「グロス」の意味とは?使い方から英語や対義語や類語まで解説

言葉

今回ご紹介する言葉はカタカナ語の「グロス」です。

言葉の意味・使い方・語源・類義語・対義語について分かりやすく解説します。

☆「グロス 」をざっくり言うと……

読み方グロス(gross / gloss)
意味唇に塗る化粧品。数量の単位、または総量や総額のこと。
語源古フランス語の grosse douzaine ・ラテン語の grossus
類義語総額、総計
対義語正味、ネット

「グロス」の意味をスッキリ理解!

グロス(gross / gloss):唇に塗る化粧品。数量の単位、または総量や総額のこと。

「グロス」の意味を詳しく

グロスとは、唇に光沢をもたらす化粧品、数量の単位、総量や総額の三つの意味を持つ言葉です。

それぞれの意味を詳しく説明する前に、グロスが複数の意味を持つ理由について話します。グロスは、もともと英語圏で使われていた言葉で、日本でも使われるようになったカタカナ語です。

具体的には、英語の「gross」と「gloss」の二つの言葉が「グロス」と訳されて用いられるようになったのです。「gross」と「gloss」は、それぞれ意味が異なるので、「グロス」が複数の意味を持つようになったのです。

glossとは

glossとは、唇に輝きをもたらす化粧品のことです。口紅やリップクリームとの違いは、役割です。

まず、口紅は唇を発色させるための化粧品です。主に、スティック型で固形のものを指します。そのほかにも、液状でチップ(※1)やスパチュラ(※2)を使って唇にのせるものもあります。

 

次に、グロス(gloss)は唇につやを出すための化粧品です。そのため、発色効果はなく、口紅を塗った後に重ねて使われることが多いです。主に、液状のものを指し、液にはラメなどが含まれているものもあります。

形状はチップなどを使って唇にのせるタイプとチューブになっていて押し出して使うタイプなどがあります。

近年では、口紅の役割とグロスの役割を融合させた、リキッドルージュという化粧品もあります。リキッドルージュは唇を発色させ、さらにつやを出すことができます。

 

最後に、リップクリームは唇を保湿するための医薬品です。リップクリームは基本的に発色効果を持ちませんが、近年では少し発色効果のあるものも売られています。そのほかにも、匂いがついてるリップクリームもあります。

 

  • チップ(※1):化粧品を肌にのせる道具の先端部分のこと。ブラシよりも少し硬い素材で、丸みを帯びていたり、楕円型のものが多い。
  • スパチュラ(※2):化粧品や薬品、食材などを扱うときに使う道具。ヘラともいう。グロスで用いられるスパチュラはプラスチック素材のものが多い。

grossとは

grossとは、数量の単位、または総量や総計のことです。まず、数量の単位について詳しく解説します。

12個のものを一つにまとめて、1ダースと表すことは知っていますか。例えば、スーパーマーケットに陳列している卵は、1ダース、つまり12個セットで売られています。そして、12ダースを一つにまとめたものを、1グロスと表すのです。

1グロスは12個のまとまりが、さらに12個あるので、合計で144個あります。記号は「gr」を用いて表します。

 

次に、総量や総計について詳しく解説します。総量や総計の意味は、使われる場面によって少し異なりますが、基本的な意味は共通しています。それは、実質的な部分と、付属する部分や余分な部分を合わせた量であるということです。

例えば、300ml 入っている牛乳瓶があるとします。この 300ml の牛乳に瓶の重さを足した総量をグロスと呼びます。そして、牛乳の内容量は、ネットと表します。ネットは、正味という意味を持ち、付属品や覆っている部分を取り除いた中身を指します。

マーケティング業界

マーケティング業界では、広告代理店に支払う手数料と、広告費の原価を合わせた総額をグロスと表現します。

まずは広告の仕組みについて、広告の歴史を振り返りながら説明します。広告ビジネスは、明治時代に新聞というメディアが生まれてから急速に広まったと言われています。より多くの人に情報を届けられる利点から、企業などが広告掲載を希望するようになったのです。

そして、広告を希望する人や団体と、新聞などの媒体の間に「広告代理店」が入って広告費の交渉や契約が行われるようになりました。つまり、広告を出すためには広告代理店を通して取引を行わなければならないので、手数料が発生するのです。

 

このため、商品や企画の宣伝を担当するマーケティング業界では、広告を出すためにかかる費用だけでなく、広告代理店に支払う手数料を含めたグロスを意識しなければならないのです。

ちなみに、広告代理店に支払う手数料は、マージンと表します。

ゴルフ用語

ゴルフ用語として、ハンディキャップを差し引く前のスコアをグロススコアと表現します。

まず、簡単にゴルフのルールを説明します。ゴルフは、どれだけ少ない打数でゴルフボールをカップと呼ばれる穴に入れることができるかを競うスポーツです。そして、1回ボールを打つごとに、1スコアが加算されます。

ハンディキャップとは、異なるレベルの選手が同じ試合で競い合えるように設けられた制度です。各選手の技量に応じてハンディキャップは異なります。ゴルフの場合、最終スコアからハンディキャップとしてスコアを引いたり、ハンディキャップとして5スコアから試合を始めたりします。

この時、最終スコアがグロススコアと呼ばれ、ハンディキャップが差し引かれたスコアをネットスコアと呼びます。

小売業界

小売業界では、売値をグロス価格、原価をネット価格と表すことがあります。具体的には、販売手数料などが含まれた価格をグロス価格と呼び、手数料などを省いた正味の価格をネット価格と呼びます。

例えば、通販で購入した商品そのものの価格はネット価格ですが、送料を含めた価格はグロス価格になります。

grossのもう一つの意味

英単語の gross にはもう一つ意味があります。それは、不気味で異様なさまです。日本では、「グロ」「グロい」と訳されて用いられています。この意味を持つ場合は、「グロス」と表しません。

「グロス」の使い方

  1. 今日は久しぶりのデートなので、普段はつけないグロスを塗った。
  2. グロスは220gですが、ネットは200gです。
  3. もうすぐでセンター試験なので、鉛筆を3グロス発注した。

❶は唇に塗る化粧品という意味で用いられています。

❷は総量という意味で用いられています。

❸は数量の単位として用いられています。ちなみに、例文の3グロスは432本を意味します。

「グロス」の語源

グロスの語源は、古フランス語の grosse douzaine です。意味は、「大きいダース」です。この意味が派生して、12個で1セットのダースよりも、大きい単位を表すようになりました。

総量や総額という意味のグロスの語源になったのは、ラテン語の grossus です。grossus は、「分厚い」や「大きい」などの意味を持ちます。

「グロス」の類義語

「グロス」には以下の類義語があります。

  • 総額:全てを合計した金額
  • 総計:全体をまとめて計算した時の合計

「グロス」の対義語

「グロス」には以下の対義語があります。

  • 風袋(ふうたい):はかりで重さを測るとき、測るものを入れている容器や袋のこと
  • 正味:余計なものを取り除いた、実質的な数量
  • ネット:正味、物の中身のこと

まとめ

以上、この記事では「グロス」について解説しました。

読み方グロス(gross / gloss)
意味唇に塗る化粧品。数量の単位、または総量や総額のこと。
語源古フランス語の grosse douzaine ・ラテン語の grossus
類義語総額、総計
対義語正味、ネット

みなさんは、食品を買う際に、内容量に着目しますか。よく見ると、商品によっては「グロス」の量が記されているものや「ネット」の量が記されているものがあります。

そして、この表示法によって内容量は大きく変わる場合があります。例えば、個包装の商品の「グロス」の量は包装紙の重さの分だけ増加します。

みなさんも、食品表示に注意して買い物をしてみてくださいね。