今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「画蛇添足(がだてんそく)」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「画蛇添足」をざっくり言うと……
読み方 | 画蛇添足(がだてんそく) |
---|---|
意味 | 必要でないものを付け足すこと |
由来 | ヘビの足を描き足して失敗したというエピソードから |
類義語 | 妄画蛇足、為画添足、為画添足 |
対義語 | 画竜点睛 |
英語訳 | “superfluous” (余分な)、“do the unnecessary” (不必要なことをする) など |
このページの目次
「画蛇添足」の意味をスッキリ理解!
「画蛇添足」の意味を詳しく
「画蛇添足」は、前半部分と後半部分の2つに分けると意味がより理解しやすくなります。
まず「画蛇」とは、文字通りに「ヘビの絵」のことを指しています。次に「添足」は、「足を付け足すこと」です。つまり、「画蛇添足」とは、「ヘビの足の絵を描いてしまう」という意味なのです。
ヘビには足がないですよね。ですので、ここから転じて「画蛇添足」には「不必要なもの、余計なものを付け足すこと。また、その結果失敗してしまうこと」という意味があります。
「画蛇添足」の使い方
「画蛇添足」の使い方の例として、以下のような文が挙げられます。
- 同僚のプレゼンテーションの内容は、社長にとても評価された。しかし、最後に場に合わないジョークを言ってしまったせいで社長を怒らせてしまった。まさに画蛇添足といったところだ。
- この本は疾走感あるストーリーがおもしろいが、ところどころにあるコメディ要素が画蛇添足であった。
- この職場で仕事を始めて日が浅い私が言うのも画蛇添足だと思ったが、勇気を出して業務改善の案を出してみた。
以上のように、シンプルに「~は画蛇添足である」というように使われるのが一般的です。
最初の2つの例文では、「余計なものを加えることで全体が悪くなってしまう」という意味で使われています。
1つ目の例文では、不適切な冗談が余計な「ヘビの足」となり、せっかく高評価であったプレゼンテーションをダメにしてしまっています。
2つ目の例文では、コメディの要素が「ヘビの足」として、テンポよく進んでいく本のストーリーの邪魔をしてしまっています。
最後の3つ目の例文は、前の2つの例文とは異なる使い方がなされています。この例文での「画蛇添足」は、「謙遜」の意味で使われています。「私の提言など余計なものに過ぎないかもしれませんが」という謙遜の態度を表しているのです。
また、「画蛇添足」は略して「蛇足」ということもできます。「蛇足」の方がよく用いられていますが、「画蛇添足」が本来の形です。
「画蛇添足」の由来
「画蛇添足」という四字熟語の由来は、古代中国に記された『戦国策』の中の「斉策(せいさく)」という章にあるエピソードです。
楚(そ)の国のある人が先祖を祭るための行事を行っていました。その際、その人は使用人を集めて「一番最初にヘビの絵を地面に描いた者に酒を与える」と言ったので、使用人たちは競って絵を描き始めます。
すぐに、最初に描き終わった人が出ました。その人は酒を飲もうと手に取り、自慢げに「私にはまだ足を描き足せるほどに余裕がある」と言ってヘビに足を描き加え始めました。すると、次に描き終わった人が「ヘビには足などない」と言い放ち、酒を奪って飲んでしまったのです。
「画蛇添足」は、ある使用人の油断から生まれた言葉だったのですね。
「画蛇添足」の類義語
画蛇添足には以下のような類義語があります。
- 妄画蛇足(もうがだそく):余計なものを加えること
- 為蛇画足(いだがそく):不必要なことをすること
- 為蛇添足(いだてんそく):余計なもの
用いられている漢字からも分かる通り、全て同じ由来からできている四字熟語です。
「画蛇添足」の対義語
画蛇添足には以下のような対義語があります。
- 画竜点睛(がりょうてんせい):物事の最も大事な点
「画竜点睛」とは、「竜の絵に目を描き入れること」をいいます。目の描いていない竜の絵は未完成ですよね。
ここから「画竜点睛」は、「物事を完成させる上で一番大事な部分」という意味なのです。
「竜の目」と「ヘビの足」が、対照的なものとして表されていますね。
「画蛇添足」の英語訳
画蛇添足を英語に訳すと、次のような表現になります。
- superfluous
(余分な) - do the unnecessary
(不必要なことをする) - bring owls to Athens
(アテネにフクロウを持っていく)
1つ目の “superfluous” は、「余計な、余分な」という意味を表す形容詞として用いることができます。
2つ目の “do the unnecessary” では、「不要なことをする」という動詞の形で使えます。
最後の用例は、「画蛇添足」のように古くからある言葉です。古代ギリシアの都市国家アテネでは、フクロウがコインに描かれています。ですので、アテネに本物のフクロウを持ってくることは意味のないことでした。ここから、“bring owls to Athens” は「余計なことをする」という意味で用いることができるのです。
まとめ
以上、この記事では「画蛇添足」について解説しました。
読み方 | 画蛇添足(がだてんそく) |
---|---|
意味 | 必要でないものを付け足すこと |
由来 | ヘビの足を描き足して失敗したというエピソードから |
類義語 | 妄画蛇足、為画添足、為画添足 |
対義語 | 画竜点睛 |
英語訳 | “superfluous” (余分な)、“do the unnecessary” (不必要なことをする) など |
物事が上手くいき、余計なことをしてしまうことは「画蛇添足」です。「画蛇添足」の由来となった使用人のように、ついつい調子に乗ってしまうことがないように気を付けたいものですね。
「画蛇添足」という四字熟語は、日常的に見ないのであまり親しみのない言葉かもしれません。いざ使う場面が来た時のために、この記事でしっかりと意味と使い方を理解しておきましょう。