「忸怩たる思い」の意味とは?使い方から類語や英語まで例文付きで解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、熟語の「忸怩たる思い(じくじたるおもい)」です。

言葉の意味・誤用・使い方・語源・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。

☆「忸怩たる思い」をざっくり言うと……

読み方忸怩たる思い(じくじたるおもい)
意味自らの行いを深く反省して、恥ずかしいと思う感情
語源「恥じる」という意味の漢字「忸」と「怩」から
類義語慚愧に堪えない、羞恥心
英語訳a sense of shame(羞恥心)
embarrassed(恥ずかしい)
bashful(恥ずかしがる)

「忸怩たる思い」の意味をスッキリ理解!

忸怩たる思い(じくじたるおもい):自らの行いを深く反省して、恥ずかしいと思う感情

「忸怩たる思い」の意味を詳しく

「忸怩たる思い」とは、自らの行いを深く反省して、恥ずかしいと思う感情のことです。

間違ったことをしてしまったり、努力ができなかったりしたときに、それらを恥じる気持ちを表します。

「忸怩たる思い」は、「恥じている様子」を表す表現ではなく、あくまで「恥ずかしいと思う気持ち」を表すものなので注意しましょう。

「忸怩たる思い」と混合されがちな言葉

「忸怩たる思い」は、以下のような意味で、間違って使われることがあります。

  • 悩ましさ
  • 情けなさ
  • 悔しさ
  • 憤り(いきどおり)
  • 腹立たしさ

また、「忸怩」の「じくじ」という発音からの連想で、「ぐじぐじと悩むこと」「うじうじすること」という意味で間違って使われることがあります。

しかし、「忸怩たる思い」には、上記のような意味はありません。

あくまで「自分の行いを恥じる感情」のことを表す言葉なので、注意しましょう。

「忸怩たる思い」の使い方

  1. 努力不足を痛感させられて、忸怩たる思いをする。
  2. 彼の真っ赤な顔からは、忸怩たる思いが伺える。
  3. 私の判断でこのような事態を招いてしまい、忸怩たるものがあります。

「忸怩たる思い」は、難しい言葉であるため、日常生活で使われることは少ないです。➂のようにビジネスシーンの、書面やスピーチの際に使われることが多い言葉です。

また、➂の「忸怩たるもの」のような言いまわしをすることもあります。

➀の他にも「自分を恥じている」という状態を表すために、以下のような言い回しができます。

  • 忸怩たる思いを抱く
  • 忸怩たる思いに駆られる
  • 忸怩たる思いがある

「忸怩たる思い」の語源

「忸怩たる思い」に使われている「忸」の字と「怩」の字には、以下のような意味があります。

  • :恥ずかしく思う
  • :恥じ入る

どちらの漢字も訓読みで「はじる」という読み方をします。

そのため「忸怩」という熟語が「自らを深く恥じること」「恥ずかしいという感情」という意味を表します。

「忸怩」は、同じ意味の文字を2つ重ねて構成された単語であることがわかります。

 

ちなみに、「忸怩」は「しくじる」という言葉の語源であると言われることがありますが、これは間違いです。

「しくじる」の語源は、「成してきたことが崩れてしまう」という意味の「為崩る(しくずる)」という言葉が語源です。「忸怩」という熟語とは関係がないので注意しましょう。

「忸怩たる思い」の類義語

「忸怩たる思い」には以下のような類義語があります。

  • 慚愧(ざんき)に堪えない:自分の行動・罪を恥じる気持ちを我慢することができないこと
  • 羞恥心(しゅうちしん):恥ずかしく感じる気持ち
  • 自責の念にかられる:自分で自分の過ちをとがめること
  • 汗顔(かんがん)の至り:この上ないほど恥ずかしい状態
  • 悔恨(かいこん)の情:自分のした間違いなどを反省して悔やむこと

ちなみに、「慚愧」は「慙愧」と表記することもあります。

類義語の違い

「慚愧に堪えない」と「忸怩たる思い」は、ほとんど同じ意味の言葉です。しかし、「羞恥心」はこれらふたつとニュアンスが少し異なります。

「慚愧に堪えない」と「忸怩たる思い」は、「自分の行動を恥じて反省する気持ち」という意味の言葉で、「過去の行動を後悔している」というニュアンスが含まれます。

それに対して、「羞恥心」とは、ただ単純に「恥ずかしいと思う気持ち」を表す言葉なのです。

つまり、「クラスメイトの前で発表をするのが恥ずかしいという気持ち」を表すときには「慚愧に堪えない」や「忸怩たる思い」は適切ではなく、「羞恥心」を使うべきということになります。

「忸怩たる思い」の英語訳

「忸怩たる思い」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • a sense of shame
    (羞恥心)
  • embarrassed
    (恥ずかしい)
  • bashful
    (恥ずかしがる)
  • be ashamed that〜
    (~を恥じる)

“embarrassed” と “bashful” は、「羞恥心そのもの」を表す英単語ではなく、「恥ずかしい」という動詞なので注意しましょう。

まとめ

以上、この記事では「忸怩たる思い」について解説しました。

読み方忸怩たる思い(じくじたるおもい)
意味自らの行いを深く反省して、恥ずかしいと思う感情
語源「恥じる」という意味の漢字「忸」と「怩」から
類義語慚愧に堪えない、羞恥心
英語訳a sense of shame(羞恥心)
embarrassed(恥ずかしい)
bashful(恥ずかしがる)

「忸怩たる思い」は、少し難しい単語でしたが、ビジネスシーンなどで使う機会があるかもしれません。この機会にしっかりと理解しておきましょう。

ABOUT US

スッキリ編集部
「言葉のギモンをスッキリ解決」をテーマに、難しい言葉の意味や使い方をわかりやすく解説します。