「鷹の爪」と「唐辛子」。どちらも赤くて辛いイメージがあると思います。和食から中華、イタリアンまで、料理のアクセントとして幅広く活用されますね。
しかし、「鷹の爪」と「唐辛子」は同じものだと思っている人も多いでしょう。しかし、実はそれぞれの言葉には違った意味があります。
今回は、日々の料理に欠かせない「鷹の爪」と「唐辛子」の違いを解説していきます。
結論:「鷹の爪」は「唐辛子」の一種
「唐辛子」は、ナス科トウガラシ属に含まれる植物全体を指します。「ハバネロ」「しし唐」「ブート・ジョロキア」などは「唐辛子」の1種です。
「鷹の爪」をもっと詳しく
「鷹の爪」は、ナス科トウガラシ属の中の1品種です。つまり、様々な種類がある「唐辛子」の中の1つが「鷹の爪」です。
「鷹の爪」という名前は、曲線状にまがった細長い形が、鳥類の鷹が持つ爪に似ていることから名づけられました。「唐辛子」は、円筒形の先を地面に向けるようにして実るものが多いですが、「鷹の爪」は上に向かって実がなります。そのため、別名「天上向き」とも呼ばれます。
「唐辛子」の1種である「鷹の爪」は「カプサイシン」という辛み成分を持っています。これは水には溶けにくいものの、油には溶けやすいという性質を持っています。そのため、料理で使用するときには、油で炒める段階から入れると辛みが広がります。
防虫効果もあり、野菜や米などの防虫剤として利用できます。
「唐辛子」をもっと詳しく
「唐辛子」とは、ナス科の一種で、調味料・薬味として使用される植物です。学術的分類としては、植物界・被子植物門・双子葉植物綱・ナス目・ナス科・トウガラシ属です。学名は “capsicum” で、「容器」を意味する “capsa” というラテン語に由来しています。
「唐辛子」の種類としては、「鷹の爪」「シシトウガラシ」「ピーマン」「パプリカ」「ブート・ジョロキア」「ハバネロ」「ハラペーニョ」「タバスコペッパー」などがあります。
その中でも、「シシトウガラシ」「ピーマン」「パプリカ」は辛みが少ないため、「甘唐辛子」と呼ばれます。
「唐辛子」の多くには、「カプサイシン」という辛み成分が含まれています。カプサイシンは気体になりにくいため、粉末状にしても辛さは残ります。調味料として使いやすくするために、一味唐辛子や七味唐辛子のように細かくしている場合も多いです。
一味唐辛子は乾燥させた唐辛子の実を粉末状にしたものです。一方、七味唐辛子は一味唐辛子をベースにし、色々な薬味や香辛料を混ぜたものです。どちらもうどんやそば、おでんの薬味などに使用されます。
また、「カプサイシン」は熱に強い性質を持ちます。加熱調理後も辛みが残るため、料理に適した辛みであるといえます。「カプサイシン」には、代謝改善、発汗作用、食欲増進、血行促進、脂肪燃焼などの効果があります。一方、食べ過ぎると胃腸の粘膜が刺激され、荒れてしまいます。
日本に「唐辛子」が入ってきた時期は諸説ありますが、一説には16世紀の南蛮貿易の際に鉄砲とともに伝わったとされています。そのため、「唐辛子」の別名を「南蛮辛子」と言います。ちなみに原産は南アメリカです。
「唐辛子」の名前の由来は「唐から来た辛子」であると言われています。唐とは昔の中国大陸にあった国のことですが、ここで言う唐は漠然とした「外国」を意味していると言われています。
スーパーなどで出回っている「唐辛子」には、緑色の「青唐辛子」と赤色の「赤唐辛子」があります。青唐辛子は夏の時期に収穫され、赤唐辛子は秋の時期に収穫されます。
「唐辛子」の多くは熟す過程において、緑色から赤色・オレンジ色になります。例えば辛くない品種の「シシトウガラシ」は、緑色のイメージが強いですが、成長すれば赤色になります。
「唐辛子」は基本的に熟すほど辛みが増しますが、「シシトウガラシ」は赤くなるまで熟しても辛くはなりません。そのため、青い唐辛子は辛みがなく、赤い唐辛子は辛い、というイメージは、間違ってはいませんが、必ずしもそうとは限りません。
まとめ
以上、この記事では、「鷹の爪」と「唐辛子」の違いについて解説しました。
- 鷹の爪:「唐辛子」の一種
- 唐辛子:ナス科。多くが辛みを持ち、薬味などに使う。
「鷹の爪」は日本国内では代表的な「唐辛子」であるため、「鷹の爪」を「唐辛子」の別名であると思っている人もいます。しかし、実は以上のように、「鷹の爪」は多くある「唐辛子」のうちの1種類でしかありません。
「唐辛子」の中でも、辛さは種類によって大きく異なります。体長を崩さない程度に、色々な「唐辛子」を試してみてください。