今回ご紹介する言葉は、「故事成語」の「身体髪膚之を父母に受く(しんたいはっぷこれをふぼにうく)」です。
言葉の意味、使い方、由来、類義語、対義語、英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「身体髪膚之を父母に受く」をざっくり言うと……
読み方 | 身体髪膚之を父母に受く(しんたいはっぷこれをふぼにうく) |
---|---|
意味 | 自分の身体は父母からいただいた大切なものだから、頭のてっぺんから爪先まで大切にしなければならないということ。 |
由来 | 『孝経』 |
類義語 | 全生全帰(ぜんせいぜんき)、温凊定省(おんせいていせい)、慈烏反哺(じうはんぽ) |
対義語 | 孝行のしたい時分に親はなし(こうこうのしたいじぶんにおやはなし) |
英語訳 | as one’s entire body was given by one’s parents |
このページの目次
「身体髪膚之を父母に受く」の意味をスッキリ理解!
「身体髪膚之を父母に受く」の意味を詳しく
「身体髪膚之を父母に受く」とは、「自分の身体は親からの貰い物だから、大切に扱わないといけない」という意味を表す「故事成語」です。
髪膚(はっぷ)とは髪の毛と皮膚のことを指します。
よって、「身体髪膚」は頭の先から爪先までの身体全体を表していることになります。
「身体髪膚之を父母に受く」という故事成語には続きがあります。
完全なかたちは、「身体髪膚之を父母に受く、あえて毀傷(きしょう)せざるは孝の始なり」となり、後半の言葉の意味は「傷つけないことが孝行の始まりとなる」という意味です。
つまり、「身体髪膚之を父母に受く、あえて毀傷せざるは孝の始なり」の意味をまとめると以下のようになります。
なお、「孝行」とは子供として親を大切にすること、親と同じくらい大切に他人と接することを意味しています。
ここで出てくる孝行は、私たちが普段よく使う「親孝行」と同じ意味ということですね。
「身体髪膚之を父母に受く」の使い方
「身体髪膚之を父母に受く」は、「自分の身体は傷つけずに大切にしましょう」という教訓を表すときに使われます。
具体的には、以下のように使います。
- 私の身体はある意味で私だけのものではない。身体髪膚之を父母に受くということだ。
- 身体髪膚之を父母に受くを心がけている私は、常に健康に気を配っている。
- 彼は不良と喧嘩してばかりいる。身体髪膚之を父母に受くを知るべきだ。
- 身体髪膚之を父母に受くと言われたとしても、私は刺青入れることを諦めるつもりはない。
「身体髪膚之を父母に受く」の由来
「身体髪膚之を父母に受く」という故事成語の由来は、中国の史書である『孝経』にあります。
『孝経』は、中国古代の孝道について、孔子と曽子(そうし)が交わした問答を、曽子の門人が記述したものとされています。
ここで登場した「孝道」とは、親孝行のあり方についての教えをまとめた学問です。
つまり、『孝経』は「どのような振る舞いをすることが、親への感謝を表すことにつながるか」をまとめた書物ということです。
なお、「身体髪膚之を父母に受く」は、この史書の一節である「身体髪膚之を父母に受く、あえて毀傷(きしょう)せざるは孝の始なり」を一部抜粋したものです。
『孝経』には、『古文孝経』と『今文孝経』の2種類があります。
これらの史書で扱われている「孝」という概念は、儒教の中心となる教えであり、身分に関わらず学ぶべきものとされていました。
その証拠に、『孝経』では中国の君主である「天子」から「庶人」にいたるまで、階層別に理想の「孝」のあり方についてまとめてあります。
よって、「身体髪膚之を父母に受く、あえて毀傷せざるは孝の始なり」という故事成語は、儒教を学ぶ全ての人が大切にしていた概念と言えるでしょう。
「身体髪膚之を父母に受く」の類義語
「身体髪膚之を父母に受く」には以下のような類義語があります。
- 全生全帰(ぜんせいぜんき)
- 温凊定省(おんせいていせい)
- 慈烏反哺(じうはんぽ)
このように言葉や由来が違うだけで、「身体髪膚之を父母に受く」と同じ意味を持つ故事成語はたくさんあります。
現代で「中国人は恩義がある」、または「親思い」などと言われることが多い所以は、このような「親孝行の大切さ」を教訓とする昔話が多いからかもしれないですね。
「身体髪膚之を父母に受く」の対義語
「身体髪膚之を父母に受く」には以下のような対義語があります。
- 孝行のしたい時分に親はなし(こうこうのしたいじぶんにおやはなし)
「身体髪膚之を父母に受く」の英語訳
「身体髪膚之を父母に受く」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- as one’s entire body was given by one’s parents
(子供の体は、親から与えられたものである)
まとめ
以上、この記事では「身体髪膚之を父母に受く(しんたいはっぷこれをふぼにうく)」について解説しました。
読み方 | 身体髪膚之を父母に受く(しんたいはっぷこれをふぼにうく) |
---|---|
意味 | 自分の身体は父母からいただいた大切なものだから、頭のてっぺんから爪先まで大切にしなければならないということ。 |
由来 | 『孝経』 |
類義語 | 全生全帰(ぜんせいぜんき)、温凊定省(おんせいていせい)、慈烏反哺(じうはんぽ) |
対義語 | 孝行のしたい時分に親はなし(こうこうのしたいじぶんにおやはなし) |
英語訳 | as one’s entire body was given by one’s parents |
社会人になって一人暮らしをすると、親のありがたみがよく分かります。
子供は身体以外にも、たくさんのものを親からもらっているので、常に感謝の気持ちを忘れないでいたいですね。