩会の案内状とアンケートは、相手に返す必要があるので、「ご芳」を消しましょう。
席次表は、主催者に返す決まりがないので、「ご芳名」を消す必要はありません。
ホテルのお客様カードなどで「ご芳名」とご住所が印刷されている場合、お金を払って泊まる客の立場なので、「ご芳名」を消す必要はありません。
「ご芳名」の関連語
「ご芳名」の関連語は以下のようなものがあります。
- ご芳名帳(ごほうめいちょう)
- 芳名録(ほうめいろく)
- ご芳名カード
- 連名(れんめい)
「ご芳名帳」の意味
「ご芳名帳」とは、結婚式や葬式などの受付で使用される帳簿(ちょうぼ)です。
名前と住所の再確認の意味でも使われ、メッセージを書く欄もあります。
「ご芳名帳」は、「芳名録」ともいいます。
「ご芳名カード」の意味
「ご芳名カード」とは、結婚式や葬式などの案内として使用されるカードです。
結婚式では、「ご芳名カード」は「ゲストカード」ともいいます。
葬式では、「ゲストカード」とはいいません。
「連名」の意味
「連名」とは、複数の人が氏名を並べて書くことです。
結婚式や葬式で、複数人で参加する家族や企業は連名として出欠をすることで、出席確認の負担を減らすことができます。
「ご芳名」の英語訳
「ご芳名」を英語に訳すと以下のような表現になります。
- name
(名前)
「ご芳名」のまとめ
以上、この記事では「ご芳名」について解説しました。
読み方 | ご芳名(ごほうめい) |
---|---|
意味 | 「相手の名前」を意味する敬語表現 |
関連語 | ご芳名帳、芳名録、ご芳名カードなど |
英語訳 | name |
「ご芳名」は、人生の節目である冠婚葬祭に使われることが多いので、目にする機会は少ないかもしれませんね。
「ご芳名」という言葉を見かけたら、正しいマナーで返信するようにしましょう。