「逆鱗に触れる」の意味とは?使い方から類語や英語まで例文付きで解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、ことわざの「逆鱗に触れる (げきりんにふれる)」です。

あまりよくない場面で多く使われる言葉ですが、間違った使い方をしている人も意外と多く見受けられます。

この記事では「逆鱗に触れる」の意味や使い方、由来、類義語、英語訳についてわかりやすく解説します。

☆「逆鱗に触れる」をざっくり言うと……

読み方逆鱗に触れる(げきりんにふれる)
意味目上の人や上司などを激しく怒らせること
由来中国戦国時代の書物、『韓非子』の中にある記述。
類義語不興を買う、忌諱に触れる、神経を逆撫でにする
英語訳Push someone’s button. (相手の気に入らないことを言って怒らせる。)

「逆鱗に触れる」の意味をスッキリ理解!

逆鱗に触れる:目上の人や上司を激怒させること

「逆鱗に触れる」の意味を詳しく


「逆鱗に触れる」とは、目上の人や上司などを激しく怒らせることを意味します。

目上の人には触れられたくない部分があると思います。それは、話の内容でも物理的なものでもです。そして、その触られたくない部分に触れられ、激怒するというイメージです。

普段生活する中で、自分より立場が高い人と接する機会は多くあると思います。例えば、家庭では意識しないという人もいるかもしれませんが、母親、父親、兄、姉などです。また、学校では先生や先輩、会社では上司です。

 

自分より立場の高い人を怒らせるのはできるだけ避けたいですよね。例えば、家庭で母親を怒らせてしまったらご飯を作ってくれなかったりするかもしれません。先生を怒らせれば、成績に響いたり親を呼び出されたりするかもしれません。会社でも昇進や給料に関わるかもしれません。

このように、目上の人を怒らせると、基本的に悪い結果になります。

 

しかし、意図せずとも、目上の人を怒らせてしまうことは多くあります。その目上の人の怒りが特に激しい場合に使われる表現が、「逆鱗に触れる」です。

「逆鱗に触れる」ことは普通に考えれば避けたいものです。そのため、失礼に当たるようなことや、常識的に考えていけないことはしないということが賢明(けんめい)です。しかし、必要以上に目上の人に対して萎縮(いしゅく)する必要はないとは思います。

 

「逆鱗に触れる」の誤った使い方の例として、主に二つの場面があります。

一つは、目下の人や同等の立場の人を怒らせた場合に使ってしまうことです。あくまでも、「逆鱗に触れる」は、目上の人を怒らせた場合に使う言葉です。つまり、「部下の逆鱗に触れた」という表現は誤りだということです。

二つ目は、自分が怒った際に使ってしまうことです。たとえ、自分を怒らせた相手が自分より目下で、自分が目上だったとしても、自分に対して使うのは誤りです。つまり、「部下の行動は私の逆鱗に触れた」という表現は誤りだということです。

 

また、似たようなことわざに「琴線に触れる」というものがあります。これを「逆鱗に触れる」と混同して使用してしまう例が多々見られますが完全な誤りです。

「琴線に触れる」とは、素晴らしいものに感銘(かんめい)を受けることを意味します。このように意味は大きく異なるので注意が必要です。

「逆鱗に触れる」の使い方

  1. 家庭での態度が父親の逆鱗に触れ、お小遣いを減らされた。
  2. 授業中寝てたことが先生の逆鱗に触れ、両親を学校に呼び出された。
  3. 仕事をせずにたばこを吸ってばかりいたら、上司の逆鱗に触れて昇進が遠ざかった。

➀は、家庭において目上に当たる父親を怒らせてしまった場面です。怒りの程度が高いことで、お小遣いを減らされるという結果になってしまいました。

➁は、学校において目上に当たる先生を怒らせてしまった場面です。これにより、学校に親を呼び出されるという結果を招きました。

➂は、会社で目上に当たる上司を怒らせてしまった場面です。上司の逆鱗に触れたことで、昇進が遠ざかってしまいました。

 

どの例文も、逆鱗に触れたことで悪い結果を招くことになってしまった場面です。

「逆鱗に触れる」の由来

「逆鱗に触れる」の由来は、『韓非子(かんぴし)』の中の記述にあります。『韓非子』は中国戦国時代に、韓非子によって書かれた書物です。

そこに、「逆鱗に触れる」という言葉が生まれたとされる経緯が書かれています。

 

伝説の動物である竜は、普段は非常に穏やかな性格であったと言われています。その穏やかな性格は、人間が背中に乗ることもできるほどです。

しかし、竜のあごの下には1枚の逆さに生えた鱗(うろこ)があります。その鱗こそが、「逆鱗」です。

穏やかな性格の竜も、逆鱗に触れられると怒り狂ったという伝説があります。

 

さらに、昔の中国において、竜は、当時の絶対的な存在である皇帝を象徴するものでした。そのため、元々は「逆鱗に触れる」は、皇帝の怒りに触れることを意味していました。

そこから転じて、目上の人の怒りに触れることを意味するようになりました。

「逆鱗に触れる」の類義語

「逆鱗に触れる」には以下のような類義語があります。

  • 不興を買う(ふきょうをかう):相手を不機嫌にさせる。(目上の人に対して使うことが多い)
  • 忌諱に触れる(ききにふれる):目上の人の嫌がることを言って、機嫌を損ねる。
  • 神経を逆撫でにする(しんけいをさかなでにする):人を怒らせたり不快にさせること。

「不興を買う」や「忌諱に触れる」は、目上の人に対して使うことがほとんどです。しかし、対等な立場の人や、目下の人に使うのも誤りではありません。

「神経を逆撫でにする」は、目上、目下関係なく使うことができます。

「逆鱗に触れる」の英語訳

「逆鱗に触れる」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • Push someone’s button.
    (相手の気に入らないことを言って怒らせる。)
  • Incur someone’s wrath.
    (激怒させる。)
  • Incur the anger of the boss.
    (上司の怒りを招く。)

Push someone’s button.は、日本語の「地雷を踏む」に近いイメージです。

incur は「好ましくないことを招く」、wrath は「激怒」という意味です。

まとめ

以上、この記事では「逆鱗に触れる」について解説しました。

読み方逆鱗に触れる(げきりんにふれる)
意味目上の人や上司などを激しく怒らせること
由来中国戦国時代の書物、『韓非子』の中にある記述。
類義語不興を買う、忌諱に触れる、神経を逆撫でにする
英語訳Push someone’s button. (相手の気に入らないことを言って怒らせる。)

「逆鱗に触れる」の意味や使い方など、理解することはできたでしょうか。日常生活やテレビでも多く使用される言葉ですが、新たな発見も多くあったと思います。

「逆鱗に触れる」は、本文の中で説明したように、あくまでも目上の人を怒らせた場合に使用される言葉です。

誤った使い方をされることが多い言葉ですので、意味や使い方を理解し、正しく使えるようにしておきたいです。