「眼横鼻直」の意味とは?読み方は?由来となった出典まで解説

言葉

眼横鼻直とは「当たり前のことを、ありのまま受け入れること」という意味です。

なぜ目と鼻という漢字が使われている四字熟語が、「ありのまま受け入れること」という意味をもつのか疑問に思いますよね。

正しく使いこなすためにも、語源をしっかり覚えましょう。

この記事では、眼横鼻直の意味や使い方を詳しく解説します。

☆「眼横鼻直」をざっくり言うと……

読み方眼横鼻直(がんのうびちょく)
意味当たり前のことを、ありのまま受け入れること
語源『永平広録』
類義語如実知見

「眼横鼻直」の意味

眼横鼻直がんのうびちょく

当たり前のことを、ありのまま受け入れること

眼横鼻直は禅宗の僧が書いた言葉が語源で、禅の教えを伝える禅語です。

眼横鼻直は、以下の2語から成り立っています。

  • 眼横
    目が横に並んでついていること
  • 鼻直
    鼻が縦に真っ直ぐついていること

「目が横に並んでついていること」「鼻が縦に真っ直ぐついていること」は、当たり前のことです。

つまり、眼横鼻直は、考える必要もないほど、当たり前のことを表すのです。

このことから、「当たり前の現実を、素直に受け入れること」という意味をもちます。

眼横鼻直は「当たり前のことを忘れないように」という心構えであるため、座右の銘としてもよく使われます。

「眼横鼻直」の使い方

眼横鼻直は、以下のように使います。

  1. 前向きな文で使う
  2. 後ろ向きな文で使う

それぞれ例文と一緒に見ていきましょう。

使い方①前向きな文

眼横鼻直は、前向きな意味合いの文章で使うことができます

例文を見てみましょう。

例文
  1. どんな時も冷静に、眼横鼻直の精神をもつことが大切だ。
  2. 余計なことは考えず、眼横鼻直に物事を受け止めよう。

使い方②後ろ向きな文

眼横鼻直は、後ろ向きな意味合いの文章で使うこともできます

例文を見てみましょう。

例文
  1. 眼横鼻直な考えだけでは、新しいアイデアは出てこない。
  2. 部内で起こったトラブルを顧問の先生は眼横鼻直に受け止めただけだったので、部員からは少し冷たく思われてしまった。

「眼横鼻直」の語源

眼横鼻直の語源は、鎌倉時代に成立した『永平広録(えいへいこうろく)』です

これは、道元(どうげん)という禅僧が書いた仏教書です。

道元は24歳の時中国に渡り、約5年間の修行をしました。

修行を終えて日本に帰ってきた道元は、『永平広録』の中に以下のような文章を書きました。

只(た)だ是れ等閑(とうかん)に天童先師(てんどうせんし)に見(まみ)えて、当下(とうげ)に眼横鼻直なることを認得して、人に瞞(まん)せられず。
(私はそれほど多くの寺で修行をしてきたわけではない、ただ偶然にも師である天童禅師に会うことができ、そこで眼は横、鼻は縦についているという、ごく当たり前のことを悟り、その他のことに惑わされることがなくなった。)

便乃(すなわち)、空手(くうしゅ)にして郷(きょう)に還(かえ)る。
(そして、お経も何も持たずに帰ってきた。)

所以(ゆえ)に一毫(いちごう)も仏法無く、任運(にんうん)に且(しばら)く時を延ぶ。
(だから取り立てて仏法などというものは、毛筋一本も持っていない。)

朝朝(ちょうちょう)日は東より出で、夜夜月は西に沈む。雲収(おさまっ)て山骨露(さんこつあらわ)れ、雨過ぎて四山(しざん)低し。
(日が東から昇り、月は夜に西へ沈む。雲が去れば山が姿を現し、雨が来れば山の木々は潤って低くたれる。ただその中で日々を過ごしているだけである。)

つまり、眼は横、鼻は縦についているような、当たり前のことを受け入れることこそが重要だということです。

この文章の一部である眼横鼻直が、「当たり前のことを、ありのまま受け入れる」という意味になりました。

「眼横鼻直」のエピソード

一休禅師の説話に、眼横鼻直を説明する有名なエピソードがあります。

一休禅師は実在した僧で、とんちが得意であることで有名です。

ある日、一休は自身の家の前に、一本の曲がりくねった松の盆栽を置きました。

↑松の盆栽

そして、「この松を真っ直ぐに見ることができた人には褒美をあげます」と書いた札を立てました。

すぐにたくさんの人が松の周りに集まって、どうにかして曲がりくねった松が真っ直ぐに見えないか、様々な角度で見てみたり、目を細めたりしました。

しかし、誰も褒美をもらえないまま夕方になってしまいました。

そこに、ひとりの旅人がたまたま通りかかって、「これは、本当によく曲がった松ですね」と言いました。

旅人の言葉を聞いた一休は家から飛び出して、旅人に褒美をあげたのです。

つまり、「松」を真っ直ぐに見ることではなく、「松を見ること」を真っ直ぐに行なうことが正解だったのです。

人々は褒美が欲しいあまりに、当たり前のことを見落としていましたが、旅人は眼横鼻直に松を見ることができていたのです。

「眼横鼻直」の類義語

眼横鼻直には以下のような類義語があります。

  • 如実知見(にょじつちけん)
    (仏教用語で)物事をありのままに見ること

「眼横鼻直」のまとめ

以上、この記事では眼横鼻直について解説しました。

読み方眼横鼻直(がんのうびちょく)
意味当たり前のことを、ありのまま受け入れること
語源『永平広録』
類義語如実知見

生きていると、様々な雑念に邪魔されて、物事をありのままに見ることが難しい時もありますよね。

そんな時には、眼横鼻直という言葉を思い出して、ありのまま受け入れることを意識してみましょう。