大学の「学部」と「学科」の違いとは?意味から使い分けまで解説

違いのギモン

大学には、高校までとは違い「学部」や「学科」というものが存在します。所属する学生は、ほぼ例外なく何かしらの「学部」「学科」に属することになります。

しかし、「学部」と「学科」は一体何が違うのでしょうか。特に大学受験を控える受験生は知っておきたいですよね。

この記事では、大学の「学部」と「学科」の違いを詳しく解説します。

結論:「学科」は「学部」の中にある専門科目

「学部」とは、大学を構成する、学問ごとに大きく分けられた組織の単位を指します。

「学科」とは、「学部」を構成する、さらに学問を細かく分けた組織の単位を指します。

「学部」をもっと詳しく


大学の「学部」とは、専攻(専門の学問を研究すること)する学問によって大きく分けられた、組織の単位です。大学を構成する単位と考えることもできます。

大学の教育や研究のために設けられた区分であり、学校教育法で、大学は「学部」を設置することが義務化されています。しかし、「学部」に代わる「学群」や「学域」といった組織を設置することも可能です。

 

「学部」には、専任の教員と学生が所属することになり、その学部に応じた研究を行います。

大学の「学部」は、学問領域に応じて、基本的に三つに分類して考えることができます。以下が、学問領域に応じた分類と、それぞれの学部の例です。

  • 人文科学系:文学部など
  • 社会科学系:法学部、経済学部、経営学部、教育学部など
  • 自然科学系:理学部、工学部、農学部、医学部など

「人文科学系」には、歴史や哲学、言語、心理などが該当します。人文科学系の学部としては、「文学部」が代表的です。その文学部の中に、後ほど説明する「学科」という形で、「歴史学科」「哲学科」「心理学科」などが設置されている場合が多いです。

「社会科学系」には、社会学や政治学、経済学、法学部、教育学などが該当します。文系の学部のほとんどが「社会科学系」に該当し、多くの文系の学生が所属します。

「自然科学系」には、工学、理学、医学、農学などが該当します。いわゆる、理系の学部がこの「自然科学系」に該当します。

 

また、文部科学省も、大学の学部を七つに分類しており、以下がその各系統です。

  • 教養学系
  • 教育学系
  • 人文学系
  • 社会科学系
  • 理学・工学系
  • 農学系
  • 医学・看護学系
  • 体育学・芸術学・生活学系

文部科学省の分類は、先ほど紹介した、「人文科学系」「社会科学系」「自然科学系」をさらに分類したり、その学問系統には属さない学問(体育学など)を含めたりしたものになります。

 

さらに、最近ではその文部科学省の七つの分類のいずれにも属さない学部も存在するようになっています。

「学際(がくさい)系」の学部や、「融合系」の学部です。

 

「学際系」とは、学問と学問の接点(学際)を研究する学問のことです。簡単に言い換えると、学問の分類にこだわることなく、複数の学問にまたがって研究を行う学問です。

グローバル化が進み、文化や社会が複雑に絡み合う現在、発生している諸問題は既存の一つの分野では解決できないものが多く存在します。その変化に対応して設置された学部が「学際系」の学部です。

慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス( SFC )に置かれた、総合政策学部や環境情報学部、早稲田大学の社会科学部が、「学際系」の学部では有名です。

 

「融合系」も、「学際系」に近く、複数の学問を融合したものです。「学際系」の学部との違いは、「融合系」の学部の方は複数の学問にまたがるものの、あらかじめどの学問とどの学問にまたがるかを定めているという点です。

「融合系」の学部としては、文系と理系を横断した文理学部というものまで存在します。他にも、法政経学部や文教育学部などが存在します。

大学は、このような複数の「学部」によって構成された教育機関です(中には単一の学部しか設置されていない大学もある)。

「学部」の使い方の例

  • 私は経済学部で経済を学びたい。
  • 大学の中でも、私は文学部に属している。

「学科」をもっと詳しく


大学の「学科」とは、「学部」の中で、さらに専門ごとに細かく分けた組織の区分です。「学部」の下にさらに「学科」が設けられているというイメージです。

文学部を例にとると文学部の中でも、英語を研究する学科やフランス語を研究する学科、歴史を研究する学科、心理学を研究する学科など様々です。英語学科、フランス語学科、歴史学科、心理学科などの細かな「学科」が複数集まり、「学部」を構成しているという形です。

 

大学の入試の際の募集では、多くの大学は「学科」別に募集はせずに、「学部」別に募集します。大きなくくりである「学部」でその学問全体を勉強した後に、興味や適性に合わせて小さなくくりである「学科」に分かれます。

そうする方が、大学入学前の高校生などにとって、「勉強したい学問が違った」というミスマッチを少なくすることができるという点で良いからです。

 

「学科」は大学によって様々な形で区分されており、文部科学省の「学部」の例のように、定型的に分類することは難しいです。一つの大学で、50を超える「学科」が設置されているところもあります。

また、「学科」の下に、さらに「コース」のような形で専攻を分類している大学もあります。

大学によって、その形は様々ですので、受験生の方々は受験する大学ごとに、入念に調べておく必要があります。

「学科」の使い方の例

  • 私は政治経済学部の経済学科に所属している。
  • 私の大学では3年次から学科別に分かれる。

まとめ

以上、この記事では、「学部」と「学科」の違いについて解説しました。

  • 学部:大学を構成する、専攻ごとに大きく分けた組織
  • 学科:学部を構成する、専攻をさらに細かく分けた組織

「学部」と「学科」の違いは理解できましたか。大学の下に「学部」、さらに「学部」の下に「学科」があるというイメージです。

しかし、本文中でもいくつか紹介したように、大学ごとで様々な「学部」や「学科」を設置していたり、通常とは異なる形をとったりすることがあります。

大学受験を控える受験生は、しっかりと受験する大学のことを調べて、より良い大学選び、「学部」選び、「学科」選びをしてください。