今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「眼横鼻直(がんのうびちょく)」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語についてわかりやすく解説します。
「眼横鼻直」の意味をスッキリ理解!
「眼横鼻直」の意味を詳しく
眼横鼻直は、仏教から生まれた言葉です。
仏教では、眼と鼻の有り様を「眼は横に、鼻は真っ直ぐ(まっすぐ)についている」と表現します。これは、当たり前のことです。
このことから、眼横鼻直は「当たり前のことを、ありのまま受け入れる」という意味をもちます。
「眼横鼻直」の使い方
- 何事も冷静に、眼横鼻直の精神をもつことが大切だ。
- 眼横鼻直な考えだけでは、斬新な発想は出てこない。
①では、前向きな意味で使われています。
「当たり前のことを、ありのまま受け入れる」ことで、悩むことがなくなったり、怒りを鎮め(しずめ)たりすることができます。「当たり前のことを忘れないように」という心構えから、眼横鼻直を座右の銘にする人もいます。
②では、後ろ向きな意味で使われています。
たとえば、ニュートンはりんごが木から落ちるところを見て、不思議だと感じました。それが結果として、万有引力の発見につながったとされています。当たり前だと思っていることでも、疑ったり、視点を変えたりすることで、新しい発見が生まれることもあるのです。
以上のような話では、眼横鼻直の「物事の当たり前のことを、ありのまま受け入れる」という意味は後ろ向きに使われますよね。
文脈などから、どちらの意味で使われているのか判断しましょう。
「眼横鼻直」の由来
出典は、鎌倉時代の仏書『永平広録(えいへいこうろく)』とされています。
鎌倉時代の初め、道元(どうげん)という禅僧がいました。彼は、中国で四年間の修行をしました。
道元が帰国すると、人々は「中国から何を持ち帰ったか」と尋ねました。しかし、道元は、「眼は横に、鼻は縦に真っ直ぐについているということを学んできました。それ以外に得たものは何もありません」と語ったとされます。
「眼は横に、鼻は縦に真っ直ぐについている」というのは、子どもでも分かる当たり前のことです。道元の答えに、人々は呆れてしまいます。
しかし、道元は、「当たり前のことをありのまま受け入れることは当然のことである」と表現したのです。このことから、眼横鼻直とは、「当たり前のことを、ありのまま受け入れる」という意味をもつのです。
「眼横鼻直」の類義語
眼横鼻直には以下のような類義語があります。
- 如実知見(にょじつちけん):現実をありのままに見抜くこと
如実知見は、眼横鼻直と同じく仏教用語です。
「如実知見」の「如実」とは、「現実のままであること」を意味します。また、「知見」とは、文字通り「見て知ること」を意味します。
つまり、如実知見とは「現実を正しく見て知る」という意味なのです。
まとめ
以上、この記事では「眼横鼻直」について解説しました。
読み方 | 眼横鼻直(がんのうびちょく) |
---|---|
意味 | 当たり前のことを、ありのまま受け入れること |
由来 | 『永平広録』 |
類義語 | 如実知見など |
眼横鼻直は、文字を見ただけでは意味が分かりにくい四字熟語です。しかし、由来を理解すると意味も覚えやすいでしょう。
ぜひ、眼横鼻直という語を使いこなせるといいですね。