「どうか助けてクダサイ」「そのペンを私にクダサイ」、それぞれの例文に適切な「クダサイ」がわかりますか。
「ください」と「下さい」は、それぞれ異なった意味を持っています。
今回は、そんな意外と知られていない「ください」と「下さい」の違いについて詳しく解説していきます。
このページの目次
結論:物を貰うときに使うか行動を促すときに使うかの違い
それに対し、誰かに行動を促すときに、その動作を表す動詞の後ろにつけて、丁寧な表現にするのが「ください」です。
「ください」についてもっと詳しく
「ください」は誰かに動作を頼むときに、別の動詞の後ろにつけて表現を丁寧にするものです。
つまり、冒頭に挙げた例文では「どうか助けてクダサイ」のほうに、ひらがなの「ください」が当てはまるということです。
「どうか助けて」よりも「どうか助けてください」のほうが表現として丁寧ですよね。
「助けて」という動詞の後ろに「ください」をつけることで、表現を丁寧にしているということです。
また、このように何か別の動詞の後ろにつけることで別の意味を付け加える役割を持つ言葉のことを「補助動詞」と言います。
「下さい」についてもっと詳しく
「下さい」は、物を貰うときに言う「○○をくれ」という表現を丁寧にしたものです。
つまり、冒頭に挙げた例文では「そのペンを私にクダサイ」のほうに、漢字の「下さい」が当てはまるということです。
「そのペンを私にくれ」よりも「そのペンを私に下さい」のほうが表現として丁寧ですよね。
この「下さい」は「ください」とは違い、「補助動詞」ではありません。
「補助動詞」ではない普通の「動詞」なので、何か別の動詞の後ろについて、その動詞に意味を付け加えるということはありません。
そもそもどうして「漢字」と「ひらがな」で使い分けるのか
「漢字」と「ひらがな」で使い分けるのは、「動詞は漢字」で表記し、「補助動詞はひらがな」で表記するという原則が存在しているからです。
この原則がないと受け手によって文章の解釈が分かれてしまう可能性があります。
例えば、「靴を脱いでください」という文章があったとします。
もし、「動詞は漢字」「補助動詞はひらがな」という原則が存在しなければ、この例文の解釈は「動詞」のパターンと「補助動詞」のパターンとで2パターンに分かれてしまいます。
この「ください」を「動詞」として解釈すると「靴を脱いで、その靴を渡して」という意味になります。
それに対し、「ください」を「補助動詞」として解釈すると「靴を脱いで」を丁寧に表現した文章ということになります。
このような混乱を防ぐために、「動詞は漢字」「補助動詞はひらがな」という原則が存在しているのです。
「下さい」「ください」以外にもこの原則に従って表記が変わる言葉がたくさん存在しています。
「動詞」か「補助動詞」かで表記が変わる言葉
- 「言う」と「いう」
- 「頂く」と「いただく」
- 「付く」と「つく」
- 「見る」と「みる」
- 「置く」と「おく」
- 「致す」と「いたします」
まとめ
以上、この記事では「ください」と「下さい」の違いについて詳しく解説しました。
- ください:誰かに動作を頼むときに、その動作を表す動詞の後ろにつけることで表現を丁寧にするもの
- 下さい:「○○をくれ」を丁寧に表現したもの
しっかりと、それぞれの意味の違いを理解し、誤解を与えることのないようにしましょう。