「ムササビ」と「モモンガ」の8つの違いとは?生息地や鳴き声まで解説

違いのギモン

「ムササビ」や「モモンガ」は滑空(かっくう)する動物として有名ですよね。そして、ペットとして飼われることもあり、みんなに親しまれている動物だと思います。ところで、みなさんは「ムササビ」と「モモンガ」の違いを知っていますでしょうか。

大きさなどが有名だと思います。しかし、この2つの動物にはもっといろいろな違いがあったんです。そこで、今回は思ったより多い「ムササビ」と「モモンガ」の違いについて解説していきたいと思います。

☆「ムササビ」「モモンガ」の違いをざっくり言うと……

モモンガムササビ
生息地 世界中日本
大きさ 小さい大きい
 体の特徴・大きい目
・平たいしっぽ
・小さい皮膜
・白門がない
・黒っぽい茶色
・小さい目
・太くて長いしっぽ
・大きい皮膜
・白門がある
・夏は明るい茶色、冬は淡い灰色
 暮らし方 集団行動単独行動
 滑空 短距離長距離
 鳴きかた 「ズイズイズイ」「グルルルー」
寿命 5年ほど10年ほど
かむ力 弱い強い

「ムササビ」と「モモンガ」

「ムササビ」と「モモンガ」の共通点

違いについて解説する前に、この2つの動物の共通点について軽く解説しておきたいと思います。まず、どちらもリス科の動物であり、生物学的にはムササビはモモンガの1種です。次に、どちらも滑空する動物であるという共通点があります。

そして、夜行性であり、雑食です。そのため、木の実から小動物にかけて、季節によって異なるものを食べて生活しています。

ちなみに、日本でペットとしてモモンガやムササビなどを飼いたいと思った人の多くが購入するのはフクロモモンガという種類です。しかし、残念ながらフクロモモンガは有袋類(ゆうたいるい)の一種であり、モモンガとはまったく別の生きものです。

ちなみに、有袋類はおなかに袋があるのが特徴で、カンガルーがその代表です。ただ、フクロモモンガも滑空はします。

では、モモンガやムササビの共通点に続いて、違いを見ていきましょう。違いは主に8つあります。

【1】生息地の違い

モモンガがほとんど世界中に存在しているのに対して、ムササビは日本にのみ生息しています。

そして、日本で生息しているモモンガはニホンモモンガとエゾモモンガです。

このうち、ニホンモモンガは本州・四国・九州に生息していますが、エゾモモンガは北海道にのみ生息しています。ちなみに、エゾモモンガはニホンモモンガというよりはユーラシア大陸に生息しているタイリクモモンガに近い種類です。

一方、ムササビは日本にのみ生息している固有種ですが、最近では数が減ってしまって絶滅危惧種に指定されています。そのため、ムササビを勝手に捕まえたりすると犯罪になってしまいます。

ちなみに、数が減ってしまった理由は乱獲です。ムササビの毛は保温性が高く、しっぽの毛も筆にすると書きやすいため、多くのムササビが狩られてしまったのです。

 

また、ムササビが平地から2300mほどの山地にまで広く生息しているのに対して、モモンガは山地にのみ生息しています。

ただ、これには例外があって、エゾモモンガは平地にも生息しています。

その理由としては、モモンガはキツツキが木にあけた穴の中などで生息していますが、本州の平地にはあまりキツツキがおらず、生息する場所がないため、などがあげられます。しかし、決定的な理由は見つかっていません。

【2】大きさの違い

モモンガは手の平サイズの大きさで体重も200gほどなのに対して、ムササビは小さな猫程度の大きさで、1kgを超える個体も多く存在します。

【3】体の特徴の違い

目の特徴

モモンガはムササビよりも体に対する目の割合が大きく、ぱっちりした目をしています。そのため、モモンガの目のほうがかわいいと考える人も多いようです。

しっぽの特徴

モモンガのしっぽが平べったいのに対して、ムササビのしっぽは円錐形で太く、身長と同じくらいの長さがあります。

皮膜の特徴

ムササビのほうがモモンガより皮膜が大きいという特徴があります。皮膜とは、ムササビやモモンガが空を飛ぶ時に広げる膜のことですが、モモンガの皮膜は前足と後ろ足の間にしかありません。

一方、ムササビの皮膜は大きく、首からしっぽまであります。

ちなみに、皮膜が大きい代わりに、ムササビはモモンガより四足歩行の能力が低いという特徴があります。ただ、モモンガも四足歩行能力は大して高くありません。

白門の有無

ムササビのほほには特徴的な白い帯模様があります。これは白門と呼ばれますが、モモンガにはありません。

↑ハの字型の白い線が白門[出典:http://petheim.net/momo-musa/]

毛の特徴

ムササビの毛は年中同じで、黒っぽい茶色をしています。一方、モモンガの毛には夏毛と冬毛があり、夏毛が明るい茶色なのに対して、冬毛は淡い灰色です。

【4】暮らし方の違い

モモンガが平均的には5匹ほどで巣穴で集団行動するのに対して、ムササビは常に単独行動をしています。

【5】滑空の違い

ムササビが平均的に100m程度滑空するのに対して、モモンガは20~30mほどしか飛べません。

そして、体重のあるムササビがスピード感のある直線的な滑空をするのに対して、軽いモモンガは小回りの利いた滑らかな滑空をします。

【6】鳴きかたの違い

ムササビが「グルルルー」と鳴くのに対して、モモンガは「ズイズイズイ」という特徴的な鳴きかたをします。

【7】寿命の違い

モモンガの寿命が5年ほどであるのに対して、ムササビの寿命は10年ほどあります。

【8】かむ力の違い

ムササビのかむ力が強いのに対して、モモンガのかむ力は強くありません。そのため、ムササビはキツツキなどがあけた木の穴を広げることができますが、モモンガにはこれができません。

まとめ

以上、この記事では、「ムササビ」と「モモンガ」の8つの違いについて解説しました。

モモンガムササビ
生息地 世界中日本
大きさ 小さい大きい
 体の特徴・大きい目
・平たいしっぽ
・小さい皮膜
・白門がない
・黒っぽい茶色
・小さい目
・太くて長いしっぽ
・大きい皮膜
・白門がある
・夏は明るい茶色、冬は淡い灰色
 暮らし方 集団行動単独行動
 滑空 短距離長距離
 鳴きかた 「ズイズイズイ」「グルルルー」
寿命 5年ほど10年ほど
かむ力 弱い強い

思ったより多くの違いがありましたね。ムササビとモモンガは似ているようであまり似ていない生物だったんです。

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和佐 崇史
文章を書くこと、読むことが大好きな大学生です。中学2年生で漢検2級を取得するなど、言葉については詳しい自信があります。Webライターとしてはこれまで累計1,000記事以上を執筆してきました。