今回ご紹介する四字熟語は、「風林火山(ふうりんかざん)」です。
この記事では、「風林火山」の意味・使い方・由来・中国語訳について解説します。
☆「風林火山」をざっくり言うと……
読み方 | ふうりんかざん |
---|---|
意味 | 風のように素早く動いて、林のように静かに止まり、火のように激しく攻撃して、山のように落ち着いて構えること |
由来 | 武田信玄の旗に書かれていた文章 |
「風林火山」の意味をスッキリ解説
「風林火山」についてもっと詳しく
「風林火山」とは、戦いにおける4つの心構えを説いた言葉です。
そこから転じて、現在としては物事への対処の仕方を説く言葉としても使われています。
また、「時期や状況に応じた動きをするべきだ」というニュアンスでも用いられます。
「風林火山」が表す戦いにおける4つの心構えは以下のとおりです。
- 風のように素早く動き
- 林のように静かに構え
- 火のように激しく攻撃し
- 山のようにどっしりと構えよ
それぞれの心構えについて詳しく見ていきましょう。
「風林火山」の「風」の意味
「風林火山」の「風」は「風のように早く動く」という意味です。
この言葉は攻撃をする時にはスピードが重要だということを訴えています。
「風林火山」の「林」の意味
「風林火山」の「林」は「林のように静かに構える」という意味です。
この言葉は戦いでは敵に気付かれないように準備をして機会に備えるのが重要だということを表しています。
「風林火山」の「火」の意味
「風林火山」の「火」は「火のように激しく攻撃する」という意味です。
この言葉は攻め込む時の勢いの大切さについて表しています。
「風林火山」の「山」の意味
「風林火山」の「山」は「山のようにどっしり構える」という意味です。
この言葉は自分の陣地を守ると決めたなら敵の挑発には乗らず、どっしり構えて守りを固めるべきだという教訓を表しています。
「風林火山」の由来
この見出しでは「風林火山」の言葉の由来について見ていきましょう。
武田信玄の旗に書かれた文章が由来
「風林火山」とは、戦国大名・武田信玄(たけだしんげん)の旗に記されていた以下のような文章が由来だとされています。
「疾如風、徐如林、侵掠如火、不動如山」
書き下し文:
「疾き(はやき)こと風の如く(ごとく)、徐か(しずか)なること林の如く、侵掠(しんりゃく)すること火の如く、動かざること山の如し」現代語訳:
「風のように素早く動き、林のように静かに構え、火のように激しく攻撃し、山のようにどっしりと構えよ」
この文章から、それぞれ1字ずつ取り出して、出来上がったものが「風林火山」という言葉です。
武田信玄とは、戦国時代に活躍した、甲斐(今でいう山梨県あたり)の戦国大名です。
越後(今でいう北陸あたり)を支配していた上杉謙信(うえすぎけんしん)のライバルとしても知られています。
もともとは『孫子』の言葉
「風林火山」の由来になった「疾如風、徐如林、侵掠如火、不動如山」は古代中国の兵法書『孫子(そんし)』から引用し、改変した言葉です。
「風林火山」の由来になった『孫氏』の記述は以下のようなものです。
「疾如風、其徐如林、侵掠如火、不動如山、難知如陰、動如雷霆」
書き下し文:
「疾き(はやき)こと風の如く(ごとく)、徐か(しずか)なること林の如く、侵掠(しんりゃく)すること火の如く、動かざること山の如く、知りがたきこと陰の如く、動くこと雷霆(らいてい)の如し」現代語訳:
「風のように素早く動き、林のように静かに構え、火のように激しく攻撃し、山のようにどっしりと構え、陰のように動きをさとられないようにし、雷のように激しく動け」
『孫氏』の記述では「風林火山」の後にさらに続きがあったのです。
「風林火山」は後世の創作?
実は、武田信玄が「風林火山」と書かれた旗を使っていたというのは後世の創作だとされています。
武田信玄の旗に「疾如風、徐如林、侵掠如火、不動如山」と書かれていたのは事実です。
しかし、当時から「風林火山」と略して呼ばれていたわけではないのです。
その証拠に、当時の正式な記録には「孫氏の旗」「武田信玄の軍旗」などとは書かれていますが、「風林火山の旗」とは書かれていません。
「風林火山」と略して呼ばれるようになったきっかけは、井上靖が1953年に発表した歴史小説『風林火山』だと言われています。
「風林火山」の使い方
- 私の座右の銘(ざゆうのめい)は「風林火山」だ。
- 君は武田信玄の言った「風林火山」のように、もっと状況に合わせて行動するべきだ。
「風林火山」の中国語訳
「風林火山」を中国語に訳すと、次のような表現になります。
风林火山
(風のように素早く動いて、林のように静かに止まり、火のように激しく攻撃して、山のように落ち着いて構えること)
中国語だと「風」の文字が「风」になります。
中国語では、従来の漢字を簡略化した「簡体字(かんたいじ)」というものが使われています。」
「風」は簡体字に直すと「风」になるのです。
まとめ
以上、この記事では「風林火山」の意味や由来や使い方について解説しました。
読み方 | ふうりんかざん |
---|---|
意味 | 風のように素早く動いて、林のように静かに止まり、火のように激しく攻撃して、山のように落ち着いて構えること |
由来 | 武田信玄の旗に書かれていた文章 |
「風林火山」は元々は武田信玄の旗に書かれていた戦いの4つの心構えでしたが、今ではビジネス本などでも多く紹介されています。
みなさんも、実生活の中で参考してみてはいかがでしょうか。